始まりの章 警戒2日目
男たちに着いて行った先は城と見紛う程の立派な建物等ではなく、ちょっと大きめといった具合でだった。
「こちらで少々お待ちください」
応接間に通されて待っていて欲しいと伝えられ、補修跡の在る椅子に座っていると恰幅の良い男が入ってきた、
「おう、よく来てくれたなアーロン・トイだ」
アーロンは名乗った後でレオに握手を求めた、レオも立ち上がり握手をしながら名乗った、続いてレイ、カリスタ、ジェラルドと順番に握手をして着席を促した後にアーロンも座った。
「俺の部下が暴れていると聞いてよ、慌てて取り押さえに行かせたんだが、あいつら偽者だったわ」
「偽者・・・ですか」
レオが聞き返す、アーロンは嫌な顔一つせずに質問に答える、
「ああ、俺たちは左手に誓いの布を巻きつけておくんだがよ、簡単に真似出来るもんだから偽者が出てくるんだわ」
「でも暴れていた男とは御知り合いのようでしたが」
レイの質問にも表情を変えずにアーロンは答えた、
「あいつらは俺の部下じゃ無ぇんだがちょっとした顔見知りでよ、そんで今後俺の部下を名乗ったり、怪しい思う人物はみんな偽者と思って欲しいんだ」
そういってアーロンは左手の布を指差した、
「アーロンさんたちが、私たちに接触してくることは無いということですか」
「ああ、こっちから一切接触しない」
両手を交差させながらアーロンが否定する、
「わかりました、それで連れて来られた男たちはどうするのですか」
レイの質問にいままでにこやかにしていたアーロンの顔が一瞬だけ曇り、
「それは知らないほうが良いだろう、偽者には厳しく対処しないとな」
レオたちは苦笑をしながらもアーロンにすべてを任せて退席をして、一旦宿に戻り、巡回の準備をして陽が落ちるのを待ってから出発した。
「今日も何事も無ければ良いわね」
眠そうな顔をしているカリスタに不安を覚えながらレイが、
「今日は何かあるから、寝るなら早めにな」
「ああ、そうなのね、そうするわ」
カリスタはそう言うと悪びれもせずに目を瞑り、馬車の揺れに身を任せて寝息を立て始めた。
寝て良いと言った手前何も言えずにレイは夜道に馬車を走らせた。