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第三話 ヘパイストスとスカディ

 広げた紙には――


 スキル【ヘパイストスとスカディの手】をゲット☆


 と書かれていた。


「おお~、これはかなりのレアスキルだねぇ、あんたやっぱラッキーだよ☆」


 と、ケレースさんは満面の笑顔で言う。


「え、これがお願いと何の関係があるんですか?? ヘパイストス? スカディ? スパイスの仲間?」


 一体何のことか分からずに、頭の中を?マークが駆け巡る。


「ふっふっふ~。それじゃ早速、試してみる? みおちゃん、ちょっと両手をお椀の形にしてみて☆」


「こ、こうですか?」


 言われた通りに、わたしは両手をくっ付けて、水をすくうようなお椀の形にしてみた。すると、ケレースさんはどこからともなくおひつを取り出した。おひつからはホカホカと湯気が立っていて、その中にはピカピカに炊き上がった真っ白なご飯が入っていた。


「みおちゃん、【私の手、200度になーれ】って言ってみて☆」


「は、はいっ、わたしの手、200度になーれ!」


 そう言うと、わたしの手が光り出した。ちょっと手が熱っぽいような、不思議な感覚に包まれていった。


「そこにこのご飯を乗せてっと!そいやっ☆」


 ケレースさんはそう言うと、おひつのご飯をしゃもじですくって、わたしの手のひらの上に乗せてきた。


「さあ、このご飯でおにぎりを握ってみて☆」


「は、はいっ!」


 言われた通りに、手に乗せられたご飯を使っておにぎりを握っていく。すると、なぜか香ばしい匂いが。


 握っているご飯から「ジュウ、ジュウウ……」という音が立って、米粒がだんだんとキツネ色になっていく。


 そしておにぎりを握り終わると、それは立派な――


【焼きおにぎり】になっていた!


「わー!! おにぎりを作ったら焼きおにぎりになったよ! どういう事なの!?」


「ふっふっふ~☆これがスキル、【ヘパイストスとスカディの手】さぁ。摂氏2000℃からマイナス200℃まで、手の温度を自由にコントロールできるスキルなのさ☆」


 2000℃からマイナス200℃?


 温度に関わる料理の知識や、学校の理科の授業で習った内容を思い出してみる。


 から揚げを揚げる油の温度が170℃、お湯が沸く温度が100℃、水が凍る温度が0℃、キッチンの冷凍庫の温度がマイナス20℃くらいだから――


 つまり―――


「この【スキル】があれば、いつでも焼おにぎりを作れるし、アイスを食べる時も最後まで溶けないんだね!!」


「うん、そうだねー☆それでもいいけど、みおちゃんがもっと色々な経験を積んだら、他にも使い道が思いつく思うよ!」


「ところでこのおにぎり、どうしたらいいのかな? 食べちゃってもいい?」


「もちろん! はじめてのスキルで作った焼きおにぎり、味見してごらんなさい☆」


「うん、でもケレースさんにもらったご飯で作ったから、半分あげるね!」


 ごはんは元々ケレースさんがくれたものだし、やっぱり半分は食べさせてあげないとね!


 そう思っておにぎりを真ん中から二つに割ろうとした瞬間、


「おお、なんといい香りだ!それは何という食べ物かのう?」


 突然、背後から男性の声が聞こえた。


 振り返ると、そこには恰幅のよい体格で、髭を生やしたちょうどわたしのお父さん(30代後半)くらいの男の人と、

 その後ろには馬が二頭、その後ろにつながれた豪華な飾りが施された、ディズニーのアニメに出てくるような馬車が止まっていた。


「は、はい、これは焼きおにぎりですけど…」


 わたしがちょっと戸惑った表情で返事をすると、


「いや、突然声をかけてしまってすまない。私は見たことのない食べ物には目が無くてねぇ。それにちょっと事情があって、持ってきた食料が底を尽いてしまって。代金は払うから、その焼きおにぎりとやらをひとつ分けてくれないかね?」


「は、はい、そう言う事なら…。ケレースさん、いいですか??」


「もちろんだよ。お腹を空かしている者には恵みを与えるのが、豊穣神たる私の役目だからね☆」


 元はと言えばご飯を出してくれたケレースさんの許可が下りたので、わたしは焼きおにぎりを男性に手渡した。


「それでは、いただきます」


 男性は、焼きおにぎりの先端へとかぶりついた。すると――!!










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