episode24―on―
「おかえりなさい」
俺が目を覚ました時、最初に聞いた言葉がそれだった。
「ア……リア?」
少しずつ脳がすっきりしてくる。
「って、あれ何だったんだ!?」
「いやー、手早く魔法を使えるようにする裏技」
「死ぬかと思ったわ!」
アリアは笑ってるけど本当に死ぬかと思った。
まだ頭に響いてる様な違和感があるし。
「じゃあ早速使ってみようか」
「は?まだ、あんまりわかんな……って、え!?」
不思議な感覚だった。
使い方さえも分からない魔法の仕組みが脳で理解できている。
今、ここにある世界の不安定さも手に取るように感じることができた。
「これなら……」
言葉に表すと、押し戻す感じ。
手をかざし、発動する。
「ここまでは成功」
アリアの言葉と同時に、俺の手から光が発せられた。
「これが、沙耶の使う魔法か……」
いつも見ている光が、自分の手から放たれている。
感慨深いが、やっぱり沙耶の使ってる時の方が綺麗だ。
「と、そろそろ止めた方がいいよ」
「え?……っ!?うぁ……」
魔法を使っていると急に吐き気がしてきた。
その後、鉄の味が少しだけ口の中に広がる。
魔法を停止し、口元まで流れ出てきた血を拭う。
「やっぱりここが限界かー」
アリアはそう言って俺を座らせた。
「良く頑張ったね。おやすみ」
俺は言葉を発することもできず、再び意識を失った。