episode23―dive―
翌朝、アリアの指示に従い川沿いに来ていた。
早速、能力を身に付けるための作業に入るそうだ。
「綺麗な川だねー」
アリアは川を眺めながら笑顔で話す。
周りを見渡すと、まだ通学時間になってないからか人通りは少ない。
「で、今から何するんだ?」
「能力付加に決まってるでしょー」
「いや、具体的に教えてくれよ」
「儀式みたいなもの。これをすればすぐに魔法が使えるようになる」
「マジか!?なんだよ、『能力付加』自体は簡単そうじゃないか」
「フフ……。では、早速始めましょうか」
「……」
な、何だ、あの笑みは。
急に敬語だし……
アリアがしゃがみ込んだ後に地面を叩くように手を当てた。
「は!?」
瞬間、青い光を放つ線が円を描き、俺とアリアを囲う。
そして、そのまま暗闇へと引きずり込まれた。
「ようこそ、『傍観者の世界』へ」
引きずり込まれた先に広がっていたのは、無数の世界の始まりと終わりの映像だった。
正に、無数の世界が渦巻く中心へのダイブ。
脳に直接情報が送られる。
視界が捉えるものは『世界』と『全て』。
自分が神にでもなったような錯覚。
五感全てを使っているのではないか、とも思ってしまう。
「こ……れは……」
次々と送られてくる膨大な情報に、脳が悲鳴をあげ始めた。
「く……ぁ……。いっ、てぇ……」
脳を直接叩かれているような激痛が駆け巡る。
次第に意識が虚ろになり始めた。
「さ……や……?」
閉じかけた瞳の先、最後に見えたのは沙耶だった。