17/27

episode15―tears―

「じゃあ、調べ終わったら連絡するからね」

「はい……」

アリアと別れて帰路につく。

一日で大量の話を聞かされたせいか頭の整理がつかない。

でも……

それよりもまずこっちの問題があった。

話の後からずっと元気がない沙耶。

俺の体調のことで負い目を負ったことは明らかだった。

まったく、あの人（アリア）……。俺だけに言ってくれてればいいものを……。

「沙耶？」

「…………はい」

「俺は大丈夫だから元気出せよ」

「……でも、私のせいで直樹くんが死にそうになってたんですよ？ちゃんとした知識も無しに協力を頼んで……、そして案の定、危険な目に遭わせていた……」

沙耶は自分の手をギュッと握り締める。

既に眼からは涙が溢れそうになっていた。

……やっぱり沙耶は優しすぎる。

もともと自分を犠牲にして世界を救ってる奴だし。

「わ、私は、なんてことを……」

見てられない。

だから俺は言ってやる。

「そんなの知ったことじゃねーよ」

「！？」

「俺は自分の意思で協力したんだ。後悔なんてしちゃいない」

「で、でもっ」

「それに約束しただろう？『一緒にいてやる』って」

「……」

「それとも何か？約束ふっかけてきたお前から破るってのか？」

沈黙。

沙耶の頬には既に涙が流れていた。

「泣くな」

そっと近づいて涙を拭ってやる。

そして沙耶の体を引き寄せた。

「私は怖いんです、失うのが……。世界も、日常も、自分も、直樹くんも、全部……」

「怖がったっていいさ。『人間』なんだから」