episode9―stance―
「また……か」
校舎爆破事件から4日後の朝、再び事件が起きた。
学校近くの家が一軒、丸々消失。
柱も残骸も跡形もなく。
沙耶が調べた結果、これも世界の歪みと混在が原因だった。
※※※
学校の屋上に来ていた。
いつもより強い風が俺と沙耶を吹き付けている。
「元気、だせよ」
「……私は大丈夫ですよ?」
「ほんとか?」
「もう、1人じゃありませんしね」
沙耶は目元が赤い笑顔を見せた。
まったく、ほんとに強いやつだよ、こいつは。
「で、どうすんだ?というかいつもの作業を繰り返すしかないんだろうけど」
「でも、回数を増やしても意味ないところがきついんですよね……」
「まじか……」
現状維持が限界ってことか。
今でこれくらいってことは沙耶が魔法を止めたら……。
考えるだけで恐ろしい。
「で、相談なんですが」
「うおぅ!?」
いきなり顔を近づけてきたので飛び跳ねるくらい驚いた。
「知り合いの人に話を聞きに行きたいんですけどついてきてくれますか?」
知り合いに神野とこの世界について詳しい人がいるので、その人に話を聞きに行きたいということらしい。
場所はかなり遠いらしいが。
「1泊くらいの覚悟でお願いしますね?」
「まあ構わないけど……」
「じゃあ明日出発で!」
「いきなり!?学校は!?」
「直樹くん、細かいことは気にしちゃいけませんよ?」
こいつ、俺より適当なんじゃないだろうか。