レア
『おーい、レアーいるかー?』
洞窟中に響きわたる足音とともに、
兄の声が聞こえてくる。
レアは兄に返答する。
『いるよ、てかここから出るのは買い出しの時だけだって』
『あーすまん、そうだったな』
久しぶりに兄の顔を見た。
二ヶ月ぶりだろうか。
そんなことを考えているうちに、
兄アリウレアは隣に座っていた。
『…でアリウレア、なんの用だ?』
さすがに暇だから来たとか、
たまたまよったとかは言わないだろう。
…ここからアリウレアの家まで海を渡らなければいけないのだから。
『あーそうそう、ここの国の国王が俺たちを呼んでるんだとさ』
『………、あぁわかった、行く行く。』
立ち上がって、本棚の上にある荷物をとる。
『いくぞ、アリウレア』
『おうよ。』
……森、井戸、湖、家、畑、いろんなものが視界に入ってくる。
『…アリウレア…なんかあれだな、買い出しの時には気にしてなかったんだが』
『…ここってかなり田舎だよな。』
そのレアの発言にアリウレアはあきれた顔で
『こんなとこに王城たてる国王いたんだな』
『…あ、あれが王城たぞ。』
村を抜けた先には、大きく白い塔が三つ並んでいた、その先には
『おー、あれが城かー!』
視界に入りきらないほど大きい、
ここらに住み始めて二年はたったが
ここまで大きいとは思っていなかった。
『…結構でかいんだな…』
見上げながら歩いているとレアがなにかにぶつかった。
『おうっ!?』
そこには二人の兵士がいた。
おそらく門番だろう、かなりいい鉱石でできた装備を着ている。
『あ、アリウレア様、レア様ですね、到着されましたか。』
ガチガチの装備で顔が見えなかったから
わからなかったが女の人だった。
『あー、うちのレアがすんません。』
『いえいえ大丈夫です、レア様、アリウレア様。』
んま、礼儀正しいこと。
『では、レア様、アリウレア様、許可書を出していただけませんか?』
……え?
『えっと、聞いてないんすけど…』
『……え?…あのあっちの村で村長さんに渡すよう、伝えておいたのですが…』
『………』
あっちの村に戻る = 4キロ戻る。