62話 勘違い勇者と理不尽
遅くなってすみません!!
49話の術式研究を魔法研究に修正し、所々を修正致しました。
よろしければご覧ください。
シュバルツ王国の王城に設置していた聖魔領域の入り口から王城に入った。冒険者ギルドでギルドマスターに紹介されたSランク冒険者達ももちろん連れてきた。
「な、ななななななっ!?」
冒険者の男が大声をあげる。この男は茶髪でごつい体だ。人族だろう。なかなかにイケメンな顔だと俺は思う。
「なんだこれ!す、すげえ!なんか知らない空間に入ったと思ったら王城についた!?意味がわかんねえ!なんだこれ!あんたの魔法か!?」
「いや、これはユニークスキルだ」
「ユニークスキルか!?すげえ!!!どういう効果なんだ!?なあ!!なあ!!!?」
「え、えっと……」
ものすごい勢いで迫って来る男に思わずたじろぐ。まるで子供のようだ。
「おい、アロウズ。スキルについて聞くのは冒険者の間じゃ御法度だろうが」
「あ……そ、そうだったな。す、すまねえ」
アロウズ……という男を止めたのは細いイケメンな優男って感じの金髪の男だ。ん?だが、この人……。
『ステータス』
名前:カエナス
種族:人種魔族
年齢:38歳
職業:魔剣士
Lv:43/100
生命力:5500
魔力:6740
物攻:8420
物防:7535
魔攻:8950
魔防:7420
知力:70
俊敏:9450
器用:7400
幸運:30
称号:望む者
ユニークスキル:希望者
ノーマルスキル:風魔法Lv8、気配察知Lv8、魔力察知Lv7、魔力操作Lv9
エクストラスキル:超成長B
なるほど。魔族の人か。でも魔族がこの国にいて大丈夫なのか?……だが、考えても仕方ない。だからといって本人に聞くわけにもいかない。
「アロウズはバカ。すぐに目的を忘れる」
「あぁ!?うるせえぞアーリー!!」
もう一人の綺麗な黒髪のお姉さんがアロウズに言う。このお姉さんは細くてものすごく綺麗だ。しかし、胸がおかしい。こんな大きさのものをつけていて大丈夫なのだろうか。
「アロウズ。とりあえず落ち着け。まずは自己紹介だろ?」
「そ、そうだな!!え、えっとアロウズだ。一応Sランク冒険者で、Sランクパーティの音速の剣でリーダーをやってる。パーティ名は俺が由来なんだ。恥ずかしいことにな。使う武器は剣だ」
「次は俺だな。俺の名前はカエナスだ。音速の剣のサブリーダーをやっている。使う武器は魔剣で風魔法を使いながら敵を倒す。魔剣と聞いたら危なそうだが全く問題ないぞ。俺は魔剣士だからな」
「最後は私。アーリーという。職業は武闘家で敵を殴ってボッコボコにするのがお仕事。因みに私は十九歳」
!?なんで年齢を言ったんだ!?そしてこの人見た目によらず脳筋…?
「俺はウルフです。得意なのは雷魔法で、前衛かな?そして武器は……」
異空間倉庫から吸魔の剣を取り出す。異空間倉庫に入れている間も魔力は吸われ続けていた。それがここ数日はなかった。気になっていたので、そろそろ見てみてようと思っていたのだ。だが、しかし。
「な、なんだよそれ、、、てか、どこから?収納系の魔法か?」
「ふむ、どうやら魔剣のようだな?」
「雷魔法?物語とあの変な子に興味ないけど君だったらお姉さん興味ある」
あ、あれ?なんか前よりも強そうになってるな…?一応鑑定をかけておくか。
『神魔の剣』
吸魔の剣が魔剣に進化したもの。持ち主からではなく、空気中の魔素や魔法を吸収して成長する。
なるほど、進化していたのか……。異空間倉庫に入れておくと異空間倉庫を維持している魔力を吸収して異空間倉庫が崩れてしまう可能性があるな……。とりあえず手に持っておこう。
「それよりも早く行きましょう。勇者達を早く見てみたいです」
「あ、あぁ、そうだなカエナス、アーリー。行くぞ!」
アロウズ達は小走りに訓練場に向かっていくようだ。俺はもちろん場所がわかんないから後ろについて行く他ない。
訓練場につくと、エルフのお姉さんと優しそうなお兄さんが黒髪の少年少女達がいた。黒髪の少年少女達はおそらく召喚された勇者達だろう。
勇者達の中にAランク冒険者達よりも魔力の高いものが数名いるのを確認した。彼らはエルフのお姉さんと優しそうなお兄さんの話を聞いていた。
「おーーい!エイミー!カーミン!!」
「おいおい!なんだこのちびっ子は!?勇者様の訓練は子供の訓練場じゃないぞ??」
黒髪の少年の一人が俺をちび呼ばわりしてくる。まあ、俺はこんなことにいちいち腹を立てたりはしないんだが。
「んん??その剣かっこいいな!?んー神魔の剣っていうのか!お前にはもったいない!勇者の俺が貰ってやろう!」
………なんだこいつは?勇者になったからって調子に乗ってるのか?
「ウルフ!落ち着け!?こいつはいつもこうなんだよ……」
「あ!アロウズ!アーリーさんとエイミーさんを俺のパーティーに入れる件について考えてくれたか!?二人もそれを望んでいるはずだ」
「いや、それは無理だって前にも言っただろ!?」
おいおい、こいつアロウズさんを呼び捨てかよ………とんでもないやつだな……。
「アロウズなんかといるよりも俺といた方がいいだろ!!あ、ちびっ子!お前もどうだ?お前もかわいい顔してるな!!」
俺、男なんだけど………てかそういう発言は控えた方がいいと思うんだよなあ……
「―――――あ?」
アロウズが驚く程低い声を出し、魔力を動かしたようだ。俺をちび呼ばわりした少年―――勘違い野郎と呼ぼう。の後ろに周り、殴りかかろうとしている。当たったら意識は一瞬で飛ぶだろう。
「アロウズさん落ち着いて」
そのアロウズよりも早く動きアロウズを元の場所に元の姿勢で戻しておいた。勇者達は何が起きたか理解出来ず、Sランク冒険者達は俺の異常さに目を見開く。
「?今なんか動いた気がしたけど気のせいか?まあ、いいや。この話はまた今度!今日も訓練しようぜ?今日は魔法の使い方について教えてくれるんだろ??」
アロウズはそうだなと言って魔法の訓練を始める。全員を鑑定すると、一応魔力操作はレベルが低いながらも使えるようだ。
「えーとだな前にも言った通り俺は音魔法というユニークスキルが使える。音速の剣というパーティ名はそれが由来に関係するんだが、使えるだけではダメなんだ。それを纏うことができなければな」
「はーい!アロウズさん!武器に纏わせるのならもうできます!」
勇者の一人の元気そうな少女が
「まあまあ、話は最後まで聞くもんだ。纏わせるのは武器にじゃない。自分だ。こんなふうにな」
アロウズの回りに魔力の膜のようなものがはられる。音魔法を纏ったようだ。
「音魔法を纏うと音のように早く動ける。それが音速の剣の由来だ。音のように早く動けるだけで、完全に音と一緒とはいかないがな。さて、君たちには一周間で魔法を纏えるようになってもらう」
「すげえ!すげえぜ!これが出来るのは俺だけだと思ってたからよ!」
アロウズの話が終わるとさっきの勘違い野郎が騒ぎ始める。ついに気でも触れたのだろうか?
「おおおお!!!!!」
勘違い野郎が雄叫びをあげたと思ったら雷を纏っていた。どうやら俺と同じように雷を使えるようだ。
「アロウズ!俺も纏うことができる!俺と勝負しないか!?なんならそこのちびっ子でもいいけどな?」
この男はどうやらたったそれだけでアロウズや俺に勝てる気でいるようだ。ここは俺が訓練をしてやろう。俺は訓練場に防魔結界と防音結界と物理結界をはる。結界をはる時にカッコつけて指パッチンするのを忘れない。
「!?結界をはった!?一瞬で三つも!?しかも同時に……魔力を全く感じないのに……あの子は一体…?」
エルフのお姉さんはさすがエルフなだけあって魔法やそれらに詳しいようだ。俺は防魔結界を自身のまわりに展開しているから俺の魔力を感じることはできないだろう。
「俺が勘違い野郎に纏いのその先を教えましょう。もちろん手加減はしますよ」
「おい、ちびっ子。鑑定かけたのになんでお前のステータスは見えないんだ?」
「俺に勝ったら教えよう」
「上等だぁああああ!!!!!雷魔法は選ばれし勇者にしか使えない勇者専用の魔法!そしてこれは勇者しかもてないものだ!!聖剣召喚!!」
雷を纏って聖剣を召喚する。勘違い野郎に悪意はない。あるのは純粋で凶悪な下心のみ。どの世界に言っても面倒なものだ。
「纏うことが出来たならその先にも行けるはずだな纏う先は成るんだ。こんなふうにな」
俺は雷に成る。その名の通り雷そのものになる。纏うとしたら纏ったものの“ように”しかなれない。しかし、成ればそのものに成れる。つまり、ウルフは今、雷そのものになっているのだ。
「な、なんでその魔法を使えるんだぁああああ!!!そ、それは!勇者にだけ許された魔法だぞぉおおおおおおお!!!!!」
勘違い野郎は聖剣に魔力を込め、普通の人間ならば消し飛ぶ程の魔力が込められた一撃を振るう。俺はそれを避けるまでもなく、受ける。それは俺を通り過ぎる。
雷に成っている俺は雷そのものだ。相手の一撃もすり抜ける。しかし、それは魔力が拮抗していたらすり抜けずに当たってしまう。まあ、俺に魔力が拮抗している奴がいるなら会ってみたいけどな。
そんなことを考えながら勘違い野郎を殴る。もちろん寸止めだ。寸止めでもあまりのステータス差に勘違い野郎は結界まで飛んで、結界に当たって気絶する。
アロウズとカエナスとアーリーの三人はともかく、エイミーとカーミンや勇者達は口をあんぐり開けて固まっていた。
その時に訓練を見ていた兵士数人がどこかに走っていったので、俺は分身を放っておいた。




