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災いの爪  作者: 豆粒
異世界安定編
71/75

60話 神使の村ゲーラット

祝!総PV3万!!そして祝60話!!

おまたせしてすみませんでした!

端末の調子が悪くなっておりました……


 ここは滅多に人が訪れない森。ここはマーノ大森林。二千年前には魔の大森林と呼ばれていた場所。魔の大森林という名前は時が経つに連れてマーノ大森林となった。


 その森の奥。そこには五百年前の戦争の戦火から逃れるために、逃げてきた人間達がいた。ここは弱い魔物しかおらず、人はあまり寄ってこない。逃げ隠れるには最適な場所だった。


 森の奥へと逃げていくと、そこには高く聳える塔が建っていたのだ。その塔は、五百年前の人間では建てることが出来ないような代物だったので、彼らはその塔を神の塔と名付けた。


 その周りに村を作り、塔を登った。村人達が苦労して辿り着いた塔の最上階には、玉座があり、それを神の玉座と呼んだ。


 以来、子供が産まれると玉座に祈りを捧げに向かった。もちろん。トラップなどは全て解除したので安心だ。


 今回もいつも通りに何事もなく、終わると思っていた。長老と産まれたばかりの子供。そしてその両親と兄二人で最上階の神の玉座へと向かった。


 長老が玉座の前で祈ろうとしたその時。玉座の前に突如白髪の少女が現れた。その少女は玉座に座る。座る時に久しぶりだなーという声を長老は聞き逃さなかった。そして赤子を掲げ叫んだ。


「この子に名前をおさずけ下さい!!」




 ウルフは困惑していた。久しぶりに玉座に座ったら目の前にいた人間に名前をさずけてほしいと言われたのだ。それは困惑するのも当たり前。しかしウルフは名を考える。


「そっちの二人は兄弟ですか?」


「はい!ラクスとルークでございます!!」


「ふむ……その子の性別はなんですか?」


「女の子でございます!」


「それでは……ロア。その子の名前はロアにしましょう」


 兄二人がラとルと名前の最初にラ行を使っていたので同じように名前の最初をラ行にした。


 ウルフが名付けると、赤子は光に包まれた。何度も見てきた進化の光。ウルフが見間違えるハズもない。光がおさまったところでウルフは赤子のステータスを確認した。


『ステータス』

名前:ロア

種族:天人種人族

年齢:0歳

職業:ーーー


Lv:1/120

生命力:1000

魔力:1500


物攻:3

物防:2

魔攻:1700

魔防:1500

知力:100

俊敏:5

器用:1

幸運:300


称号:目覚めし力、女神の卵


加護:チート大魔王の加護


ユニークスキル:魔力覚醒、天候魔法、吸収


ノーマルスキル:気配察知Lv1、魔力察知Lv1、魔力支配Lv1


エクストラスキル:状態異常無効、超成長A


 スキルの多さと赤子とは思えない魔力。とんでもない称号。ユニークスキルが三つ。そして加護。突っ込みたいところがいくつもある中、ウルフは種族に注目した。


「天人種……」


 聞いたことも見たこともない種族。だが、名前の感じからして魔人と対をなす種族であることはほぼ間違いない。村人達は言葉を失っている。


「……この少女の未来を変えてしまったかもしれない…」


「……どういう事ですかな?」


 ウルフが呟いた言葉に長老がすかさず反応する。当然の疑問である。


「この少女の種族が…人種ではなく、天人種となってしまったのです…」


「……天人種とはなんですかな?」


「おそらく……魔人種と対をなす種族でしょうか…」


 そう言ってウルフは頭を抱えた。村人達は思わず息を呑む。そして、長老は


「す……素晴らしい!!そのような者が我が村に生まれるとは!!感謝の念が絶えませぬ!」


「そうですか…?……それならばいいのですが……」


 ウルフは長老のその言葉で気持ちを直し、玉座から立ち上がり聖魔領域を開いた。


「それでは村に行きましょうか」


「「「え?」」」




 村人達は警戒した。村の広場に突如、知らない白髪の少女が姿を現したのだからそれも当然。すぐに長老達も広場に現れたことで警戒はとかれた。




 ウルフは広場のベンチに座っていた。村人達が緊急会議を開いてから一時間程が経った。緊急会議はまだ終わりそうにない。


「ねえねえ!遊ぼー!」


 後ろから不意に声をかけられる。振り返ると少年少女達がいた。


「かくれんぼしよーよー」


 知らない子でも、子供たちは恐れなく声をかける。大人達は会議をしていて、今は子供たちのみ。声をかけて来たのとは他の子もいる。ロアの兄である、ラクスとルークもいる。あの二人がこの中では年上なので、おそらく子守だろう。


「おい、ルーク。止めた方がいいのかな?」


「わ、わかんねえ、て、てか、どう接したらいい人なのかわかんねえ」


 ラクスとルークはウルフにどう接したらいいのかわからず、困惑しているようだった。それもそうだ。さっき塔の最上階で行われたのは神の御業と言われても納得してしまうものだ。それを見たあとでは……それをやった本人にはどう接したらいいかわかるはずもない。


「じゃあ、俺が鬼でいいかな?」


「いいよー!目を閉じて百までかぞえてね!」


 ウルフは目を閉じて百まで数える。逃げていく子供達。村の端まで全力で逃げた子もいるようだ。子供達のかくれんぼでは絶対に捕まることはないであろう。しかし、相手はチート大魔王。子供のかくれんぼにも手は抜かない。


 十分後全員を見つけ終わっていた。かくれんぼが終わったところで会議をしていた大人達が出てくる。長老がウルフの前に跪く。


「御名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」


「ウルフです。よろしく」


 村の大人達はその名前を胸に刻み込んだ。


「二千年の間に何が起こったのか知りたいのですが、それを知ることが出来る場所はありますか?」


「国の首都にある図書館などならば調べられるかと思います」


「なるほど……じゃあシュバルツ王国に行ってみるか……確か方角はあっちだったかな……?」


 ウルフはそう言ってシュバルツ王国に飛び立った。長老はもはや驚かずにただ無言でウルフが飛び立った先を見つめていた。

どうでしたか!?

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