58話 悟られぬ危機
今回はこの章のエピローグ的なものです
かなり短いです
ここは魔神城。その玉座の間で一人の魔神。六人の魔王。そして一人の魔人がいた。
「そうそうにかつての力を取り戻さねばなるまい」
魔神サタンはその場にいる全員にそう言った。
「特にメフィストフェレス。お前はまだ魔人ではないか。ベルゼブブも既に大魔王種に戻って覚醒は近い」
「承知しております。我が君よ」
「まあ、お前ならば問題は無いだろう。それよりも……今回の被害を聞こうか」
「はい。ルキフグスやアガレスなどを含む上位悪魔が三十二人。その他の下位や中位の悪魔が百二十一人が死亡しており、その他にも姿が見えないものがおりますので……消滅させられたものも少なくないかと思われます」
「ふむ。蘇生出来るものは蘇生しておけ。早々に力をつけ、我らを見下ろす忌々しい神々を堕とすのだ!!」
人間達はサタンが人間を滅ぼそうとしていると思っているのだろうが、そうではない。サタンはもはや人間のことなど見ていない。
「だが……たとえ本来の力を取り戻しても…この場にいる私を含めた者では……ウルの相手をすることは出来んだろうな」
山の拠点でソウタは考え事をしていた。前のサタンは人間を滅ぼそうとはしていなかった。勇者との大切な記憶を思い出し、人間ではなく、聖都の教皇と枢機卿を滅ぼそうとした。
そのサタンが人間を滅ぼすなど考えにくい。いや、考えたくないだけか。と、自重気味に呟く。異世界に行って調査をどうしようか悩んでいると屋敷に二つの反応が入ってくる。
バー二とナタリーだ。
「ソウタ!!お前あれはどういう事なんだよ!」
「ちゃんと説明してもらいますわよ!」
体育祭でソウタは正体を見られてしまった。なのでもうヴィクトリア学園にはいることは出来ない。サタンの調査に集中するためにも学園にはいない方がいい。そういう結論に至ったのだ。
「……私も手伝いますわ」
「俺も手伝うぜ!」
「だが、あちらの世界は危険だぞ?」
「わかっていますわ」
二人の目を見つめる。二人の意思は固いようだ。ソウタも覚悟を決め、二人の前に真の姿を現す。
「樋爪宗太改めウルフ・クローだ。よろしく頼む」
手を差し出しながらウルフは二人に告げる。二人は数秒間は躊躇ったがウルフの手を強く握った。
「だが、お前ら二人が学園をやめる必要はどこにもない。二人にはこちらの世界の調査を頼みたい。休みの日にこの屋敷に来てくれ。異世界にも連れて行けるかもしれない。だが、あと五日はこちらの世界の事を調べて学校に言ってくれ」
「わかりましたわ」
「わかったぜ!」
「それでは早速異世界の調査に行くのですか?」
「いや……まだだな。アイツが帰ってきていない」
「アイツ?」
そんな話をしていると、ドアがノックされる。扉が開き、そこから出てきたのは……
「ただいま戻りました。………御報告をしてもよろしいでしょうか」
「ああ…スレイよろしく頼むよ」
異世界の調査に向かっていたスレイである。ウルフはスレイの到着を待っていたのだ。




