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災いの爪  作者: 豆粒
学園生活編
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51話 拠点とフラグ


 屋上から見下ろすと驚いた顔をした冒険者達が見上げていた。互いに力を抑えていたとはいえ、ステータスが高い二人の戦いをCランクやBランクの冒険者がまともに見れるわけがない。


 二人が戦っている時のCランク冒険者とBランク冒険者は、何かが動いているということしかわからなかった。


 ソウタはそんなことは気にせずに下りる。当然、全員の視線がソウタに注がれる。ソウタは気まずくなり、帰ろうかと考えている。そんな中ソウタに声をかけたのはナタリーだった。


「………やったの?」


「いいや、逃がした。てゆうか、帰った」


「アイツは一体なんだったの?」


「ん?魔王種だよ。魔王種。ここにいた魔王種を倒してたらしいよ」


「魔王!?ここに魔王がいたの!?それを他の魔王が!?え?ということは魔王は七人になったの!?」


「んん?」


 魔王についてあまりよくわかってはいないが、魔王種は八人だけではないのは確かだ。


「魔王種だよ?というか魔王種は世界に八人じゃないからね?人間が把握しているのが八人っていうだけで魔王種はもっといるよ?この間の遠足の時のも魔王種だし」


「ええ!?そうなの!?嘘……というわけでもなさそうね……。というか魔王種って何?」


「ん?魔王種っていうのはそういう種族だよ。魔人種の上だよ。魔王種の上には覚醒魔王種がいるし、遠足の時のは魔王種で、さっきのは覚醒魔王種だね」


「え!?何でそんなことを知っているの!?あなたやけに詳しいわね」


「まあ、冒険者だからね」


 それを聞いていた冒険者や、ギルド職員も驚いている。魔王は八人。誰もがそれを信じていたからだ。それが、魔王は他にもいるということを聞かされれば驚かないはずがない。


「あの〜魔王種、覚醒魔王種はそれぞれどのくらいの強さなのでしょうか…。魔人種とは戦ったことがあるので、わかります」


 ギルド職員の男が聞いてくる。魔人種とは戦ったことがあるらしく、それは大丈夫らしい。


「んーと、魔王種は魔人種の三倍くらい強い。覚醒魔王種になると、ユニークスキルを持っているのは確実だから、どのくらい強いとかっていうのは言いづらいな。まあ、覚醒魔王種は魔王種の三倍以上強いのは確実ですね」


「な!?魔人でもAランク冒険者が十名死亡したんですよ!?それよりも!?」


 前にこの国で魔人が現れた時にAランク冒険者冒険者が討伐に向かった。その時にAランク冒険者が十名死亡した。魔人は取り逃したらしい。


「はい、魔王種はものすごく強いですよ。ここにいる俺以外の人が束になってもやられちゃいますね」


「!そうでした!あなた一体何者何ですか?あんな巨大な魔力の化け物と戦っているなんて!Fランク冒険者とは思えません!」


「んー、世界にもたくさんいるんじゃないですかね?冒険者になってはいなくても強い人達が、ね」


 それを聞いてギルド職員が集まり小声で喋り始めた。ソウタにはもちろん聞こえているのだが。


「ソウタさん。あなたの冒険者ランクをAランクに引き上げます。ここにいる誰よりも強いというのはわかりました。戻ったら我々が掛け合います」


 その後、魔物を殲滅し、数人残して冒険者ギルドに戻り報告した。冒険者ギルドはすぐにAランク冒険者を派遣して発電所の警護に当たらせ、そこの修理なども依頼した。


 ソウタの冒険者ランクは問題なくAランクに上がり、ソウタは寮に戻り眠った。


 次の日の放課後、ソウタは邪神教や魔王について調べることを考えついた。しかし、それは一人では出来ないかもしれない。ソウタは拠点探しを開始した。


 しかし、この国に疎いソウタは人を頼ることにした。今一番仲のいい相手。


「ふーん、そういうこと。それなら私も協力してもいいわ。どんな拠点がいいの?」


「うーん、聖魔領域に入るための入口を設置したい。覚えてる?聖魔領域」


「あの不思議な空間よね?うーん、ここら辺の空き家っては……」


「いーや、土地だけでいい。建物は自分で建てるよ」


「そう、なら付いてきて」


 そう言ってついていくと、山に着いた。その場所はアーチボルトさんの家が所持している。山らしい。ここは居住区から離れており、人目にはつかない。


「ありがとう!ここなら問題なさそうだね!」


 山頂部分に、ソウタは建物をつくった。というか城を。居住区から見えそうだったので木魔法で木を作ったり、成長させて隠した。


 その後、建物を聖魔領域で繋げて配下達をこちらの世界へと連れ出した。


「この山を守ってくれ。魔物は排除。魔人種、魔王種や人種が来たら生かして捕らえておいてくれ。頼んだぞ」


 さっそく全員が動き始めた。


「ありがとう!アーチボルトさん!君のおかげでこんないい場所が見つかったんだ!」


「そ、そんなことないわよ!」


「そんなことあるよ!アーチボルトさん!」


「ナタリー。ナタリーでいいわよ」


「ありがとう!ナタリー!」


 それを聞いてナタリーは顔を真っ赤にして帰って行った。それを見送ると後ろから声をかけられる。


「主よ」


 後ろを振り返ずにソウタは返事をする。


「バル。戻ったか。スレイはどうした」


「彼奴はまだ色々と探っておるようじゃぞ。まあ、儂の話を聞くがよい」


 ソウタはバルの話に耳を傾けた。

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