44話 昇格
今回はかなり短いです。
ウルフが町(保護区域)に戻ると慎吾が鳥族の魔人達を見下ろしてベンチに腰を下ろしている所だった。町を守っていたのはどうやら慎吾だったらしい。
「中村」
「ん?ああ……樋爪か」
「何があったんだ……」
鳥族の魔人達は五十人程いる。その全てがもう二度と動くことはないだろう。が、慎吾に魔人を五十人も屠るだけの魔法があっただろうか?それとも今作った?ウルフは思考しつつ聞いた。
「圧倒的な兵力差だったからな。結界を使いながら奴らに俺の得意な呪文を放ち続けた」
「得意な呪文……四代元素魔法か?」
「いや、回復魔法と補助魔法だ。あれはあまり魔力も使わんしな、このベンチに座りながら余裕を持って倒せた」
「………回復魔法と補助魔法…?」
回復魔法は回復を。補助魔法は強化や補助をする魔法だ。決して害のある魔法ではない。それがこのような結果に?
「何、難しい話ではない。傷を負ったり体力を消耗していない者達に回復と補助をかけたらどうなると思う?」
「回復魔法は機能しないで補助魔法は機能する」
「うむ。その通りだ。だがしかし、それを続けたら?何回かではなく、何十回も」
「強化だけ、され続けるんだろ?」
「違うな。過剰な回復魔法は生体組織を破壊していくんだ。気付かないうちにな。そこにさらに補助魔法をかけたらどうなると思う?」
「………?わからん……」
「生体組織を破壊されて弱っているところでステータスが変動しない限り、補助魔法の上限は変わらん。ヒビがたくさん入ったコップに水を注ぎ込むのと同じだ。力は溢れだし、制御をすることが出来なくなる。制御出来なくなった魔力は内側で爆発していく」
「なるほど………」
「こいつら全てにそれを実行しても十分の一の魔力も消費せずにそれもたった今全回復したところだ」
「あ、中村。これからのことを話さないか?」
「これからのことだと?」
慎吾とウルフの話し合いは心太が帰ってくるまで続き、帰還組全員が揃ったところで話し合いの結果を話した。
「―――ということだけだ」
「なあ、慎吾。なんで自分たちのステータスを隠す必要があるんだ??」
「心太。冒険者協会の支部に言った時にそこにいたヤツらのステータスを見たがあそこにいたのでMAXが五千だぞ?冒険者協会最強でもステータスは三万といったところだろうそれに比べ我々はステータスのどれかが八万を超える化け物が七人もいるんだ。それに全員五万は超えているんだぞ?」
「ああ、常識的に考えてってことか。わかった!」
その後全員が承諾しその場は納得した。ウルフがとっとと先に帰り、、全員が解散しようとしたところで校長先生が来て、校長室に呼ばれた。どうやらここにいる全員をCランク冒険者にするらしい。
「今回の戦いに皆さんも貢献してくれたようだ。戦いを見る限りCランク冒険者になっても問題ないレベルのはず。ステータスのどれかが五百を超えていますね?」
全員同意してこの場にいる者達はCランクに昇格した。その後、校長先生は明日からの学校について語った。ウルフはもしかしたら昇格の話があるかもしれないが、昇格はしないと言っていたために誰も口にしなかった。
「この学校は戦闘科と非戦闘科に分かれており、非戦闘科を望む場合はここから一キロ離れたところにある学校に行ってもらうことになる。先生がたも選んでください」
戦闘科になるものはステータスのどれかが八万に達している者達七人だ。ウルフは源が戦闘科に希望するとした。こうして全員は解散した。これからのことを祈りながら。
次の日、始業式を迎えた。




