42話 教師達の暗躍
佐山先生みたいな感じの人が作者は好きなんです
なのでチートのような強さでも許してください
「おー、きたきたー」
「……本当に来ましたね」
「あ、信じてなかった?それは酷いなー」
「す、すみません……北に樋爪君が行ったから南側にいれば魔物達が逃げてくるなんて言われても信じられませんよ……それにしても……」
「うん。樋爪はまた魔力があがったようだね〜。一体全体彼はどこまで成長するんだろうね」
暁心太がゴブリンキングを倒したよりも南で教師二人が雑談をしていた。その二人に近付いていく魔物の群れ。この魔物達は北に現れた謎の巨大な魔力から逃げる為に真逆の南へと向かっている。
それを待ち構えるのは佐山源と甘翔美羽。二人の教師は建物の屋上から魔物達を見下ろしていた。すると、源は胡座をかいて座った。
「甘翔先生だけでも十分でしょ」
「そうですね……」
そう言うと美羽は屋上から飛び降り着地する。そして駆ける。敵の先頭につくと美羽は剣を振り、薙ぎ払う。魔物達の中に身を投じていくと、魔物達は美羽を脅威だと認めて囲んで応戦してくる。
美羽は応戦する魔物達も薙ぎ払う。その影で応戦してこない魔物達には魔法を飛ばして攻撃をする。が、それでも魔物達は止まらない。それに、この数を相手にするのは無理なのだ。
「さ、佐山先生!手伝ってください……」
「うんうん、そんなこともあるよね。それにしてもあちらの世界に愛用の剣を置いてきてしまったようだ」
「え、ええ……」
「ま、つくれるけどね。属性変換」
屋上から飛び降りて地面に着地しながらそう言って、今までいた建物に手をかざす。すると、建物の半分が無くなり、源の手には一本の大剣が出来ていた。
「うおおおおお!どけ人間!!おお!土魔法!!!武器創造!」
魔狼族の魔人が土魔法で大剣をつくり、源に斬りかかる。源はそれを大剣ごと叩き斬る。魔狼族の魔人がつくった大剣は土を固めて金属のような強度にしただけのもの。
「どんなに見た目が立派でも中身がスッカスカじゃあ……意味がないよ。ってもう聞こえないか」
対する佐山がつくったのはコンクリートを分解。一度砂状にしてから凝縮して作ったもの。少し土を掘って出来ただけの剣とは違うのだ。
そして、佐山は美羽の苦戦具合を見ながら美羽に語りかける。それはまるで、戦う前から確信していたかのような、そんな言葉。
「かわろうか。多対一は僕に任せて甘翔先生は一対一を頑張って〜。ちょっと離れててね〜」
「……はい…」
源は美羽の変わりに前に出て呟く。
「灼熱魔法。灼熱空間」
何の攻撃も来ないことに魔物達はわけがわからず混乱するが、攻撃してこないのを見ると、源に向かっていく。何だか暑い気がするが、それは心の昂り。そう思いながら。
「いいのか?そんなに動いて」
魔物達はその言葉を気にせずに突き進む。しかし、魔物達は異常に気付く。疲れた。まだ、五十メートル程度を軽く走ったつもりだったが、百メートルを全速力で走ったかのような疲れ。そこで先頭にいた龍が気付く。
「まさか、貴様!ここら一帯を―――」
この龍が気付いたのは源が口にした言葉。『灼熱空間』そして先程の謎の暑さ。そう、灼熱空間とは辺り一帯を徐々に灼熱の空間に変えていくもの。
「だ、だが貴様も灼熱空間とやらで体力の消耗が激しいのではないか?」
「ん?いやいや、灼熱空間は確かに近くを灼熱の空間に変えることが出来る。でも……それは僕が熱量をコントロールしてるからなんだよ?」
「な、そ、そんなば、馬鹿な……!?」
「これでも決定打とはならないよね、だから……」
「まだあるのか!?」
「灼熱魔法を属性変換で闇属性にしたら何になると思う?」
そう言いながら源は左手に黒い闇の力を集めていく。龍は見たことはないが昔闇属性最上位の魔法について聞かされたことがあった。そして、身の危険を感じた龍は龍人化をする。
「あ、暗黒魔法……!!」
「ご名答。なかなか博識なようだ。そんでもってこっちにはっと、」
右手には白い光の力が集まっている。そう、純白魔法だ。その二つを混ぜて灰色の魔力を作りだす。
「な、なんだそれは……」
「ん?これか?これは光属性の最上位魔法と闇属性の最上位魔法をあわせたものだ。これはまず、君たちの闇の力を高めるんだ」
「……なんだと?それでは我々の強化をしているようではないか?」
「そう。まず、闇の力を高める。そしてコレには光の力も混ざっている」
「―――!!!ま、まさか!き、貴様ぁぁあああ!!」
「合体魔法」
龍人化した龍は元々の二倍の強さになるという。その龍族が平静を失い、ただ敵に突撃するだけという愚行を侵してしまう程の恐怖。それを植え付けたのは日本のどこにでもいるような顔をした、冴えないオッサンである。
「純然たる暗黒」
源から灰色の波動が広がり、それは魔物達を包み込む。その波動がおさまると……魔物達は跡形もなく消え、建物の残骸は残っていた。まるで、最初から何も起きていなかったかのように。
「今の、技は?」
「ん?ああ…単純な話だよ。闇の力が強ければ強いほど、光属性の魔法は威力が高まるんだ。ただそれだけ」
「ですが、そんなことをして闇の力を強化したら、光の力を相殺されてしまうのでは?」
「それも単純さ。突然大きな力を得て、思い通りに使いこなせると思うかい?闇の力が高まって、闇の力は高まっても扱えなければ相殺することは出来ない。でしょ?」
美羽は冷や汗をかいて、思った。この人が味方でよかった。と。そんな美羽に源はいつも通り語りかける。
「じゃあ、帰りますか?」
「あ、ま、待ってください!!」
教師二人はこうして帰った。何事も無かったかのように、軽く語り合いながら。
やりきった
ただそれだけですね




