40話 あたりとはずれ
今回は暁君のターン!
うおおお!頑張ります!
樋爪宗太と天空寺新は北に向かっていった。ならば!と、心太は南に向かった。全方位から敵が攻めてきたのなら、どの方位に行っても、強敵はいるだろうと信じて。
保護区域を出て心太は保護区域の外側を初めて見渡した。保護区域の周りには城壁が築かれていて、その外は、世界が終わったかのような惨状が広がっていた。
立ち並ぶ家や店は崩れ、そこからは草が生えている。その瓦礫の下には魔物達がいて、この世界は終わってしまったかのような錯覚を覚える。
瓦礫の下にいた魔物達を一掃すると、心太は魔物の大軍に向かっていった。保護区域という名の町を守る決意を固め、ついでに強敵とも戦えるようにと願って。
魔物が見えた。そこから更に加速していく。加速、加速、加速。気付けば魔物を吹き飛ばして魔物の大軍の中に入っていた。その中で魔力を解放する。
弱い者達は魔力を当てられただけで絶命し、絶命せず生き残っても重症となり倒れてしまったり、魔力を解放しただけで、大半の魔物達は戦意を喪失した。
借り物の剣を振るうと、百体程度の魔物が絶命した。当たりまである。ステータスが五桁の心太の攻撃を喰らったのはステータスが二桁や三桁の者達。文字通り桁が違うのである。
「ちっ、生命感知今使ってみたら北の方が強い反応があんじゃねえかよ。南ははずれか」
「それはどうかな?人間よ!!」
激しい音と共に現れたのはゴブリンキング。その魔力の反応は魔人に届きそうな程である。彼は今攻めてきている魔王の四天王である。
「私は魔王バフォメット様に名を授かりし四天王が一人!バルカである!私が来たからには貴様らはもう終わりだあ!!」
「おお!なんて魔力だ!!!絶対に強いな!!」
「なかなかわかる人間だ!いざ!尋常に―――」
「いや、お前のことじゃねえよ」
突進してきたバルカを一刀両断しながら心太は北を見る。北からは新よりも大きい魔力の反応を感じ取った
北では丁度、鬼の魔人が新の魔力を超えたところであった。北に向かいたいという衝動を抑え、残党を処理していく。
南にいる魔物はゴブリンが殆どで、強そうな魔物は見当たらない。面倒になって来た心太はもう終わらせることに決めた。最初からそうすればよかったのかもしれないが、心太は強者と戦いたかったのだ。
「神剣召喚」
心太は借り物のボロボロになった剣を捨てた。勇者の魔力に耐えられる程の剣ではない。所詮は鈍である。
心太は剣の先端に魔力を収束している。今思いついたばかりの敵を消し飛ばす技。技とは言い難い、しかし、技じゃないのかと聞かれればそうでもないような、そんな技である。
「うおおおおお!消えてなくなれバーストォォオオオオオオオ!!!!!」
剣の先端から南にいる全てを包み込む程の光が放たれた。魔王に出撃を命じられた魔物達に撤退などはなく、南の敵全てはその一撃が当たっていた。
その惨状を引き起こした張本人は口笛を吹きながら、北に足を向けていた。北側には強いものがいる。そんな気がしたのだ。
南から町に魔物が入る心配はなくなった。それを確信しているのか、心太が南を振り返ることはなかった。




