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災いの爪  作者: 豆粒
大陸騒乱編
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37話 無限の友情


 聖龍、改め邪龍のバルを仲間に加えたウルフは戦場へと戻った。しかし、そこではもう既に戦いは終結していた。ユウトが殴り続けたことにより、サタンが正気を取り戻したのだ。そこでユウトは聖国軍を撤退させた。しかし、撤退したところで帰る城はない。


「ウル……勇者に聞いたぞ………お前もあちらの者だったらしいな」


 配下の者達にバルの事を説明し、ダンジョンへと帰らせたあと、サタンがウルフにそう言ってきた。


「今回呼び出された勇者達をここに呼んではくれまいか……?」


 同じクラスの者達と副担任をマイワールドに入れたのを忘れていたウルフは、彼らをマイワールドから出した。ついでに、ヒューマ聖国に存在がバレずに操られず、ついさっきまで爆睡していた佐山源も連れてきた。


「これで全員か……そうか……それでは………この帰還の魔法書を使って……帰還させよう」


「ああ……そうだな。いいか。俺とこいつは死んでいた存在だ。だから………何が起きても気にするな」


 なんのことだか全く理解出来ていないうちに、サタンは魔法陣を展開した。徐々に魔力を込めていき、ユウトが魔力を込めようとした時。ユウトを押して魔法陣に押し込んだ。


「な…!?なんでだ!?俺がいなきゃお前……!!」


「そんなことはとうの昔に分かっている。これを起動するには光属性の魔法を持つものでないと体がもたんのだろう?」


「!!知っていたのか……?いや、知っているのならばなぜ!?」


「これを使ったものは命が……尽きるそうじゃないか。大方貴様は我に魔力を少し供給させてあとは全て自分がやるつもりだったのだろう?」


 会話をしながらもサタンは魔力を込め続ける。魔法陣の周りに光の壁ができる。異世界に生身では飛べないのでそれに耐えるための物だ。


「な!?……全部……バレていたんだな…」


「我を誰と心得る?魔王であるぞ。少ししか関わっておらん我まで助けようとするような甘ったるい考えの勇者を、何も分かっとらんフリをしてだまくらかしてやったわ!ふはははははは!」


「じゃあ!じゃあなんで!なんでお前は泣いてんだよ!!!」


「………我は…敵には容赦はせぬが…友や仲間にはすぐに手を差し伸べるのだ。そして……友や仲間との別れはさびしいものだ」


 ユウトはもはや言葉も出なかった。膝をつき、ただただ……涙を流し、自分を友と呼んだ宿敵だった男を見上げた。その男も泣いてユウトを見下ろしていた。


「我は十二分に生きた。貴様にはまだまだ未来と可能性がある。そして、勇気や優しさも。こんな罪だらけの男より勇者を生かした方がいいだろう。………永遠に失われることはない友情に……うおおおおおおおお!」


 周りにいる者達はもはや口を挟むことは出来ない。魔王の体は徐々に崩れていく。そんなことはどうでもいいとばかりに魔力を込め続ける。


「勇者よ………別れの時に言う言葉は知っているか?」


「ああ……もちろん知ってるさ………!……また会おう……魔王」


「ありがとう……また会おう……勇者」


 二人とももう二度と会えないであろう事など分かっている。が、今この場でそのことにふれる者は誰もいなかった。


「すまんな。ユリス、バンダ。百年間も軍を任せたが………怒られるんじゃろうか……いや、あの二人ならば………」


 最後にそんな声がウルフ達の耳に届いた。ユウトの泣き声が聞こえるなか、意識が遠のいていく。目が覚めるとそこは二ヶ月前に自分達がいた教室だった。

今回は会話シーンが多かったですね

魔王と勇者を少しだけでも語らせてあげたかった……

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