33話 勇者軍到達
ヒューマ聖国で送還の魔法書を手に入れたウルフは、送還の魔法書を異空間倉庫に入れて魔の大森林のダンジョンへと向かった。
ダンジョンに帰ってウルフが抱いた感想。それは……「誰だ、こいつら」で、ある。あまりの変貌ぶりに驚いたのである。キングクラスだった者達は全員が魔人へと至っている。ハイクラスの者達はキングクラスに。スライム達はいろいろな属性のスライムが生まれていた。
ライはダンジョンの改築を重ね。名を持つ者達の部屋をつくりあげていた。その部屋にはマイワールドへの扉を設置しておいた。その設置作業をしている時、南から魔王と同等の魔力を感じた。その反応は本当に一瞬、ウルフは気にしなかった。
ウルフは特に異常もなく扉を設置出来たので、その扉を開けて魔王城へと向かった。扉を設置したのは用事の時などに簡単に話をしに行くためである。
魔王城へと戻ったウルフは、サタンに送還の魔法書を渡した。あの時の勇者を送還したいと願うサタンが嘘をついているようには見えなかったからである。
その後の二日間は、魔王城の自分に与えられた部屋でだらだらと過ごした。二日目の朝にマイワールドに入ると、ルキが立っていた。
ルキによると、魔の大森林の周りを、とてつもない数の人間が通り過ぎて行ったらしい。その中にはいくつか強大な反応があったらしい。しかし、それらとは明らかに桁が違う反応があり、ダンジョンの魔人種達全員で挑んでもただではすまないほど、巨大な反応だったらしい。
三日目の朝、ヒュプノが勇者達に襲撃された。何故かはわからない。序列十位の鳥族の魔人種、タイクウが様子を見に向かった。昼頃に帰還し、報告した。
「敵の数はおよそ八十万!三十万の部隊が二つと二十万の部隊が奥に一つ!三十万の部隊にはそれぞれ十五、六個ほどの巨大な気配を感じました!奥の二十万の部隊の先頭には桁外れの気配が一つ!」
その桁外れの反応はここ、魔王城でも感じ取っていた。それほどに強大なのだ。その反応は魔王をも凌駕している。魔王は防御を高めた。防壁には幾重にも補助魔法を掛け、強化した。防壁の周りには兵を置き、待ち構えた。
夜、感じたのは尋常ではない数の気配と………とてつもない程の光の波動であった。その光の波動を受けた瞬間、魔王の魔力が膨れ上がった。
「こ、この、この反応は……ま、まさか…まさかああああ!!許さんぞ!許さんぞ人族どもおおおおおおおおおおおお!!!!!」
怒りの波動と闇の波動。その二つと魔力が高まっていく。闇の波動が高まるにつれ、部下達の魔力も高まっていく。
「し、屍をおおおおおおおお!!!!うおおおおおおおおおおおお!!」
魔王は大会議場の窓から外へと飛び立ち、敵軍に正面からぶつかって行った。全身に魔力を帯びた状態で……真っ直ぐに敵軍の奥を目指して。
そのあとを四天王達が追うよりも速く、ウルフは飛び出していた。魔王は今この場で散るべきではない。そう考えたのである。




