18話 ヒューマ聖国聖都
名前が全然出ていなかった副担任をここで出すぜ!アレ!?担任はどこだ………僕にもわからないッ!副担任を出したかった。
ヒューマ聖国、そこで勇者召喚の儀式が行われた。呼び出されたのは若い女が一人。のみだった。シュバルツ王国、バーツ帝国では、たくさんの勇者が、召喚されたという。ヒューマ聖国の上層部はそれが許せなかった。
他の国々よりも確実に神に祈り、捧げている。それなのになぜ?許せない。いや、待て。もしかしたら他の国々に勇者を取られたのかもしれない。ならば取り返そう。
ヒューマ聖国は気付かない。地上で最も神に近いという自尊心。その考えが一番の間違いであると、誰もが一番最初に習う、神を信じる心を上層部の嫉妬が、その教えに上書きされていた。
ここはヒューマ聖国の中央にある神殿―――アルデルク神殿。その中をウルフは探索していた。樋爪の姿で。天井の上を。謁見の間とでも呼ばれそうな場所に来た。
そこではシュバルツ王国とバーツ帝国の勇者達が戦っている最中に消えたこと、魔の大森林の魔物の生息場所が変わったことなどが話されていた。そして最後に、戦争のきっかけも。
両国に密偵を潜り込ませて、戦争を仄めかした。バーツ帝国はそれに気付いていて、シュバルツ王国も時間の問題だと言っていた。
この国以外の勇者達が消えたのは喜ぶべきこと。この国だけにしか勇者がいないとなれば、人々はこの国に縋るしかなくなる。勇者には働いてもらう。と。
ウルフはその場を後にした。感知に強大な反応がある。そちらに向かう。そこは地下だった。ウルフは見渡す。牢屋。その言葉が一番当てはまる場所だ。その奥に女はいた。
『ステータス』
名前:甘翔美羽
種族:人種人族
年齢:23歳
職業:教師
Lv:1/100
生命力:500
魔力:300
物攻:250
物防:200
魔攻:150
魔防:150
知力:300
俊敏:150
器用:120
幸運:100
称号:異世界転移者、勇者、選ばれし者、教え導く者
ユニークスキル:異世界言語、鑑定LvMAX、正義、信仰、神剣召喚、聖剣召喚、授業開始
ノーマルスキル:神剣技Lv1、聖剣技Lv1、四大属性魔法Lv1、光魔法Lv1
エクストラスキル:超成長EX、不眠不労
『教え導く者』
職業が教師の者に与えられる称号。この世界にこの称号を持っているのはただ一人。授業開始を取得する。
『正義』
守りたい者が近くにいるとステータスが上昇する。神剣召喚と聖剣召喚を取得する。
『信仰』
自分のことを信じる人がいればいるほどステータスがあがる。
『授業開始』
相手を別空間に入れる。自分の攻撃系スキルを全て当てるまで相手は体を動かすことはできない。
『不眠不労』
寝なくても問題ない体。どれだけ動いても疲れない体を手に入れる。腹は減る。
ウルフは静かに歩み寄り、牢屋の前で泊まる。もちろん樋爪の姿で。女はこちらに背を向けている。
「誰ですか。私は戦いなどに強力する気はありません。生徒達にはやく会わせてください」
「えーと、確か……副担任の甘翔先生ですか?」
「!?」
女―――甘翔美羽は勢いよく振り返り、格子を掴んで顔を覗き込んできた。
「貴方は……樋爪君?樋爪君ね!?他の子達は元気!?この国にはもう慣れた!?酷いことされてない!?」
違和感を感じたウルフは、先生と話した。どうやら美羽は、この国に生徒達もいると言われていたらしい。シュバルツ王国とバーツ帝国に分かれて召喚されており、この国にはおらず今は自分の家にみんながいること。
「家…?この世界で家を手に入れたの!?凄いのね……先生ちょっと自信なくしちゃうわ…」
「その理由も後で話します。先生がいてくれるだけでみんなは安心することができます」
「!!……ありがとう…嬉しいわ。生徒に慰められてしまうなんてね」
その時の先生は物凄く素敵な笑顔で笑った。クールな見た目からは想像もつかない可愛らしい笑顔に……ウルフは一瞬見とれた。そして、美羽は立ち上がる。
「さて……ここから抜け出しましょうか…先生この世界に来てから力が漲っちゃって…ちょっと左に避けて……せいっ!」
そう言って格子を外した。そして、行くわよ。と言って走り出した。上からたくさんの気配を感じる。その一番前の人間は強そうだ。
「勇者様!困ります!戻ってください!ん?そちらの少年は……?」
「彼は私の生徒です。迎えに来てくれたのです。すっかり騙されてしまいましたよ。ええ」
「……なるほど。ならばもうお戻りにはならないと?」
「ええ。私がすべきことは世界を救うことではないのです。ましてや、この国を守ることでもない。そんなのことはどうでもいいのです。生徒を守る。それだけです」
先頭の男はそれを聞くと斬りかかる。と、同時に美羽と男は突如として消えた。自動的にウルフは目の前の兵士たちの掃除をしなければならないことになった。もちろん。ウルフには造作もないことであるのだが。
ここは、別空間。そこには美羽とあの男……枢機卿団の団長がいた。身動きはできず、喋ることもできない。
「私は怒っています。教師になって初めての生徒達。その子達を守るためなら何でもする。その心を利用されたのですからね。さあ……悪い子には特別授業開始ですよ。神剣召喚、聖剣召喚」
神剣を右手に、聖剣を左手に。構える。彼女の頭に声が響く。
『二刀流を取得しました』
超成長の力でスキルを取得。この時美羽はスキルの正義と信仰を使うために別空間とウルフのいるところを少しだけ繋いでいた。この二つのスキルを使うには、空間を繋げなければならない。
信仰のスキルを発動。ウルフは美羽のことを信じている。これによりステータスは上昇。正義のスキルを発動。近くに守るべき愛する生徒がいる。ステータスが上昇。
神剣技、聖剣技、二刀流により、威力と補正がかかる。そして、無意識に剣に魔力を纏わせて行く。魔法も。
『魔法剣を取得しました』
『付与術を取得しました』
魔法剣と付与術を取得したことにより、さらに威力に補正がかかる。この一撃はウルフのHPを三分の一削る事ができる一撃。それを少し強いだけの人間が防御も出来ずに喰らったらどうなるか。結果は火を見るよりも明らかであった。
「散りなさい」
人間を細切れにしても、罪悪感など感じない。それが美羽の生徒達を守るという強い意志の表れであった。美羽が別空間から戻ると、兵士たちは全滅していた。
その後、先生と俺は、マイワールドで帰った。その帰る途中に先生が……
「こんなスキルがあるなら細切れにする必要はなかったわね……」
と、悲しそうにしていた。が、勇者達の元に着くと、笑顔になった。その後、全員で情報を交換することとなった。
この二日後、ヒューマ聖国はシュバルツ王国とバーツ帝国の両国に宣戦布告した。
つよすぎィ!教師だからね……強くなっていないと。




