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災いの爪  作者: 豆粒
町潜入編
14/75

12話 冒険者ギルド

皆様お忘れかも知れませんが主人公の高校生だった頃の名前は樋爪ですよ!


 闇夜に紛れ、新は王都の屋根の上を走って、いや、正確には跳んでいた。スキル瞬足とは、相手との距離を一瞬で詰める。この相手を新は建物や置物に設定して、それを繰り返すことにより、屋根の上を移動するのを可能とした。

 王都の外に到着し、辺りを見回す。樋爪の姿は見えない。


「王都の外とは聞いていたけど、具体的にはどこか聞いていな―――!?」


 新が驚いたのも無理はない。そこには狼が佇んでいたのだから。新は身構え、臨戦態勢に入った。


「聖剣召喚!はぁぁぁああああ!!」


 瞬足で距離を詰め、聖剣で斬りかかる。しかし、黒い雷を纏った狼の爪に止められる。


『天空寺、落ち着け俺だ。樋爪だ』


 新の脳内に響き渡る。瞬間、新は臨戦態勢を解き、狼を見上げる。そうすると、狼の姿はみるみるうちに縮まり、少年になった。


「ふう……こんなところに呼び出して悪かったな。それに、驚かしちまったみたいで」


「いや、構わない。しかし、驚いたな。君はスキルをもう使いこなしているのかい?」


「まあ、そんなところだ。お前もすぐにこんくらい使えるようになるさ」


 そう言ったところで樋爪の顔つきが変わる。それに新も合わせる。


「天空寺、俺はこれからバーツ帝国に向かおうと思っている。おそらく、クラスのもう半分と先生達はあっちにいるんじゃねえかな?ってな」


「バーツ帝国?それは、確かこの王国と戦争中の国だったよね?」


「ああ、俺は魔の大森林を通ってバーツ帝国へ行き、クラスのもう半分の様子を見てくる」


 魔の大森林、その聞き慣れない単語について聞こうと思った時、不意に樋爪が新に問いかける。


「天空寺、お前も来ないか?お前が来れば百人力だ」


「………」


「魔の大森林は危ないところだが、お前ならすぐに適応できる。勇者のお前なら!」


「!!僕が勇者だって気付いていたのか………すまないが僕は行くことができない」


 その答えを聞くと、樋爪は静かに笑った。最初から答えはわかっていたかのように。


「彼等を見捨てるようなことはできない。僕が本当に勇者なのであれば、彼等を置いて、自分の道を……行くわけにはいかないんだ。すまない」


「ああ…それがお前が勇者である理由なのかもしれないな。それじゃあ俺は行くぞ」


「待ってくれ!君にはまだ聞きたいことがあるんだ!それを話してからでもいいだろう!?」


 目の前の樋爪を掴もうとしたが、彼の腕を掴むことは出来なかった。そして、脳内にまた響く。


『魔の大森林、中央のダンジョンで待つ。魔の大森林の北以外の王はもういない。すぐに辿り着けるだろう』


 その言葉を最後に、声が聞こえることはなかった。しばらくして、新は王城へと戻っていった。


 新が過ぎ去ると、そこにあった花が形を変え、人の形になった。


「ふう、呼んだはいいけどまだダンジョン攻略してないんだよなあ……」


 ん?天空寺を待ってる間に何をしてたかって?そんなの決まってるだろ?せっかく町に来たんだ。冒険者ギルドに行ってきたんだよ!



 時は遡り、新の脳内に声がしたのは昼。そこまで戻ることにしよう。この時樋爪―――ウルフがどこにいたかと言うと……そう窓枠であるその時ウルフは隠密を発動させ、トカゲになっていたのである。

 ウルフは種族進化が行える時にスコルに進化した。その時には火魔法のレベルかマックスになり、炎魔法になり、送り狼、星魔法というスキルを取得した。このトカゲや鳥などに変身するのにはコルンムーメのレベルがマックスになった時に手に入れた変身というスキルだ。


『炎魔法』

 火魔法が進化したもの。火魔法よりも威力が高い。


『送り狼』

 自分の分身を作り出すことができる。五感、スキルを共有することができるが、ステータスが半分になる。


『星魔法』

 星を落とす。レベルが低いと燃える大きな岩程度。小さな星を出現させ操ったり爆発させることができる。


『変身』

 想像したものに変身できる。ステータスが半分になる。


 この変身を使い、小さいものに変身してから隠密を使うと誰にもバレない。そのあと、ネズミに変身して王城を抜け出し、路地裏で元の姿に戻った。コルンムーメからスコルに進化した時は見た目は変わらず、白銀の髪に赤目のままだった。そしてちょっとかわいい顔だ。髪の長いので女の子と間違われるかもしれない。分身を見たから間違いない。

 まあ、それはともかく。町の人達に冒険者ギルドの場所を聞いたりして、辿り着いた。冒険者ギルドはよく漫画とかファンタジー小説とかにあるみたいに酒飲みのおっちゃん達がいた。


 驚くことに、受付にはあのエレンさんがいた。なのでエレンさんのところに行った。


「今回はどのようなご用件でしょうか?ご依頼ですか?」


「冒険者になりたいのですが……」


「………え?冒険者に…ですか?冒険者は危険な仕事も多いのですよ?」


「わかっています」


 エレンさんは戸惑いながらも手続きを開始した。手数料とかはいらないらしい。


「冒険者にはランクがあり、下からF、E、D、C、B、A、S、SS、SSSとなっております。そして、こちらが冒険者カードになります。こちらに血を垂らされると、今まで戦ってきた魔物の情報が読み込まれ、適したランクに設定されます。この制度を取り込む前は、Fランク冒険者だけどBランク冒険者程度の実力がある人などがたくさんいらっしゃいましたので」


 血を垂らす時に血は赤色か心配だったが大丈夫だった。そして垂らすと………


「!!?!?え?ゴブリンキング、ウルフキング、オークキング、オーガキング!?!!?ラ、ランクは………SS!?ギ、ギルドマスターを呼んできます!!」


 あちゃー、やっちゃったなー冒険者カード持ってかれちゃったよ。あれ貰わないといけないから待つか…。


 しばらく待つと、ギルドマスターの部屋に招かれた。そこには厳ついおじさんがいた。


「君が……SSの子かい?まだこんなに幼い。エレンくん。君は席を外したまえ」


 そういうと、ギルドマスターは席をすすめてきた。エレンさんは退出していった。


「とりあえず、座りたまえ。君には聞きたいことがあってね?まず、君の名は?」


「ウルです」


「そうか。それではウル君は魔の大森林を知っているね?」


「はい」


「そこで最近ゴブリンが消えたり、フォレストウルフ、オークやオーガの数が減っているとの情報が入ったのだ。君は何かを知っているのではないか?」


「僕がキング達を倒したから、ですか?」


「報告は本当だったのか。カードの故障だと思いたかったんだがな。おそらくそれが原因だな。それではっきりした。時間をとらせてすまなかった」


 部屋から出ると、エレンさんが冒険者カードをくれた。町から出る時はさっそく冒険者カードを使って外に出た。それからは魔物をひたすらに狩っていた。狩っている時に、巨大な魔力をもつ者が王城から外にものすごいはやさで向かっていたから、狩るのをやめてその向かっている先へ向かった。そして話しを終えて今ダンジョンへ向かっているところだ。


 それにしても遠いな。ダンジョンの攻略は進んでいるのかな?

うーむ、、、まあまあな出来。

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