11話 シュバルツ王国王都
シュバルツ王国、その日王都では一匹の見たことがない綺麗な白い鳥が飛んでいた。道行く人々が振り返り、立ち止まり、見上げ、行く先を追ってしまう程に綺麗な鳥。その鳥は王城に入っていった。この綺麗な鳥が王城に入っていった日、それはシュバルツ王国で勇者召喚が行われた日である。
王城の庭、そこに一匹の白い鳥が降りたった。白い鳥は王城の上には気配があまりないのをあらかじめ把握していた。白い鳥は地下に潜るためにその姿を黒いネズミに変え、地下に潜っていった。
王城の地下、そこでは勇者召喚が行われようとしていた。そこにあのネズミが辿り着いた。ネズミは耳を澄ませ、盗み聞きを開始する。地下にいる人間は誰もそのことには気付いていない。
「王よ、準備が整いました」
「うむ、ならばはじめよ」
「はっ」
そう言って黒いローブの男達が部屋に描かれていた魔法陣のまわりに立つ。そして詠唱を開始する。
「知恵、勇気、節制、正義、信仰、希望、愛。
七つの願いをここに。
古より紡がれし正と邪の邂逅。
無力を憂い、無限を嗤い、無知に泣く。
哀しみに彩られし運命を我は選ばん。
彼の地より来たれ。
魔の者を討ち滅ぼさんがために」
その詠唱が終わると魔法陣が輝き、やがて部屋を包み込んだ。その光の中にネズミが飛び込んでいったのは、誰も知らない。
光がおさまるとそこには不思議な服を来た少年少女が十一人立っていた。そんな彼らに先程、王と呼ばれた者が声を掛けた。
「勇者よ。この国を救ってはくれまいか?」
その問いに少年少女達は困惑した。が、先頭にいた少年は平静を装い、問い返した。
「ここは、どこで僕達は何故ここに?」
その後、王はこの国が隣国のバーツ帝国に侵略されそうであること、魔王が降臨すると天から声がしたと。そして、ステータスについて。そしてこの世界の一般的な者達のステータスは十前後であり、勇者達はステータスが百前後。これは次元を超えた際に魂が強化された結果だと。そして、返す手段は分からない、と。
一通りのことを話し終えると、勇者達には一人一部屋与えられた。その時に一人いなくなっていたのだが、そのことには誰も気付かない。その後の食堂での自己紹介が行われた。それが終わると個々の部屋に向かっていった。
王に問い返した少年―――天空寺新は自分の部屋でステータスの確認をしていた。
『ステータス』
名前:天空寺新
種族:人種人族
年齢:15歳
職業:聖騎士
Lv:1/100
生命力:250
魔力:200
物攻:150
物防:150
魔攻:150
魔防:150
知力:150
俊敏:120
器用:70
幸運:100
称号:異世界転移者、勇者、選ばれし者
ユニークスキル:異世界言語、鑑定LvMAX、知恵、希望、聖剣召喚
ノーマルスキル:瞬足Lv1、聖剣技Lv1、四大属性魔法Lv1、光魔法Lv1
エクストラスキル:超成長EX
『勇者』
勇ましい者。知恵、希望、聖剣召喚、超成長EXを取得する。聖剣召喚と超成長以外は七元徳の中からランダムに選ばれる。
『選ばれし者』
選ばれし者。四大属性魔法と光魔法を取得する。
『知恵』
思考がはやくなる。今まで考えられなかったことも考えることができるようになる。
『希望』
少し先の未来を見ることができる。任意発動。
『聖剣召喚』
聖剣を召喚する。召喚者のステータスによって、聖剣の性能が変わる。
『瞬足』
相手との距離を一瞬で詰めることができる。
『聖剣技』
聖剣を扱うことができるようになる。
『四大属性魔法』
火、水、風、土魔法を使えるようになる。
『光魔法』
光を生み出し、操る。レベルが上がると、細かい調整などもできるようになる。
『超成長EX』
成長が超はやくなる。
窓を開いてため息を吐く。そうすると、脳に声が響いた。
『天空寺』
「!?」
『樋爪だ。お前に話しがある。夜になったら王都の外に来い。お前なら出来るだろう?』
「樋爪……?あ、さっきの妙に落ち着いていたやつが……?そいつが何故俺に……?」
疑問は絶えないが、天空寺新は向かうことにした。
シュバルツ王国の勇者達に飛ばしました。




