番外編 ウェルゼの報告書 1
第2章を読んだ後、こちらを読むことを強くお勧めします。
隊員たちの近況報告
1.ティノン・ハスト中尉
高い操縦技術をいかんなく発揮しており、間違いなく特務隊のエースである。
だがその真面目すぎる性格ゆえ、信頼こそされていたが、親しいと呼べる者はほぼいなかった。特に同隊のエルシディア少尉とは度々衝突していたようだ。
とある戦闘より目を負傷し、失明。パイロット存続は不可能と思われていたが、手術を受けて回復。原隊復帰を果たした。尚、手術の内容及び手配をした者は不明。
復帰後は他の隊員と食事をする様を見られるようになり、不仲であったエルシディア少尉とも前より打ち解けているよう。
だが、ビャクヤ准尉と話す際は少々緊張している。こちらは経過観察が必要。
決して興味本位ではない。
2.エレナ・アリアード少尉
機動兵器の操縦が型破りではあるが、一定以上の戦績を示しているため、特に言及する必要はないと思われる。
隊の中では姉のような存在であり、ぼんやりしているようで細かい気遣いが要所で見られる。
彼女のような人物が、この隊で重要なのではないかと考えている。
しかしエリス准尉曰く、生活能力が著しく低いとのこと。
一度注意を呼びかけることにする。
3.エリス・アリアード准尉
軍学校での成績の優秀さ、そして姉であるエレナ少尉の強い要望により入隊。まだ幼いものの、これからが期待出来る。
いつも笑顔で振る舞い、隊のムードメーカーを担っている。訓練の合間には食堂を手伝い、甲斐甲斐しく姉の世話を焼く。
あくまで噂だが、彼女が来てから食堂に集う兵士の数は増えたらしい。
とにかく彼女には経験が必要である。今後は食堂勤務を少し減らし、訓練に徹してもらおうと考えている。食堂からの反対は免れそうにないが。
4.エルシディア・ゼイト少尉
ティノン中尉と共に特務隊の初期メンバーとして2年間活動している。しかしその素性は依然として不明。名も本名であるか疑問である。
その戦闘技術はティノン中尉と並んで高く、またアクトニウム研究施設にも所属している秀才である。しかし自他の命を軽んじているような態度が目立つとの報告が相次いでいる。
先のレーヴァス防衛戦で、元からパイロット候補であったものの、EAを無断で出撃させたことから現在は出撃停止を受けているため、今後も同行は警視しなければならないだろう。
他の隊員や兵士と交流している様子は一切見られていなかったが、最近はビャクヤ准尉と行動を共にしているのをよく目撃されている。
今後彼が、エルシディア少尉を変えるキーパーソンになると考えている。
5.ソウレン・ビャクヤ准尉
名と姓を逆に示しているが、これは本人の要望があったため。
元一般人であることを筆頭に、かなりイレギュラーな存在であると言える。軍学校所属時の成績はかなり下位だったものの、訓練及び実戦の戦果は着々と伸びている。
普段の様子については特に気になる点はない。他の隊員とも交流を持っており、今では食堂を手伝うなど、心身ともに余裕が表れている。
しかし定期的に医務室へ検査を受けているようであり、身体への負担が気になる。担当医とのこまめな連絡を行い、対処していきたいと思う。
EAについての重要参考人物であることは明白であるため、こちらも独自に調査を進め、必要であれば総司令官へ報告する旨である。
以上、報告を終了する。
執筆者:ウェルゼ・アイオスレーズ