表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ambrosia Knight 〜 遠き日の約束 〜  作者: 雑用 少尉
第6章 終焉の始まり
103/120

特別編 アーバインの会話記録


《システム、起動します。バックアップデータをロード。これより再構築を開始します》





『…………誰、なの?』


「お目覚めかな?」


『貴方は……アーバイン? 何故貴方が…………いや、それよりも、何故私がここに……?』


「確かに意識データは削除された。だが、バックアップデータとゼロエンドの中に残されたデータ残滓から君の意識を再構築出来るようにしておいたのさ。コウヤやアリアには内密にしていたが」


『私はもうアリアじゃない。彼女の記憶は指輪を通してビャクヤに全て受け継いだ。もう私に用は無い筈』



「まだ君には役目がある、アリア……いや、ゼロエンド」



『……気づいていたの?』


「コウヤの計画を引き継いだのは私だ。それくらい知っていなければ恥だろう」


『私の…………役目って?』


「本来プロトゼロが遂行する筈だった、アンブロシア計画の真の目的を果たす事」


『真の目的? また天翼を広げろって言うの?』


「あれは失敗だ。濃縮されたアクトニウムが変質を起こす前に暴発した結果の産物」


『じゃあ何を……』


「回収されたEA、ディスドレッドから、これが検出された」



『この、琥珀色の結晶は……!?』



「これがアクトニウムの変質結晶だ。生物を死に至らしめるような激しい活性作用は無い。よって半永久的に増殖もしない。ビャクヤの話だと、コウヤが遺したデータを義手にインプットしてから起きたらしい」


『そんなものが……』


「まだこの物質には未解明な点が多い。だからこうして厳重な容器に保管しているのだが……おかげで開発した新型が100%の性能を発揮出来る」


『新型?』


「ゼロエンドが持つ、本来の性能を全て解放した機体だ。この変質結晶を生成するには新型の力が必要なのだが…………それには新型フレームとゼロエンドのアクトニウムコア、そして……」


『私…………ゼロエンドのAIを搭載した電子頭脳が必要だと』


「ご名答、流石だ。そして、ビャクヤはこれを了承している。残るは君の解答を待つだけ」


『…………今までは、ビャクヤを守る為だと信じて戦ってきた。…………信じてもいいの、貴方を』


「オリジナルの君ならば、決して私を信用しないだろう。幼いビャクヤを取り上げたクラウソラス博士と同だ。私はビャクヤを彼の研究所から救出した後に、アリアの元へ彼を返さなかったのだから。だが、君には君の意思がある。私が憎いのなら、拒否しても構わない」


『私の記憶は、アリアの記憶。私はビャクヤを息子だと思ってる。愛している。…………でも、貴方やクラウソラス博士を憎いと思った事はない』


「……っ。意外な解答、だな」


『クラウソラス博士は私を生み出してくれた。貴方はビャクヤを、影からここまで育ててくれた。何もしてあげられなかった私に、貴方達を怨む資格はない』


「君に何もしてやれなくしたのは私だというのに…………クラウソラス博士も、ビャクヤを──」


『分かってる。ビャクヤに記憶を譲渡する際に見たから。彼は忘れていたみたいだけどね……オリジナルの私は、きっと……』


「別の計画を始動している。アルギネアから奪取した7号機を使ってな……。だが確証がある訳ではない。全てギーブルから提供された情報だ」


『何故……彼はクラウソラス博士の……』


「ギーブルは昔から他人に真意を見せない男だった。おそらくだが、アリアの計画は彼にとって不都合があるのかもしれない」


『……ビャクヤと、エルシディアは?』


「無事だ。エルシディアの方は集中治療を受けているが、命に別状はないらしい」


『……ありがとう、色々と教えてくれて』


「答えは決まったかな?」


『えぇ。もう一度、協力する。それで、その、お願いが、あるの…………』


「何だ?」


『ビャクヤと、お話させて欲しい。ちゃんと、面と向かって』


「フフッ、構わないさ。彼に伝えておこう。……それじゃあおやすみ、ゼロ」




「頼むよ。君達がアリアを止める最後の切り札だ。ビャクヤ、そして…………ゼロ」











《ゼロ・アンブロシアのデータ、AIへインストールを開始します》



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ