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論文工場 3870 ~元検事ハン・ユンジェは、偽造論文で頂点に立った3,870人の特権階級を狩る~ 【韓国NAVERミステリー1位記録】  作者: ソルビョル


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第26話 消された警告

【韓国NAVERミステリー部門1位獲得の話題作!】

累計ユニークユーザー127名突破。ご愛読ありがとうございます。


「俺が、ソジュンの警告を……消したのか」


埃を被った外付けハードディスクの中に眠っていたのは、五年前に自分が犯した罪の証拠でした。

イ・ソジュンが命を懸けて書き残した「壊死の予兆」。

それを「学術的価値」という言葉で塗りつぶしたのは、他でもないユンジェ自身だったのです。


突きつけられた残酷な真実を前に、ソヨンは冷たい嘲笑を浮かべます。

修復不可能な亀裂。そして、追い打ちをかけるように届くA-12からの新たな指令。

過去の過ちから逃げられない男の、痛切な物語が加速します。

二〇一九年三月。

誰かは警告を残し、誰かはそれを消し去った。


家に戻ったユンジェは、デスクの引き出しを開けた。

二〇一九年、二〇二〇年の作業ファイルが収められた外付けハードディスクには、うっすらと埃が積もっていた。

ノートパソコンに繋ぎ、フォルダを開く。


[2019_03_医療機器関連]

[2019_03_安全性評価_最終]


震える手で、ファイルをクリックした。


百ページ。

タイトル:『医療機器安全性評価 ― 最終検討本』

検討者:ハン・ユンジェ


スクロールを始めた。

十五ページ。

二十七ページ.

五十三ページ.


そして、六十七ページで止まった。


赤い文字で表示された部分があった。

[原文:当該機器の生体適合性テストの結果、長期使用時に組織反応のリスクが基準値を超過。追加検証が必要]

[修正案:当該機器は短期使用条件において安全性基準を充足。条件付きで使用可能と判断される]


一瞬、ユンジェの呼吸が速くなった。

「条件付きで使用可能」

俺が書いた文章だ。


C-21が見せた草案を思い出す。

ASアカデミック・ソリューションズの指示。

「肯定的評価への転換」


そして、俺は……。

その通りに従った。


スクロールをさらに進めた。

八十二ページ。

[原文:臨床データ不足。承認保留を勧告]

[修正案:参考資料として活用可能。学術的価値を充足]


胸が崩れ落ちそうになった。

「学術적 価値... 学術的価値を充足」

これも、俺が修正した文章だ。


スマートフォンを取り出し、ソヨンに電話をかけた。

「……見つけました」

「何をですか?」

「俺が検討したファイルです」


ソヨンは答えなかった。


「C-21が書いた草案……俺が最終検討しました」

「……」

「そして、イ・ソジュンさんの警告を……俺が消しました」


電話の向こうから、ソヨンの呼吸音だけが聞こえてきた。


「今、どこですか?」ユンジェが尋ねた。

「家です」

「ファイルを送ります。確認してください」


ファイルを転送した。

一分。

二分。

三分が過ぎた。


ユンジェは画面の中の文字を凝視し続けた。

六十七ページ、八十二ページ、九十三ページ。

赤い文字で示された修正事項。


すべて、俺の手で消し去ったもの。


あの時は知らなかった。

これが誰の研究だったのか。

これがどこで使われ、どんな波紋を呼ぶのか。


イ・ソジュンが残した警告。

「追加検証が必要」

「承認保留を勧告」


それを俺は……。

「条件付きで使用可能」に変えた。


ノートパソコンを閉じた。

呼吸ができなかった。


三十分後、インターホンが鳴った。

ソヨンだった。


ドアを開けるなり、ソヨンが尋ねた。

「確かですか?」

「はい」

「そのファイルが……兄の研究を元にしたものだと?」

「C-21の草案と対照しました。構造が一致します」


項垂れるユンジェの目に、ソヨンの震える拳が映った。

「なぜ、消したのですか?」

「……」

「なぜ警告を消したのかと聞いているんです!」


ユンジェは答えることができなかった。


「ASから指示がありました。『肯定的に修正しろ』と」

「それで?」

「だから……俺はその通りに従った」

「金を受け取って?」

「……はい」


ソヨンが笑った。

この世のすべての非難を詰め込んだような、冷たい笑いだった。


「兄が命懸けで残した警告を」

「……」

「一千五百万ウォンを受け取って、消したのね」


ユンジェは顔を上げられなかった。


ソヨンがカバンからノートを取り出した。

イ・ソジュンの研究ノートだ。


「ここにあります。二〇一九年二月二十七日の記録」

『生体適合性テスト三次失敗』

『組織壊死反応を確認』

『この機器は使用されてはならない』


「兄はこう書きました」

ソヨンの声が震えていた。

「使用されてはならない、と」


「なのに、あなたは……」

ソヨンがユンジェのファイルを指した。

「条件付きで使用可能と書き換えた」


静寂が流れた。


「申し訳ありません」ユンジェが言った。

「申し訳ない?」

ソヨンがノートを掴んだ。


「兄は拒絶しました。ASの提案を」

「だから殺された」

「なのに、あなたは受け入れた」

「だから今、のうのうと生きている」

ユンジェは何も言い返せなかった。


ソヨンがドアの方へ歩き出した。

「どこへ行くんですか?」ユンジェが尋ねた。

「一人になりたいんです」

「ですが……」

「今は、あなたの顔を見たくありません」

ドアが閉まった。


再び、ユンジェは一人残された。

ノートパソコンの画面だけが明るい光を放っている。


[2019_03_医療機器関連]

[検討者:ハン・ユンジェ]


赤い文字。

消し去られた警告たち。


そして、その跡に残った文章。

「条件付きで使用可能」

「学術的価値を充足」


スマートフォンが鳴った。

『ハン・ユンジェさん。次の作業内容を伝達します ― A-12』


ユンジェは画面を見つめた。


次の作業。

検討し、修正し続けなければならない文章たち。

俺がいた、あの場所。


そして今……。

俺は再び、そこへ向かわなければならない。


今は、より明確な理由ができた。

イ・ソジュンがなぜ死んだのかを知らなければならないから。


俺が消した警告が……。

どのような結果を招いたのか、確かめなければならないから。


ユンジェは返信を送った。

『了解しました。続けます』


三十秒後、返信が届いた。

『次の作業内容を送ります。

今回は、より重要なケースです ― A-12』


画面を消し、ユンジェは窓の外を眺めた。


暗闇の中、どこかでA-12がこのすべてを見守っているはずだ。


そして俺は……。

俺自身が残した痕跡を辿っている。


消された警告の果てに、何が待っているのか。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


ついに明かされた「消された警告」の正体。

ユンジェが過去に犯した罪が、ソヨンの兄・ソジュンの死と直結していたという残酷な真実が二人を切り裂きます。

「一千五百万ウォンで消された命の警告」。その重さにユンジェはどう立ち向かうのでしょうか。


そしてA-12から届いた「より重要なケース」。

そこに記された名前とは。


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