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論文工場 3870 ~元検事ハン・ユンジェは、偽造論文で頂点に立った3,870人の特権階級を狩る~ 【韓国NAVERミステリー1位記録】  作者: ソルビョル


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第24話 ゲートキーパー (GATE KEEPER)

【韓国NAVERミステリー部門1位獲得の話題作!】

累計ユニークユーザー127名突破。ご愛読ありがとうございます。


「良心が残っていれば、三ヶ月も持ちません」


ついに姿を現したシステムの管理人、A-12。

彼は淡々と、三千八百七十人の偽博士を生み出した「アカデミック・ソリューションズ」の構造を語り始めます。


そして明かされる、ユンジェが抗えなかった真実。

父の命を人質に取った非道な罠と、罪悪感を麻痺させる「再教育」の正体とは。

深淵の門番ゲートキーパーが、二人の前に次なる扉を開きます。

翌日の午後だった。

ユンジェとソヨンは、A-12が指定したカフェの前に立っていた。


閑静な路地裏に位置し、看板もほとんど見えないほど小さかった。


中に入る前、ソヨンがユンジェを見て言った。

「録音しましょうか?」

「……意味はないでしょう」


ユンジェが答えた。

「あの男は、証拠を残すようなことは言いません」


ドアを押し開けて中に入った。


A-12はすでに到着していた。

窓際の席、二杯のコーヒーがテーブルの上に置かれていた。


「お久しぶりです、ハン・ユンジェさん」

以前と変わらぬ微笑だった。

ユンジェが初めて会い、再教育を受けていた時も、彼はあのように笑っていた。


「そして、初めまして。イ・ソヨンさん」


ソヨンは答えずに座った。

カバンからノートパソコンを取り出し、起動させる。


A-12はその姿を見て言った。

「記録するのですか?」

「必要なら」


ソヨンが短く答えた。

「いいですよ。お好きなように」


しばし沈黙が流れた後、ユンジェが先に口を開いた。


「なぜ、会おうと言ったのですか?」

「気になって連絡してきたのは、そちらではないですか?」

「……それはそうですが」

「なら、いいでしょう」


A-12がコーヒーを一口飲んだ。

「私から先に質問しましょう。何を知りたいですか?」

ソヨンがノートパソコンの画面を向けた。


三千八百七十人の名簿が表示されていた。

「これです」

「ああ、見つけたんですね」


A-12は驚かなかった。

「早いですね。三年はかかると思っていたのに、三日で」


ソヨンが尋ねた。

「知っていたのですか?」

「当然ですよ。私が作ったシステムですから」


ユンジェはその答えを聞いても、怒りすら湧かなかった。

目の前の男は、あまりにも平然としていた。

「アカデミック・ソリューションズ」

ソヨンが言った。


「あなたが運営していたのですか?」

「運営というよりは、管理ですね」

A-12が指先でテーブルを叩いた。


「誰がどこへ行くのか、誰に何を任せるのか。そういうことを整理する役目でした」

「では、誰が運営していたのですか?」


「それは後で知ることになるでしょう」

A-12が笑いながら言った。

「今は、あなたたちが知るべきことだけを話しましょう」


「『再教育』を覚えていますか?」

A-12がユンジェを見て言った。


ユンジェはその一ヶ月間を思い出した。

週に二回ずつ行われた面談。

落ち着いた声、温かな照明、心地よい椅子。


「あなたのしていることは正当です」

「社会に必要な仕事なのです」

「誰も傷つきはしません」

毎回、同じ言葉を聞かされた。そして、ある瞬間からそれが真実のように感じられた。


「あれは何だったのですか?」

ユンジェが尋ねた。

「心理的正当化プログラムです」


A-12が付け加えた。

「罪悪感を消し去る過程ですよ。いえ、正確には再配置するのです」

「……どういう意味ですか」

「あなたは悪いことをしたのではない、と信じ込ませるのです。実際に悪いことかどうかは重要ではありません。信じさせることが重要なのです」


ソヨンが割って入った。

「他の人たちも受けたのですか?」

「全員ですよ」


A-12が頷いた。

「検討者、ライター、データ担当、参考文献担当。システムに入った人間は全員、その過程を経てきました」


ユンジェは信じられなかった。

「なら、俺は……操作されていたのか」

「操作というよりは調整です」

A-12が微笑んだ。


「あなたは本来、善良な人です。だから罪悪感も抱くし、疑いもした。それを和らげてやるのが再教育でした」

「なぜ、そんなことをしたのですか?」

「しなければ、人間の本性に立ち戻ってしまう。そうなれば、長くは続けられませんから」

A-12が正直に答えた。


「良心が残っていれば三ヶ月も持ちません。だから私たちは良心を少しずつ麻痺させたのです。あなたが耐えられるように」


ソヨンが冷ややかに返した。

「親切なことですね」

「親切なのではなく、必要だったのです」

A-12がソヨンを見た。

「ハン・ユンジェさんのような人材は貴重でしたから。家柄が良いだけでなく、私たちが求める文章を完璧に整えてくれる。そんな人間を逃すのは惜しかったのです」


ユンジェは苦いコーヒーを一口含んだ。

「では、最初から計画だったのか。父の入院費も、再教育も、すべて」

「計画というよりは……」


A-12はしばし考える素振りを見せた。


「流れですよ。私たちはあなたに必要なものを与え、あなたは私たちに必要なものを与えた。公正な取引だったはずです」

「公正だと?」


ユンジェの声が震えていた。

「俺が何をしているのか、結果がどうなるのかも教えずに?」

「知っていたら、やらなかったでしょう?」


A-12が事もなげに答えた。

「だから、意識させないようにしたのです」


ソヨンがノートを開き、あらかじめ書き留めていた質問をぶつけた。

「システムの構造を説明してください」

「とても直接的で直感的ですね。いいでしょう」

A-12がナプキンを取り出し、ペンを走らせた。


三つの四角を描いた。

「これが全体の構造です」

[第一段階]→[第二段階]→[第三段階]

「第一段階。ライターたちがいます。ハン・ユンジェさんのように、実際に論文を書く人たちです。七十二時間以内に百ページを埋めなければならない人たちです」


A-12が二つ目の四角を指した。


「第二段階。検討者たちがいる場所です。文章を整える人たちですね。報告書や論文を、目的や意図に合わせて精巧に磨き上げる人たちです」


「第三段階は……」

A-12が少し間を置いた。


「顧客たちです。三千八百七十人。学位を必要とした人々です」

ソヨンが尋ねた。


「では、あなたは何なのですか?」

「私はゲートの間に立っています」

A-12が三つの四角の間に小さな円を描いた。

「誰を第一段階へ送り、誰を第二段階へ送るか。それを設計する人間。それが私です」


「なぜ、こんなものを作ったのですか?」

ユンジェが尋ねた。


「私が作ったのではありません」

A-12が首を振った。


「すでに存在していたのです。私はただ、精巧に運営されるようにシステムを構築したに過ぎません」

「誰が作ったのですか?」

「気になりますか?」

A-12が笑った。


「教えてあげてもいいですが、今は信じないでしょうね」

ソヨンが急いで割って入った。

「話してみてください」

「第三段階の人たちですよ」


A-12が答えた。

「学位を必要としていた人々。彼らが金を払い、私たちが方法を作った。それだけのことです」


ユンジェは確認したかった。

「なら、顧客が主人だということか?」


「主人は別にいます。ですが、顧客もシステムの一部です」

A-12が説明した。


「イ・ソヨンさんが見つけたチョン・ミンスという男がいるでしょう」

ソヨンの顔がこわばった。


「彼も顧客でした。ですが、後にこちらの味方になりました。政府機関で働いているのですから、私たちにとっては利用価値が非常に高いのです」


「彼が兄の助けを求める声を無視した理由が……」


「ええ。本人もアカデミック・ソリューションズの顧客だったからです。聞き入れるわけにはいかなかった」

A-12が淡々と語った。

「そうやってシステムは巨大化するのです。顧客が協力者になり、協力者が顧客を保護する。互いに互いを守り合うようになるのです」


ユンジェは入院費の話を切り出した。

「俺の父の手術費のことだ」

「気になっていたようですね」


A-12は予想していたかのように答えた。

「あなたが稼いだ金で払ったのでしょう。一千五百万ウォン、一千万ウォン。そしてチョン・ウジン氏が貸してくれた三千五百万ウォンまで」

ユンジェはその数字を記憶していた。

通帳に刻まれた振込履歴。


「ですが……」

A-12がコーヒーを一口飲んだ。

「それで終わりではなかった」

ソヨンが問い返した。

「どういう意味ですか?」


「手術の書類が保留されたことを覚えていますか?」

A-12の視線がユンジェに向けられた。


ユンジェはその日を思い出した。

病院からかかってきた電話。

『支援財団側で追加の検討が必要になったそうです』


「あれは……」


「私たちです」

A-12が淡々と言った。

「あなたが金を集めるのは時間の問題でした。チョン・ウジン氏のような人間が助けてくれる可能性もあった。だから私たちは別の方法であなたを統制し始めたのです」


「承認権限ですか?」

ソヨンが言った。

「正解です。金があっても手術は受けられません。病院の支援財団、医療費支援プログラム、手術日程の割り当て。私たちが関与できる部分は多かったのです」

ユンジェの手が震えた。

「なら、父の手術は……」

「それも、私たちが承認したのです」


A-12が頷いた。

「『A-73の協力時にのみ支援が継続されます』。承認書にそう記されていたはずです」


ユンジェはその一文を思い出した。

画面に映し出されたあの一行。当時はその正確な意味を理解していなかった。

「もし、俺が協力しなかったら……」

「手術は無効になっていたでしょう」

A-12が静かに答えた。


「金が問題ではなかった。私たちが承認しなければ何の意味もなかったのです」

ソヨンが再び、氷のように冷たい表情で尋ねた。

「最初から計画だったのですね?」

「計画というよりは安全装置です」


A-12が説明を続けた。


「ハン・ユンジェさんのような人間は道徳的な良心が残っているから、いつでも逃げ出してしまう。だから私たちは、あなたが絶対に離れられないようにしたのです」

「父の命を盾にしたということか」


ユンジェが低い声で言った。

「人聞きが悪いですね」


A-12が笑いながら言った。

「私たちはただ、選択肢を提示しただけです。協力すれば父は助かり、拒否すれば父は死ぬ。明快な話でしょう?」


ユンジェは何も言えなかった。

「お父様の手術はうまくいったでしょう?」

A-12が尋ねた。

「……ああ」

「それは良かった。ハン・ユンジェさんが協力してくれたからこそ、可能だったことです」

その言葉が胸に深く突き刺さった。


ソヨンが尋ねた。

「今もそうなのですか? 父の健康を……」

「ああ、今は違います」

A-12が手を振った。


「すでに手術は終わり、回復も順調ですからね。今さらそこを突く必要はありません」

「では、次は何で圧박するつもりですか?」

「圧박なんてしませんよ」

A-12が微笑んだ。


「ハン・ユンジェさんはすでにシステムの一部なのですから。これからは強制されずとも協力してくれるはずです。そうでしょう?」

ユンジェは答えられなかった。


A-12が席を立った。

「今日はここまでにしましょう」

「待ってください」

ソヨンが呼び止めた。


「なぜこれを話してくれるのですか?」

「あなたたちに、正しく探してほしいからです」

「……どういう意味ですか?」

「第二段階へ行きたいのなら、私が紹介してあげてもいいですよ」

A-12が名刺を取り出し、テーブルに置いた。


「実際に論文を書いた人間たち。会いたいのでしょう?」

ソヨンとユンジェは互いに顔を見合わせた。


「なぜ俺たちを助ける?」

ユンジェが尋ねた。

「助けているのではありません」

A-12が出口に向かいながら言った。


「あなたたちが第三段階まで辿り着くのを、見届けたいだけです」

「そこまで行けるのなら、の話ですが」

ドアが閉まり、彼は去っていった。


二人だけが残された。

ソヨンが名刺を手に取った。

名前も会社名もなかった。電話番号だけが記されていた。

「どうしますか?」

ソヨンが尋ねた。


ユンジェはA-12が描いた図を見つめた。

『三つの四角。その中で俺は第一段階にいる』


「行きましょう」

ユンジェが答えた。

「第二段階だろうと、第三段階だろうと。最後まで見届ける必要があります」

ソヨンは頷き、名刺をカバンに入れた。


その瞬間、窓の外では日が沈みかけていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


父の命を人質に取られた過去、そして巧妙に仕組まれた「再教育」。

ハン・ユンジェという男がなぜ、この巨大な闇の一部にならざるを得なかったのかが明かされました。


深淵の門番、A-12が提示した次なる扉。

そこには「実際に論文を書いているライター」たちが待っています。

果たして、彼らもまたユンジェのような被害者なのか、それとも……。


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