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論文工場 3870 ~元検事ハン・ユンジェは、偽造論文で頂点に立った3,870人の特権階級を狩る~ 【韓国NAVERミステリー1位記録】  作者: ソルビョル


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第14話. 最初の質問

「組織のシステムが認めなければ、その選択は存在しないのです」

自分が送ったはずの拒絶すら、データの海に消し去られる恐怖。


再教育の第1段階。

目の前のB-01が投げかける、逃げ場のない質問。

そして、闇の中から冷徹にユンジェを監視し続けるA-12。


開かれるはずのない「三枚目の扉」の先に待つのは、救済か、それとも過去の清算か。

絶体絶命の心理戦、第14話。

「お入りください、A-73様」


扉の内側の暗闇から、一つのシルエットがゆっくりと歩み寄ってきた。

照明が落ち、男の顔を照らし出す。


四十代前半、表情の起伏がほとんどない男。

目の前で足を止めた彼は、この空間の温度を支配しているかのように冷静だった。


「私はB-01です」

彼は挨拶と共に、椅子が二つ置かれたテーブルを指差した。

「再教育過程の第一段階を担当しています。お座りください」


ラウンジと言うには、あまりにも空虚な空間だった。

白い照明、何もない壁、微かに漂う消毒液の臭い。

ユンジェは息を整え、席に着いた。


B-01がテーブルの上のタブレットを起動させた。


「まず確認したいことがあります。昨夜の深夜、再教育への不参加メッセージをシステムに送信しましたね?」


心臓がどきりと跳ねた。

「……はい」


B-01は軽く首を傾げながら言った。

「ですが、システムにはその記録が全くありません」


「……え?」

ユンジェの声が、微かに震えた。


「消されたのではありません」

B-01はタブレットの画面をこちらに向けた。

「最初から存在しなかったということです。記録上、あなたは『不参加』を選択したことは一度もありません」


ユンジェは乾いた唇を噛み締め、声を絞り出した。

「俺が、直接送りました」


「そうかもしれませんね」

B-01は笑っているのかどうか判別できないほど、冷ややかに口角を動かした。

「ですが、組織のシステムが認めなければ、その選択は存在しないのです」


A-12の言葉が蘇った。

『不参加の記録はありません。全員、自発的な参加でした』


B-01が最初の質問を投げかけた。

「あなたはここに来る前、逃げ出そうと考えたことはありますか?」


嘘で押し通せるはずのない問いだ。

地下鉄、廊下、自分を見つめていた見知らぬ男……。

ユンジェはゆっくりと項垂れた。


「……はい、あります」


B-01は何も言わず、画面に何かを記録した。


「二つ目の質問です」

彼の視線が深く突き刺さる。

「それにもかかわらず、なぜ逃げなかったのですか?」


ユンジェは息を呑んだ。

答えが出るのに、時間はかからなかった。


「……帰る場所が、ありませんでした」


一瞬の静寂。

B-01がタブレットを閉じながら言った。


「十分です」


その時、天井の照明が二度点滅した。

タブレットが振動し、新しいメッセージが浮かび上がる。


B-01は画面を確認し、小さく呟いた。

「A-12か」


ユンジェの呼吸が、即座に凍りついた。


「三つ目の質問は保留です」

B-01がタブレットを机に置いた。

「アクセスログを優先的に確認しろとのことです」


そして、非常に力強い声で告げた。


「私との面談はここまでです」

少し視線を落とした後、付け加えた。

「これからは……A-12が直接進めることになります」


その言葉は説明ではなく、宣告だった。


続いて天井のスピーカーから機械音が響く。

『A-73、ラウンジ二へ移動してください』


自動ドアが開いた。

ユンジェが立ち上がった瞬間、B-01が最後の言葉を残した。


「肝に銘じてください。組織はただ一つの選択肢しか与えません。扉は……一つだけです」


ユンジェは答えず、廊下へと足を踏み出した。

扉が閉まり、内側から『カチャリ』とロックされる音が響いた。

廊下は静まり返り、一定の間隔で並ぶカメラのレンズが不気味に光っていた。


その時、ポケットでかすかな振動が走った。

ユンジェは冷や汗の滲んだ掌を拭い、スマートフォンを取り出した。


送信元:非公開

添付ファイル 一件


ファイルを開いた瞬間、彼の心臓が止まりそうになった。


先ほどまでいたラウンジで、B-01と向かい合って座っている自分の姿。


照明の位置、タブレットの角度、視線まで。

誰かが真上、あるいは真後ろから撮ったかのように正確だった。


写真の下に、一文。


[三枚目の扉は、まだ開いていません]


背筋を冷たい汗が伝った。

ユンジェはゆっくりと廊下の先を見つめた。


[相談室]

[ラウンジ]

そして一番右――

標識のない黒い金属の扉。


不自然なほど明るい照明が、その扉の上にだけ降り注いでいた。

まるで無言で指し示しているかのようだった。


(ここか……)


ユンジェは震える呼吸を整え、歩みを進めた。

扉の前に立った瞬間、床が微かに振動した。

扉の内側から、何かが慌ただしく動くような物音が聞こえる。


扉は、勝手には開かなかった。

ユンジェが取っ手を掴むのを待っているかのように静まり返っている。


彼はゆっくりと手を伸ばした。

取っ手を握ろうとしたその時、再びスマートフォンの振動を感じた。


[入る前の、最後の選択です。A-12]


ユンジェは、

黒い扉とスマートフォンの画面の間で、

しばらく言葉を失った。


そして――。

ついに、取っ手を握った。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「帰る場所が、ありませんでした」

逃げることを諦めたのではなく、戻る場所すら奪われたユンジェの切実な告白。

そして、彼を待ち受ける謎の「三枚目の扉」。


A-12が提示した「最後の選択」とは一体何なのか?

闇に包まれた再教育の核心へと、物語は加速していきます。


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