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連続ホラー小説 大正あおい日和  作者: 泉水遊馬
桜餅と闇の臭い
3/10

第3話 みーちゃんの毛づくろい

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

朝の庭。葵はみーちゃんの毛づくろいをしている。

「にゃんちゃん、毛並みいいねぇ」

みーちゃんは目を細めて気持ちよさそう。

そこへ、祖母がやってくる。

「あおい、今日も店番よろしくね。私はちょっと出かけてくる」

「はい、おばあちゃん。気をつけて」

菊乃は小さな風呂敷包みを持って出ていく。葵は知っている——祖母が時々、街の古い神社や路地を巡っていることを。

店が開くと、いつものお客さんたち。

昼過ぎ、初めての客が来る。背の高い男で、洋装の背広を着ている。

「羊羹を一箱」

声が低く、どこか冷たい。葵は丁寧に包むが、男の視線が妙に鋭い。

男が去った後、葵は少しだけ眉を寄せる。


夕方、路地で瓦斯灯が点灯し始める。

葵は店を閉め、みーちゃんを抱いて庭に立つ。

「……また、来たの?」

みーちゃんが急に毛を逆立て、唸る。

葵の表情が、ほんの一瞬、無になる。

「悪い子は、許さないわ」

だが、次の瞬間、いつもの笑顔に戻る。

「ふふっ、びっくりしたね。もう大丈夫よ」

といってみーちゃんをぎゅっと優しく抱きしめた。





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