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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
三章 パーティ活動

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097 本当の戦闘開始


 大激浪(だいげきろう)は、ここからが本当のスタート。ダークエルフの雄叫びのあとに、角が生えた多種多様の魔獣が樹海の木を薙ぎ倒して飛び出した。


『魔法部隊、放て~!』

「「「「「ファイアーアロー!」」」」」

「「「「「エアカッター!」」」」」


 まずは魔法から。やや魔力を抑えた魔法だが、炎と風の相乗効果で魔獣は広範囲に燃やされる。


『弓隊、放て~!』

「「「「「はっ!」」」」」


 炎を抜ける魔獣は想定済み。次は弓矢の雨で魔獣は貫かれる。


「忘れてた! ウラララララ~!!」

「「「「「うお~」」」」」


 2、3拍遅れてからの、プックのガトリングガン掃射。弓矢を抜けた魔獣は蜂の巣になるかダメージを負って倒れるから、ダークエルフは「シモンか?」と一斉にそちらを見た。


『魔法部隊! 次だぞ!!』

「「「「「は…はっ!」」」」」


 なので各隊の隊長が怒鳴り声で前に集中させる。


『残りは僅かだ! 確実に息の根を止めろ!!』

「「「「「おお!!」」」」」


 最後は近接部隊。まだ序盤なので外に出て、2段階の遠距離攻撃を抜けた魔獣を接近戦でトドメを刺す。

 その3段階の攻撃を続けていたら、外はあっという間に魔獣の死骸だらけ。近接部隊を抜ける魔獣は皆無だ。



「効いたみたいだけど……一発では無理か」


 目の前では大量の魔獣が死んでいるのに、シモンが見据えるのは1,5キロ先。角の生えた巨大な熊にヘッドショットを決めたが、頭が仰け反っただけなので次を悩む。


「どうします? 他を狙うどすか?」

「このまま続けてみる。指示を頼む」


 ユーチェの合図で連続ヘッドショット。熊の魔獣は5発目で倒れたから、少し様子を見る。


「まだ、息はあるかな?」

「動いてるどす」

「こんなもんでいっか。次を狙おう」


 転倒するほどのダメージを与えられたなら、あとは後続の魔獣に()かれることに期待。後方には砂煙が上がっているから、まだまだ魔獣はやって来るからだ。

 大型魔獣は数発掛けて転がし、射程範囲に見掛けなくなったら中型魔獣に目標を変更。強い魔獣の脅威を減らし、分断までやってのけるシモンとユーチェ。


 王都の前ではダークエルフ軍が魔法や弓矢を放ち、近接部隊が後処理。プックも頑張って撃っていたが、頑張り過ぎて二千発も撃てるガトリングは早くも弾切れだ。


「ああ~。もう! こんなことならもっと用意しとくんやった~」


 その場合は、サブマシンガンに持ち替えて乱射。見習い騎士がガトリングガン用のパラベラム弾をベルトに詰め直す。

 しかし時間が掛かるので、サブマシンガンの弾も切れ兼ねない。プックは見習い騎士をメインデルト王の下に走らせて、暇な人を数人手配してもらっていた。


 これで弾切れの心配は無くなったが、王都の前では戦況が変わった。


「デカイのが出て来たぞ!」


 中型の魔獣がチラホラ現れたのだ。


「まだ中型程度だから安心しろ! だけど……」

「「「「「ボロボロだな」」」」」


 でも、シモンの狙撃と後続に轢かれたせいでボロボロ。HPでいうと、残りは多くて半分。2割を切っている中型魔獣が多い。


『シモンじゃ! (わし)らが戦う前から削ってくれんさってたんだ! これなら楽勝じゃ~~~!!』

「「「「「うおおぉぉ~!!」」」」」


 シモンがフライングしていたことは聞いていた話だが、現物を見るとダークエルフは手が止まる。そこをすかさずメインデルト王が以心伝心で一気に気を引き締めたら、ダークエルフの士気は爆上げだ。



 王都に大激浪が押し寄せて4時間、その間魔獣の波は止まることがなかったが、シモンが分断を成功させていたから時々10分程度、出現数が極端に減る。

 その間にダークエルフは飲み物を飲んだり少し座ったり、交代して一息ついていた。


「ああ~。しんど」

「俺もちょっと休憩」

「おなかペコペコどす~」


 プーシーユーの場合は、お昼になったらまとめて休憩。プックは魔獣の数を見てこまめに休んでいたけど。立ち仕事は苦手なんだって。

 ひとまず3人はお弁当のサンドイッチをムシャムシャしながら話し合う。


「まだ魔獣は来とるん?」

「ああ。いまのところ止まる気配はないな」

「夜中に突入するんかいな~?」

「あんまり見てなかったけど、下の魔獣、エライことになってるどすね」

「5千はいったか??」


 プックは何時間かかるのかと心配。ユーチェは魔獣の数が気になる。その2人の話にシモンが応えていたら、メインデルト王がやって来た。


「ようやってくれんさった!」

「あ、はい。といっても、そちらのことあんまり知らないんですけど」

「いまのところ、死者も怪我人もゼロ。魔力も体力もブチ温存されとる。前回の大激浪の時たぁ大違いだ」


 メインデルト王(いわ)く、自分は大激浪に参加していなかったが、遠くの地で戦況は聞いていたとのこと。その時は昼には疲弊してかなりの死者を出したから、あとは籠城戦をするしかなかったそうだ。


「てことは、いいペースってことですね」

「ああ。こんなん、勇者パーティがおった時でもなかったはずじゃ」


 伝承では、勇者パーティが外に出たり中に入ったりと休憩しながらだったので、死者はそれなりに多かったそうだ。


「あとはどれだけの時間が掛かるかとかわかります?」

大方(おおかた)、丸一日じゃのぉ。朝日が昇るまで持久戦じゃ」

「そうなると夜中がな~……」

「そうじゃそうじゃ。忘れとった。ちいと待ってろ」


 暗い中、長距離射撃なんてできるワケがない。シモンはどうしようかと悩んでいたら、メインデルト王は付き人を走らせてサングラスのような物を持って来させた。


「暗視効果があるマジックアイテムじゃ。それでなんとかしてくれ」

「あ、ありがとうございます。でも、そっちは足りますか?」

「この日の為にわんさか溜めてある。気にしんさんな」


 高価なマジックアイテムを3人分も貰ったら、夜対策もバッチリ。メインデルト王は期待を込めて、シモンの肩を軽く叩いてからその場を後にするのであった。


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