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009 プーシー1号の検証


 狙撃手専用武器のお披露目があったが、プーシー1号って名前が引っ掛かるシモン。名前が変ってのは置いておいて、由来がプックとシモンの頭文字に1号ってなっていたからだ。


「俺のスキルのおかげで出来たんだから、シモンが先に来るもんじゃないのか?」

「製作者からに決まってますやろ。これだけは譲れまへんで!」

「別に譲ってもいいんだけど……名前変えない? なんかもっと呼びやすい名前にしたいな~??」

「昨日あーしが丸一日考えた名前を……鬼か!?」

「昨日できてたんだ……」


 発表がお昼過ぎになったのは、名付けで時間を掛け過ぎたプックが寝坊したからっぽい。シモンは言いたいことは多々あるが、プックと別れたあとに名前を変えたらいっかと、大人対応する。


「んじゃ、説明するで~」


 今回の武器は、弾丸が円形の物に5個入り、続けて撃てるようになった物。とある世界で回転式拳銃やリボルバーと呼ばれている物だ。

 もちろんシモンの要望通り、発射口の上に照準が取り付けられ、消音のマジックアイテムも使われているから、発砲音もかなり押さえられている。


「ちょっと撃ってみていいか?」

「ええでええで。驚いてくれや~」


 一通りの説明や使い方も聞いたシモンも撃ちたくなったので、5メートルほど離れた的に向かって撃鉄を起こし、引き金を引く。するとプシュッという音とほぼ同時に、木製の的の中心を撃ち抜いた。


「「おお~」」


 次の瞬間には、2人の感嘆の声が重なる。プックは単純にド真ん中を貫いたから。シモンは自分の思った通りの場所に当たったからだ。

 続けてプシュプシュッと連続で撃ち、弾が無くなったら的を見詰めながら声を出す。


「うん……いい……かなりいい!!」

「うん……全部ド真ん中かいな……」


 興奮する側は逆転。シモンはこの武器が素晴らしいから。プックはシモンの腕が良すぎるからけっこう引いてるな。


「これ、なんで急に真っ直ぐ飛ぶようになったんだ?」

「フッフッフッ……それは先っちょが回転するように、筒の中にレールを作ったからや。かなり難しい作業やったで~」


 しかしシモンが苦労話を聞いてくれたから、プックのテンションは復活。ただ、いまだに弾丸が真っ直ぐ飛ばなかった理由が空気抵抗だとは気付いていないみたいだ。


「音はどないや? 完全には消えてないけど大丈夫なん?」

「あぁ~……確かに。でも、この程度なら、モンスターとかは寄って来ないかな? 逆に聞くけど、完全に消すことはできるのか?」

「できるで。けど、値段見たら、いまのマジックアイテムより10倍もしたから、実験段階で使うのはもったいなくてやめておいてん」

「あ、そっか……いいヤツは維持も魔石で金が掛かるもんな。グッジョブ!」


 マジックアイテムもピンキリ。高い物は単純に値が張り、使用にはこれまた高い魔石を何個も使うから、あまりお金を使いたくないシモンはベタ褒めだ。



「これ、弾の入れ替えはどうするんだ?」

「ここをこうしてな……」


 拳銃の使い方を教わると、やはり弾の入れ替えは1個1個手作業だから面倒くさそうだ。


「この丸いのを付け替えるとかはできないのか?」

「できんこともないけど、荷物になるんちゃうか? それやったら5個一気にサクッと押し込める道具を作ったほうが、安くなりそうやで」

「5回しか撃てないのも、もうちょっとなんとかしてほしいかもな~……もう1個持てば、もしもの時は対応できるか……」

「なるほどな。冒険者なら、手数は必要なんやな。他の形も考えてみるわ~」


 ひとまず手数は予備の拳銃と道具で乗り切ることにして、シモンは練習がてら拳銃を撃ちまくる。弾丸が空になったら数歩下がり、5発撃ったらまた下がる。


「おお~。凄いでんな~」


 現在、的から20メートル離れた位置。まだ的のド真ん中を捉えているから、プックは拍手だ。


「あっ……ちょい下……もう修正しよったわ……」


 30メートル辺りから弾道が下降気味になったが、それもシモンは気付いて修正できている模様。


「どこまで行きまんね~ん。壁の上からって……なんでド真ん中に当たんね~ん」


 40メートルを超えても高い位置から撃ってもシモンは中心を捉えるので、プックも呆れ気味にツッコンでるよ。

 シモンにはその声は聞こえていないけど、これ以上離れると遮蔽物があるので駆け足で戻って来た。


「もうちょっと離れても、ある程度ダメージは与えられそうだな」

「アレより離れた所からでも当てられるんでっか。ドン引きですわ~」

「なんで引くんだよ。俺、もっと離れた所から、モンスターの頭を弓で射貫けるんだぞ」

「それも引きますわ~。なんでその実力があってクビになるのかも引きますわ~」

「し、仕方ないだろ。俺はソロ向きなんだから……」


 シモンの弓の実力が超一流だったから、別の意味で引くプック。もう人格に問題があるとしか思えないみたいだ。


「ま、試しにこれ持って、明日は迷宮に潜ってみるよ」

「迷宮でっか……あーしもついて行ってもいいでっか?」

「危ないからやめたほうがいい」

「地下1階だけ! プーシー1号がモンスターにどれほど効くか見たいんや。自分の身は自分で守るさかいに!」

「……本当に1階だけだぞ?」

「おおきに~!!」


 新しい武器の生みの親が子供の活躍を見たいのは当然。その熱が伝わったシモンは許可をして、プックの迷宮見学は決定するのであった。


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