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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
二章 逃亡生活

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054 別の戦い


 大規模狩りは、ホーンホークを落とした数は早くも10羽に到達。岩山にいる者は、やんややんやとシモンを褒めているので、ユーチェは怒っている。ユーチェも活躍してるもん。

 地上では、墜落したホーンホークに一番近いエルフ兵が連絡を受け、複数人で走って取り囲む。生きている可能性はあるから剣を構えてゆっくり近付いていたが、全て頭を撃ち抜かれているから、エルフたちはシモンに尊敬の念を抱いていた。


 そのホーンホークは、下っ端エルフが岩山の麓まで運んで馬車に積み込み、いっぱいになったら発車。村に届くと、こちらのエルフたちも歓喜の声を上げている。

 お昼になるまでに20羽もの収獲。すでに充分な成果となっているので、一度岩山の頂上の血をエルフの水魔法で薄めて休憩を取る。地上班にも連絡が行き届いてランチ休憩だ。


 岩山の頂上ではシモンはチヤホヤされていたが、席を外して1人でお弁当を食べてるプックの隣に座った。


「なんでんのん。向こうで話してたらええやろ」


 プック、まったく構ってもらえなかったから拗ねてる模様。シモンはまったく気付いてないけど。


「いや、プックに相談があってな」

「なんや~? やっぱりあーしの力がないとシモンはんはあきまへんのか~?」


 でも、一言で機嫌が直った。頼られて嬉しいんだね。


「長時間立って構えていると、さすがにしんどい。置いて撃てるようにできないかな?」

「なるほどな。プーシー5号はけっこう重いもんな……となると、どの方向にも撃てるようにしないとアカンのか」

「明日でいいから、いい方法を考えておいてくれ」

「そんなの、人手があればチョチョイのチョイでんがな~」


 プックは簡単な図面を引くと、シモン伝いにエルフを操ってそこそこ長くて太い木を集めさせる。そうして狩りが再開したら、プックも作業を始めた。

 場所を決めたら岩肌を調べ、木をノコギリで切って長さを合わせる。その木を丸く囲うように釘でくっつけたら、岩肌に固定。ついでに丸い椅子を作ったら完成だ。


「シモンは~ん。できたで~?」

「おお~。さすがプック。早いな~」


 シモンは木のサークルに入ると、丸椅子に座ってアサルトライフルを手摺りに置いた。


「うん……いい。狙いやすい。椅子も楽だ。これなら何時間でも狩りができそうだ」

「せやろ~? あーしを連れて来てよかったやろ~?」

「ああ。ありがとな」


 サークルの中はユーチェが後ろに立てるスペースもあるのでシモンはベタ褒めだ。そうしていたら、また1羽近付いて来たので、シモンは撃ち落としてからプックに話し掛ける。


「ちょっと思ったんだけど、この望遠鏡も狙いやすくできないかな?」

「う~ん? どういうことや??」

「例えば、日時計ってあるだろ? あんな感じでコマ割りしたら、もっと狙いやすくなる気がするんだ。もちろん見えづらいと困るけど」

「ようわからんけど、ガラスを削るだけやからやろうと思えばできるで。ちょっと考えてみるわ」


 シモンたちが狩りをしている間に、プックはノートにアイデアを書き出す。そして余っていた木を小さく切ったり丸く削ったり穴を開けたりして、それをサブマシンガンの上に粘土でくっつけた。


「こないなもんかな? あぁ~……なるほど。確かに狙いやすくなるかも??」


 プックは自分で確認してから、シモンにも聞きに行く。


「ちょっとしたデザイン考えて見たで。こういうことでっしゃろ?」

「なになに……おお~。そうそう。いや、俺が思っていたのよりいい。さすがプックだな~」


 プックが作った物は、丸く平べったい木に蜘蛛の巣状に穴を開けた物。シモンが考えていた物は直線だけだったが、外に行くほど大きくなる3個の円をプラスして改良されている。


「でも、線が太すぎるか……」

「木のまま行くワケないやろ。ガラスに傷を付けて、この(がら)にするねん。いいガラスは高いし、一回削ったら取り返しが付かんからな」

「俺のお財布まで考えてくれてる……」

「感動するの、そこかいな」


 プックは手持ちのガラスがなかっただけなのに、シモンが感動しているから気持ちが悪い。しかしまだ試作の段階なのでプックはシモンと喋っていたら、ユーチェが話に入って来た。


「それ、ウチにも貸してくれはりまへん?」

「ああ。ちょっと覗いてみろ」

「う~ん……これのどこが凄いのかわかりまへんわ」


 ユーチェが否定するので、プックはイラッとしていたが、シモンが「まぁまぁ」と間に入った。


「それがアレば、君の指示もしやすいと思うんだ。例えば、ひとつ目の円の内側を1、真ん中の縦線の上部から右回りに1としたら、1の1を狙えって言えば簡単に伝わるだろ?」

「ああ! ホンマや! お兄さん、かっしこ~い」

「だろ~? フフン♪」


 ユーチェにチヤホヤされたシモン、鼻高々。


「なに1人の手柄にしてますのん。円を付け加えたのあーしやで? そもそもあーしがいなかったらこんなに活躍できなかったやろ」

「うっ……」


 でも、プックにすぐに叩き折られちゃった。プックと出会わなければ、いまでも弓で戦い、鳴かず飛ばずなのは容易に想像できるから反論もできないらしい。


「それってもしかして……内助の功どすか? お兄さん、奧さんの尻に敷かれとるんや~」

「奧さんちゃうわ! 誰がこんな優男に惚れるねん」

「え? お兄さんフリーなん? だったらウチなんかどない? 相性バッチリやろ~??」

「なななな、なに言うとんねん! 離れえ!!」


 ユーチェがシモンの腕に絡み付いたからには、女の戦いが勃発。ユーチェとプックがギャーギャー喧嘩するので、間に立たされたシモンは「やっぱりエルフとドワーフは相容(あいいれ)れないんだ」と違うことを考えていたのであった。


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