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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
一章 出会い

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026 初めて尽くし


 盗賊団をシモンが制圧してピクニックを続けていたら、後発組のドワーフ騎士団が続々と到着して盗賊を連行して行く。

 最後の1人も連行されたら騎士団のリーダーがシモンを呼んだので助かった。蒼き群雄の中で誰が好きかイレーナたちがしつこく聞いていたもん。


 盗賊の件はこれから詳しく取り調べするらしいので、報奨金は後日になるとのこと。冒険者ギルドに報告するから連絡を待つようにと言われていた。

 騎士団が帰るなら、ピクニックも終了。後片付けをして、シモンたちも馬車に揺られて帰って行く。


 迷宮街の貸し馬車屋で馬車を返したら、イレーナの宿屋に直行。命の危険があったから、助けてもらった感謝にイレーナが奢ってくれるそうだ。プックの酒には制限があります。

 シモン的には落ち度があったから断っていたが、マスターに話が行ってはどうしようもない。「娘を危険に晒したらしいな……」と脅されて、タダ飯タダ酒をご相伴に与る。たぶん、感謝してるのだろう。プックはガブガブ飲んでたけど……



 翌日からは、通常運転。シモンは仕事をして稼ぎ、プックは新型銃の製造。そんなことをしていたら日々は早く過ぎ、ある日の仕事帰りにシモンが冒険者ギルドに顔を出したら、ギルマスに呼び出された。


「いや~。大活躍だったらしいな~」


 この冒険者ギルドを束ねるのは、その昔は有名だったらしい人族のムキムキおっさん。そのギルマスのセリフに、シモンは「いつの話してんだ?」と思いながら席に着いた。


「何かいいことあったのか?」

「ああ。あの盗賊団、闇の奴隷商人とも繋がっていたから騎士団に感謝されて、領主様からもめちゃくちゃ褒められたんだ。出世しちゃうかも?」

「自分の評価がいいからかよ……」

「まあまあ。お前にも関わることだから、最後まで聞けって」


 ギルマス(いわ)く、シモンが退治した盗賊団はアジトに相当貯め込んでいたとのこと。その中には5人の女性も含まれていたので、シモンも少しは自分の行為を誇っていた。


「それで相談なんだが……」


 ギルマスの話はここからが本題。ニヤケ顔もやめた。


「被害者がかなりいてな……盗賊団の財宝は被害者に回したいと言う声があってな。わかってる! これだけ貢献したんだから、半額はお前が貰うのが筋だ。しかしだな。盗賊団を鉱山送りにする報奨金でもかなりの額になるから、辞退しても……もちろん全て欲しいと言うなら、俺がもぎ取って来てやる!!」


 ギルマスは冒険者側に立つことが仕事なのだから、本当にシモンの味方に付くらしい。しかし、できることなら辞退してほしいとも顔に書いてある。騎士団に恩を売れるから、評価に関わるのだから……


「まぁ……こんなに貰えるなら、別に他はいいかな?」

「だよな~……13人の生け捕りだけでも、1年は余裕で暮らせる額だもんな~……わかった。騎士団には……ん? いま、なんてった??」

「だから、被害者に回してやってくれと……」

「はあ!? 3年は豪遊できる額だぞ!? なんでそれを断るんだ!!」

「なんで俺は怒鳴られてるんだろ……」


 辞退してるのに、ギルマスは意味不明。自分なら絶対に断らないとか言っているから、無理な話だと決め付けていたみたいだな。


「本当にいいんだな?」

「ああ。蒼き群雄なら辞退すると思うし……なんなら、報奨金も辞退してるかもな。俺にはマネできないけど」

「蒼き群雄か……気のいいヤツらだったよな~」


 ギルマスも蒼き群雄と面識があったので、懐かしむ顔になった。


「わかった。感謝する」

「いいって。これで話は終わりか?」

「いや、まだある」


 ギルマスは財宝の辞退の書類と、報奨金の書類にサインさせて、もう1枚の書類を出す。


「俺が……Aランク……??」


 その書類には昇級する旨の説明が書かれていたから、シモンも少し驚いた。


「ここに来て2年だろ? それにクイーンアントの魔石を大量に持ち帰る冒険者なんてお前だけだ。審査官はそれだけじゃダメだと毎年落としていたけど、今回の功績で条件を満たしたんだ」

「その言い方だと、昇級していてもおかしくないような……」

「俺は強く押したぞ? でも、ほら? お前って故郷の王様からジョブは秘匿されてるだろ? そのせいで、審査官はただの弓使いが1人でそんなことできないと疑っていたんだ」


 クイーンアントの件はシモンも狩りの仕方を教えたけど、そんな自殺行為まがいの狩り方を大っぴらにしたら、死人が大量に出るからギルマスが秘匿にしたのだ。


「なんだよ~。ずっとなんで昇級しないか悩んでたんだぞ~」

「それはお前が聞いて来ないしすぐ帰るからだ。何度かギルド嬢に、俺が飲みに誘ってると言われたの覚えてないか?」

「あったな……面倒くさいから、彼女と予定があると断った……てか、大事な話なら、酒の席でするなよ」

「お前の扱い難しいんだぞ? 文句なら故郷の王様に言え」


 シモンが不当に扱われているのは二層の国王のせい。レアジョブだけど活躍は見込めないので赤っ恥を掻きたくないからって、冒険者ギルドに秘匿のお触れを出したからだ。


 この日、シモンは初めて自分1人の力だけで昇級したと同時に、初めてギルマスと飲みにケーションをしたのであった……


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