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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
一章 出会い

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023 プックの怒り


 湖までやって来たシモンたちは、ライフル銃の試射中。シモンがいとも簡単に遠くの木を狙撃するのでプックが変わってみたら、一発も当たらず。

 これでもシモンが懇切丁寧に向きを説明している。なんならもっと大きな岩を狙っても外れるから、シモンもプックもイライラだ。


「あぁ~! なんで当たらないんだよ」

「なんで当たりますん! ちゃんと言われた通りやってるんやで!!」

「そりゃ~……腕前?? フッ……」

「うが~~~!!」

「はいはい。ケンカしない。当てられるシモンも凄いし、こんな武器を作ったプックちゃんも凄いわよ」


 ここはイレーナが間に入って仲裁。元はと言うと、イレーナが撃ちたいとか言うからプックが代わりになったんだけど……



 ライフル銃の試射はある程度の話を聞けたので、プックはイレーナと一緒に軽く水遊び。シモンはまだライフル銃のスコープを覗いて、さらに遠くの標的を探しては撃っている。

 ただし、1キロ近くも離れると、さすがのシモンも外すことが多くなり、当たったとしてもド真ん中とはいかないみたいだ。


 そうしていたら、イレーナたちが近付いて来て水を掛けようとしたので、シモンはライフル銃を抱き締めて転がって避けた。


「フリやフリ。逃げ過ぎやわ~」

「おお~い。ビビらすなよ~」


 どうやらプックは水を掛けるつもりはなかったみたい。ライフル銃はプックに取っても子供のような物だからだ。イレーナは掛けようとしてたけどね。


「そういえば、これって水に濡れたらどうなるんだ?」

「それは盲点やわ。たぶんそのまま撃てると思うけど、お勧めしまへんわ。帰ったら調べまひょ」

「また暴発したら怖いから、俺も気を付ける」

「もう難しい話はいいかな~?」


 2人の話に割り込むイレーナ。元々イレーナはランチの準備をしようと話し掛けたのに、シモンが集中し過ぎて反応がなかったから、水を掛けようと言い出してプックに止められたんだって。


「メシか~……なんか狩って来ようか?」

「それええでんな。新鮮なホーンラビットとか、バーベキューで食べてみたいわ~」

「またお肉~? 私、捌けないわよ??」

「捌くぐらい俺ができる。こう見えて、親父に仕込まれてるからな。旨そうなの狩って来てやるよ」

「頼んますわ~」


 イレーナはちょっと呆れていたが、このシチュエーションなら食べてみたくなっているので止めはしない。しかしプックに送り出されたシモンは、5歩ほど歩いたところで戻って来た。


「すぐ戻って来る予定だからたぶん何も起きないと思うけど、1号を預けておく」

「あ、自衛用でっか」

「ああ。獣の場合は、見たらすぐに撃て。音に驚いて逃げて行くはずだ」

「なるほど。てことは、消音アイテムをオフにしといたほうがええでんな」


 回転式拳銃を受け取ったプックはすぐにイジろうとしたけど、シモンに止められた。


「なんやの? 険しい顔をして~」

「人間の場合もある。真面目に聞け」

「せ、せやな。その場合は……」

「引き付けてから、体のド真ん中を狙え。それなら当たるだろ。でも、人殺しなんかしたくないよな?」

「できることならやけど……」

「じゃあ、ちょっとでも危険を感じたら、空に向けて撃て。できたら2回な。その音を聞いたらすぐに駆け付ける。だから無理するなよ?」

「うん……そうさせてもらうわ」


 ここは危険のある地帯。シモンは起こりそうな事態の対策を告げ、プックの頭をポンポンと軽く叩いてから森の中に消えるのであった。



「彼、頼りになるでしょ~?」


 シモンが見えなくなった瞬間に、イレーナはニヤニヤしながらプックの隣に立った。


「まぁ……なんでんのん。その顔は」

「だって、プックちゃん、乙女の顔をしてたんだも~ん」

「ないし! あんな優男タイプちゃうし!!」

「またまた~。顔赤くなってるよ~?」

「なってないし! そもそもあんさん、元サヤに戻りたいんやろ! だからこんなにシモンはんに世話焼いてるんやろ!!」

「さあね。私たちはごはん作るよ~」


 女の格ではイレーナが上手(うわて)。プックが喧嘩腰にしても、余裕の表情で対応する。なのでプックは「ホンマにちゃうね~ん」と泣きそうな顔で料理を手伝い、イレーナも心ない謝罪をしながら手を動かすのであった。



 時間が流れ、シモンが森に入ってから1時間になりそうな頃に、料理中のプックとイレーナに迫る影があった……


「ラッキー。こんな所に金が落ちてた」

「ヒュー。あっちの女はいい体してんな。これは高く売れるぞ~」


 盗賊だ。シモンは辺りを確認してから森の奥に向かったのだが、たまたま偶然、10人以上の盗賊がこの場所を通ってしまったのだ。


「な、なんでっか? あーしたちになんか用でっか??」

「ドワーフ女は……まぁそんな趣味のヤツもいるから売れるか」

「はあ? 盗賊やな? あんたら盗賊で間違いあらへんな??」

「だったらなんだ。大人しくしてれば、傷付けずに売ってやるぞ」

「えぇ~……お頭、あっちの女、ヤラせてくれよ~」


 一際ガラが悪くて大きな男が前に出て、子分がお願いした瞬間に、プックは空に拳銃を向けて二度撃った。


「テメェ……いま何しやがった!?」


 すると、盗賊たちの目の色が変わる。大きな音が二度も鳴ったからだ。


「あーしらの主人に合図を送ったんや」

「ハッ……んなヤツ、見せしめに殺してやるよ」

「殺すのはもったいないで~? あーしの主人、金持ってるからな。あーしらを丁重に扱って、身代金要求したほうが儲かるで。端金(はしたがね)でいいからおこぼれ貰えたら、演技に付き合うで~? そしたら労せずあんたはんは大金持ちや」


 その目をかわそうと、プックはあることないことを吹き込む。しかし、それは効果覿面。本当に身代金で大金を稼げるなら、奴隷売買に加えて二度美味しいからだ。


「ひでぇ……自分が助かりたいからって、主人を売るなんて……」

「プック……シモンになんか恨みあるの?」

「なんでみんな引いてるんでっか!!」


 いや、こんな交渉を持ち掛ける人質は初だから、盗賊も困ってる。イレーナまで信じて同じ顔をしているので、プックは恐怖よりも怒りが勝るのであった……


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