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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
一章 出会い

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022 長距離射撃の調査


 プーシー3号が完成した翌日。シモンはプーシー3号を持ってダンジョンに向かった。

 最初はビクビクして半自動式拳銃の引き金を引いていたシモンだが、あまりにも楽に撃てるから徐々に感動に変わって行った。


 弾倉交換も簡単にできるので、至れり尽くせり。一度休憩を取った時にひとつの弾倉に弾を込めて満タンにしたら、それだけで1日持ったから大満足だ。

 借家に帰ったら、プックの診察。手入れがてら分解していたが、何一つ問題はないそうだ。


 ただし、回転式拳銃と比べて部品が多いので、シモンは組み立てられるか自信はないみたい。だから毎日、プックに手入れしてもらってやり方を覚えることにしていた。


 そんなことをしていたら、あっという間に2日が過ぎる。予定通り、ライフル銃の改良版を受け取ったシモンは庭に出て遠くに照準を合わせた。


「どない? その位置で大丈夫そう??」

「うん……たぶん大丈夫かな? 邪魔にはならないと思う。ただ、遠くの物を狙えないから、正直、使い勝手はいまのところわからない」

「ま、使ってみて、何か気になることがあったら言ってや。すぐ修正するからな」

「ああ……今度の休みの日に、ちょっと遠出して来る。迷宮はあまり広いところはないからな」


 すぐさま使いたいけど、休日のローテーションはできるだけ守りたいシモン。次の日からもダンジョンに潜って稼ぎ、休みの日になったらダンジョンに向かう装備で借家を出た。


「おはよう」

「はい??」


 ドアを開けた目の前には、かごバッグを持ったイレーナが立っていて挨拶までしたので、シモンから変な声が出た。


「こんな朝から何してんだ?」

「外に遊びに行くらしいじゃない? 私もついて行こうかと思ってね。町の外なんて久し振りだな~」

「はい??」


 イレーナの言い方から察するに、すでに決定事項。シモンは再び変な声を出しながら振り向くと、プックが荷物を背負って両手を合わせていた。


「お前か……」

「いや~。買い出しに出たら、たまたまイレーナはんに会いましてな。一緒に遊びに行こうってなりまして……」

「お前もか!?」


 町の外は魔獣や盗賊が現れる危険地帯。護衛を雇ってじゃないと安心して外に出れないから、冒険者のシモンが出るなら2人はそれに甘えてやろうと(たくら)んだみたいだ。



 シモンは遊びに行くワケではないので断りたかったが、2人の目が「連れてけ~」と輝いていたので渋々承諾。まずは貸し馬車屋に行って、どうしようかと悩む。

 1人で行く予定だったから馬は一頭借りる予定だったのに、3人では馬車を借りるしかない。目的地は町からわりと近場だから、馬車屋に聞いたら一頭立てでも大丈夫そうなので、それを借りて出発だ。


 馬車といっても荷車に近い物なので乗り心地はイマイチだが、めったに外に出れない2人は楽しそうに喋っている。

 シモンは操縦しなくてはいけないから、あまり話に入っていけない。そもそも女子の会話には入りにくいので、話を聞いているだけだ。


 そうこう馬車を走らせていたら、目的地の湖に到着。馬車が入れるギリギリの所まで進んで、その場所をベースキャンプにする。

 シモンは馬を木に繋ぎ、エサや水を用意してお世話。プックは焚き火の準備をし、イレーナはレジャーシートを敷いて荷物を置く。


 手分けしてピクニックの準備が整ったら、シモンはスコープ付きのライフル銃を持って湖の(ほとり)に陣取る。そこの地面にライフル銃を固定して、シモンは腹ばいになってスコープを覗いた。


「どうでっか?」

「うん……向こう岸までよく見えてる。当てられるかどうかはわからないけどな」

「ちょい待ち。あーしも双眼鏡用意してあるねん」


 シモンの隣に座ったプックは、双眼鏡を構えてどこを狙っているかを聞く。


「岩が2個並んでるの見えるか?」

「えっと……あったあった」

「その右に一本だけ前に出てる木があるだろ? それを狙ってみる」

「かなり遠そうでんな~」

「撃つぞ」


 シモンは合図と共にライフル銃の引き金を引くと、プシュッと音が鳴った。


「うわっ。一発かいな……」

「うお~。当たるもんだな。たぶん700メートルぐらい離れているぞ」

「シモンはんの腕前、ホンマ変態ですわ~」


 シモンも当たると思っていなかったのに、プックはドン引き。それから何発も撃って一発も外さないから、ますますプックが引いてる。


「なんで当たりますん? 百発百中ちゃいますか?」

「この2号の実力かな? でも、厳密に言うと、微妙に狙った所を外してるぞ」

「何が原因やろ……」

「俺の集中力かも? 距離が長い分、撃つ時にちょっとでもズレると、大きくズレるからな」

「アレのどこが大きくなんでっか~」


 プック的には、木に当たっただけでも拍手モノ。シモンはその木の中心から外れているから納得はいかないらしい。

 そんな話をしていたら、イレーナも興味を持ってプックから双眼鏡を借りて見る。やはり、当てるだけでも神技というか、シモンのことが変態に見えるらしい。


 ただし、自分でやってみないことには違いがわからない。イレーナはライフル銃を貸せと訴えたが、シモンは手放さなかった。


「相変わらずケチね~」

「ケチじゃねぇし。女の細腕じゃ危ないんだよ。2号は1号より反動が凄いんだ。下手したら肩が外れるぞ」

「女には無理って言うの~?」

「いや。プックならできんじゃね?」

「じゃあ、プックちゃんに任せる」

「おふたりさん……あーしも女扱いしてくれまへん??」


 女性でもドワーフは別。シモンもイレーナも扱いが雑なので、プックは納得いかないのであったとさ。


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