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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
一章 出会い

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019 銃製作から1ヶ月オーバー


 シモンとプックが共同生活し始めてから1ヶ月と1週間。昼間はシモンはダンジョンに稼ぎに。プックは借家で鍛冶。お互い顔を合わせるのは朝と夜の短時間だけだから、好きとか嫌いとかは思っていないらしい。

 この間に製造できた銃は、試作機の単発銃が一丁。回転式拳銃が二丁。ライフル銃が一丁。試作機以外は全てシモンが持ち歩いている。ちなみに試作機は弾を込めてプックの枕の下に隠してあるんだとか。


 今日はシモンが休みの日。さすがに出資者の休日は、プックも気を遣って朝から鍛冶仕事をすることは控えている。

 お昼頃にはシモンが起きて来たので、保存食を使って適当にランチ。2人でダラダラし、そろそろ新作の拳銃が完成しそうだと聞いていていたら、玄関からシモンを呼ぶ声が聞こえた。


「イレーナ……何か用か?」


 シモンが玄関を開けたら、そこにはイレーナの姿。今日辺り顔を出そうと思っていたので、シモンも完全に不意を突かれた顔だ。


「何か用って……1ヶ月で戻ると言ってたじゃない? なのに全然戻って来ないから様子を見に来たのよ。悪い?」

「あっ! そうか。延長したの伝えてなかったな。生きてるか心配してくれたんだな」

「別に心配はしてないけど……ところで彼女と進んだの?」

「進んだって??」

「男女の仲よ」

「ブッ! プックと~? あはははは」


 どうやらイレーナは勘違いしていた模様。シモンには仲良くしている女性はイレーナぐらいしかいなかったから、宿屋に帰って来ないのは男女の仲になっているのだと思い込んでいたのだ。


「ないないない。あんなチンチクリン。まぁ胸はデカイとは思うけどな」

「誰が胸のデカイチンチクリンなんでっか……」

「プック!?」


 そこにプックが登場。酷い悪口とセクハラを聞いてしまったので、シモンを拳骨制裁するプックであった。



 プックは腐ってもドワーフ。女性とはいえ力が強い種族の怒りに任せたパンチを鳩尾に食らったシモンは悶え苦しんでいるので、プックは「こんなところで立ち話もなんですから」とイレーナを食堂に案内する。

 それから数分後に復活したシモンが食堂に顔を出すと、プックたちは打ち解けて喋っていた。


「なに喋ってたんだ?」

「別にたわいもない話でっせ。好きな石鹸の香りとか……」

「おお~い。完全に俺の悪口だろ~~~」


 プック、殴っただけでは気が済まなかったみたい。シモンが秘密にしていた娼館通いのことをチクっていたのだ。でも、イレーナは知っていたから、悪口大会になって2人は打ち解けたみたい。


「ところでなんだけど、なに作ってるの?」


 シモンが加わってというか弁明していたら、イレーナの質問。今まで騒いでいたのに、会話はピタリと止まった。


「武器だけど……」

「なんでこの話になると口が重くなるのかな~?」


 どうやらイレーナ。シモンが宿屋に帰って来ないこともそうだが、2人がどうしてここまで秘密にしているのかが気になっていたみたいだ。


「もう教えてやったらどないでっか? どうせシモンはんしか使えないんやから」

「いや、誰でも使えるから危ないって言ってただろ?」

「せやけど、アレが尽きたらただの鉄の塊でっせ」

「そうだけどよ~……」


 この会話で危険だから教えないとわかったが、ますます気になるイレーナ。


「誰にも言わないなら教えてくれるの?」

「まぁ……でも、言うだろ?」

「まっ! 元カノを信じられないの??」

「元カノだから信じられないんだよ」


 そりゃ元カノは女友達に元カレの悪口をあることないこと言っているモノ。と、シモンの偏見。筆者は思ってない。

 しかしイレーナはそんなこと一切していないと怒り、シモンが出す弾丸のことも人に言ったことがないと反論して、ようやく信じてもらえることに。


 事実は、まったく興味がなかったから、プックに見せられるまで忘れていただけなのだが……



 銃を見せることは決まってしまったので、シモンは自室に二丁の拳銃だけ取りに行き、庭の射撃場にてイレーナに実演を見せてあげる。


「という感じで、見たこともない武器をプックに作ってもらっていたワケだ」


 ひとまず5発早撃ちし、全て的の中心に当てたシモンはイレーナに話を振った。


「なんか地味すぎてよくわからないんだけど、何が飛び出してるの??」


 拳銃の凄さ、イレーナに伝わらず。シモンとプックは、同時にズルッとこけかけたよ。


「これだ。この先っちょが飛ぶんだ」

「へ~。これ、そんな物だったんだ。ずっと御守りか何かかと思ってたわ」

「俺も似たようなモノだ。プックに調べてもらってから、使い方を知ったんだよ」

「なるほどね~。それ、私にも貸して」

「いいけど……マジで危ないからな? 俺とかに絶対向けるなよ? これ、マジで言ってるからな??」

「わかったわかった」


 これはわかってない反応。シモンがプックを見ると、プックは頷いたあとに薪を何個か抱えて戻って来た。

 薪を的の近くに立てて置いたら、シモンの早撃ち。全て薪の端の近くを撃ち抜いたので、その場所から上がほとんど爆発したような哀れな姿となった。


「うっわ……」

「な? こんなに小さいのに威力は凄いんだ」

「ホント、ビックリね。絶対に人には向けないから撃たして~」

「ああ。衝撃もあるから気を付けろよ。いや、俺が構え方から教えるから、絶対にその通りやれ。怪我するから」

「心配症ね~」


 こればかりはシモンも譲れない。ちょっとイレーナに触れ過ぎたからセクハラとからかわれたが、拳銃の反動は本当に強かったから、気を引き締めて引き金を引くイレーナ。

 その仲睦まじい姿を見ていたプックは、「早く()りを戻せ」と心の中でツッコムのであった……


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