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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
四章 二度あることは何度でもある

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122 厄災が去ったあと


「さすがはプーシーユーだがや」


 巨大キメラが倒れ、プーシーユーも勝利の余韻に浸っていたらレオポルト王がやって来た。


「いえ。獣人の人たちの強靱な肉体があったからこそです。エルフやダークエルフでは、ここまで耐えられなかったですよ」

「フフ。兵士が褒められるのは嬉しいモノだがや。しかし、プーシーユーの攻撃がなけりゃこれほど前衛は耐えられなんだはずだ。助かった。全国民を代表して感謝する。ありがとさん!」

「い、痛いです……離して……」


 デカいライオンのハグは、紙装甲のシモンに耐えられるワケがない。グングンHPが減っている。

 それを羨ましいとユーチェとプックが言っていたから助かった。レオポルト王は2人も抱き締めて感謝を述べていた。ちなみに女性には手加減できるみたいだ……



 戦闘は終わったのだから、ここからは後始末。獣人軍は念の為、巨大キメラの脚を全て切り落として無力化する。

 ただし、腐敗臭が酷いのか、獣人兵は代わる代わる。ほとんどの種族は鼻が利くから耐えられないんだって。


 プーシーユーはレオポルト王から休んでいるように言われたので、まったりとティータイム。たいして疲れていないので、手持ち無沙汰になっている。


「これからどうするん?」

「ここではやるこどないからな~……迷宮でレベル上げとか?」

「あの迷宮街に戻るんどすか……」

「「それは嫌やな~~~」」


 迷宮街は、入口も出口も爬虫類人間の巣窟。ユーチェが青い顔をするから、プックもシモンも同じ顔だ。


「先に進むとかはどないなん?」

「そっちは勇者パーティしだいかな? いま、どこにいるんだろ??」

「はよう十層に行ってくれへんかな~」

「次は九層どすよね? どんなところなんやろ~」


 今後の話をしたり勇者パーティの悪口を言ったりして時間を潰していたら、ネズミ兵士が食事の準備ができたと呼びに来た。

 またしても王様と一緒の席に案内されたが、プーシーユーは慣れたモノ。他の王様と比べると緊張が少ないみたい。着ぐるみみたいな人だもん。


 その席で獣人軍の被害状況の説明があり、死者はゼロ。怪我人は大多数出たが、これは奇跡的な結果だとレオポルト王はシモンの背中をバシバシ叩いてた。


 食後はレオポルト王から深刻な話があるらしいから、HPを減らされたシモンは逃げ出したい。プックとユーチェは逃げてったから、シモンが行くしかなかった。


「これが邪神の使いですか……」


 そう。獣人兵が回収した頭のない死体を見なくてはいけなかったから、プックたちは辞退したのだ。


「戦闘中は気付きませんでしたが、あのキメラみたいにチグハグな体だったんですね」

「ああ。国民の死体が使われとる……」

「てことは、こいつもキメラ??」

「それはわからん。ただ、絶滅した氏族の体があるのだ。もしかすると、延命のために使った可能性もある」


 この邪神の使いが長生きならば、ひとつの答えに行き着く。


「まさか、もう、厄災の魔獣は現れないと……」


 そう。キメラの製造者が消えたからだ。


「それだとありがてゃーがな。仲間がおるかもしれんし、邪神がまた送り込んで来るかもしれん。邪神がおる限り、気は抜けんな」

「そうですよね。なんとか勇者パーティが倒してくれたら……あ、そうだ。報酬に勇者パーティの動向を詳しく教えてくれませんか? それだけでいいので」

「それぐりゃーお安い御用だ。ただし、獣人の英雄にそれだけではこちらは納得できん。派手に凱旋パレードと行こうではにゃーか!!」

「それが困るんですって~~~!!」


 またしても英雄になってしまったシモン。報酬もしれっと激安価格にしようと先に手を打ったのに、レオポルト王は許してくれないのであったとさ。



 戦闘後の獣人軍は、戦闘場所から少し距離を取って野営。巨大キメラの腐敗臭が酷いから眠れないんだとか。

 翌日になると、獣人軍は巨大キメラの処理班と負傷者班に軍を半分に分け、レオポルト王とプーシーユーは負傷者班と共に王都に向かう。巨大キメラは小さく解体して、全て燃やすそうだ。


 一泊の野営を経て、獣人軍が王都に帰還すると……


「「「「「ありがと~~~う」」」」」

「「「「「王様~~~!!」」」」」

「「「「「キャーーー!!」」」」」

「「「「「わああぁぁ~」」」」」


 国民総出のお出迎え。巨大キメラを討伐したその日に、早馬というか足が速い馬の獣人が報告済みだからだ。


「俺たち、場違いだよな?」

「うん。獣人の人ら、あーしたちのこと知らんのちゃう?」


 プーシーユーはレオポルト王の乗る馬車の次の馬車に乗り込んで軽く手を振っていたけど、唯一戦闘に参加した人族なので居心地が悪い。

 さらにその参加も大々的に宣伝していないから、「なんで人族?」って顔の獣人が大半だ。シモンとプックはもう、動物園の動物として見られているようにしか感じてないよ。


「あ、パンダの子供や……かわいいな~」

「どこ? うわ~。三つ子や~」

「どっちがどっちなんだか……」


 でも、プックが裏切り。ユーチェと一緒にかわいい獣人を探し始めたので、シモンはどっちが見られる側なのかわからなくなるのであった。



 獣人軍は大通りを抜け、お城の前に整列すると、国民は囲んでいまかいまかと次の展開を待つ。


「うおおぉぉ~!!」

「「「「「わあああああ」」」」」


 レオポルト王の登場だ。城壁の上に現れたレオポルト王の雄叫びで、全員雄叫び返し。プーシーユーも一緒に出て来たけど、うるさいから全員耳を塞いでます。

 もう一度レオポルト王が雄叫びをあげると、国民の声はピタリと止まった。おそらく「静まれ」的なことを言ったのだろうけど、プーシーユーは「違いわかった?」とヒソヒソ話してるね。


「もう皆も知っての通り、厄災の脅威は去った。しかも、死者はゼロだがや~~~!!」

「「「「「うわあああああ!!」」」」」


 レオポルト王、嬉しいからってイロイロ端折(はしょ)り過ぎ。それでも国民はどれだけの被害が出たのかと心配していたから声が弾けた。


「その奇跡を起こしてくれたのは、この3人だで。プーシーユーに拍手を!!」

「「「「「……わあああああ」」」」」


 シモンたちは「いいのに」と思いながら前に出て手を振ると、国民の声は2秒ほど遅れて弾けた。プーシーユーの名前は有名だが半分は知らない人がいるし、王都にいることを知っている人は極一部だったからだ。


「そのプーシーユーのリーダー、シモン。民に声を聞かせてやってくれ」


 これをやらないことには終われないので、シモンは覚悟を決めて前に出た。


「えぇ~……いま、王様から紹介に与ったシモンです……」


 自己紹介しただけで、シーンと静寂。その後、ザワザワと国民は何かを喋っている。そのジェスチャーでシモンも気付いちゃった。


「あ、ひょっとして聞こえない? シモン! プーシーユーのシモンです! いや、あんな遠くまで声届かないって!!」


 ただの音量不足。レオポルト王の大声が異常なのだ。


「プッ。相変わらず締まらへんな~」

「ウチの風の(ささや)きで通訳しましょか? フフフ」


 プックもユーチェもニヤニヤ。シモンは必死に大声を出したけど、国民にはほとんど伝わらなかったので、グダグダな演説と記憶されたのであったとさ。


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