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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
四章 二度あることは何度でもある

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119 厄災到着


 獣人軍が進軍するなか、プックとユーチェは珍しい姿の獣人を探して観光気分。お昼休憩を挟み、さらに前進したら日が暮れる。

 野営中は、プーシーユーはウロウロ。鎧を脱いだ兵士を見たいらしい。シモンは痴漢防止のためについて行ってるみたい。謝ってばかりだから謝罪要員だな。


 シモン以外モフモフに抱きつきまくって恍惚(こうこつ)な表情でぐっすり眠ったら、また進軍だ。

 お昼頃に目的地に着いたのか、(まば)らに広がってまずは食事。その後、兵士は各種準備を開始する。


 プーシーユーの場合は、高台に登って平野を見渡していた。


「これだけ開けていたら、狙い放題だな」

「なんで平地なん? 障害物がある森の中のほうが、大物相手やったら戦いやすいんちゃう?」

「誘導が難しいからだ。あと、単純に木の下敷きになるのを避けるためってのもある」

「ああ~。素早いんやったら、ひと駆けで何本も倒しそうやな~」

「森さんが傷付く作戦は反対どす~」


 3人で喋っていたら、昼食の準備ができたとネズミ兵士が呼びに来た。振り返ると、立派なテントの設営中。つまりここが本部で、レオポルト王と一緒にランチだ。


「いつ来ますかね?」

「斥候の報告によると明日だ。数時間前の情報だが、近くの村を破壊いとる最中らしい。破壊いたあとはしばらくそこで死体漁りをするで、まちぎゃーはにゃーだろう」

「え? 村人は残っていたのですか?」

「そんな非道な作戦なんかせん。進路上の村は全員避難させ、新鮮な獣肉を多く運んでおいたのだ」


 レオポルト王の答えにホッとしたシモンだが、プックとユーチェに目で何かを語っている。獣肉は本当に獣肉なのかと……ここの住人は、見た目がアレなのだから……


 そんな怖い想像は頭を振って吹き飛ばし、食べてるお肉も考えないようにして喋っていたら、レオポルト王は仕事が立て込んでいると離れて行った。

 3人は「なんか食べた気しないよね~?」とヒソヒソ。王様と一緒の席は緊張すると言うよりも、なんの肉を食べていたか気になって仕方がなかったらしい。聞くのも怖いんだって。


 夜も恐る恐る夕食を平らげたら、早めの就寝。目覚めてからは、まだかまだかと厄災の魔獣を待つ獣人軍であった。



「アレだな」

「そうどすね」


 今回も一番先に標的を発見したのは、シモンとユーチェ。


「来たなら来たと、大声で騒ぎいや~」

「「遠いもん……」」

「せめて王様に報告やろ!!」


 目標は3キロ以上先。発見時は望遠鏡でも米粒の大きさだから、シモンとユーチェは怖くもなんともない。

 2人の代わりにプックが騒いでくれたので、レオポルト王が駆け足でやって来た。


「来たのか?」

「あ、はい。まだ遠いですけど……3キロちょっと先を歩いてる感じですね」

「微妙な距離だな……あまりはよう鼓舞すると兵士の士気に関わる」

「「ですよね~?」」

「2人はそんなこと考えてなかったやろ!」


 もしも到着が1時間後なら、兵士の集中力は続かず士気は下がるだろう。その考えにシモンたちも乗っかったけど、プックにバレバレだ。


「とりあえず、俺たちは1キロを切った辺りから攻撃を開始します。それでアイツも何か違う反応をするはずです。こっちに走って来るとか」

「ふむ……それがちょうどよさそうだな。攻撃する時は声を掛けてくれ」

「はい」


 レオポルト王が各種準備をすると言って下がると、プックも望遠鏡を持ってシモンの隣に座った。


「確かに遠いでんな~」

「な? まだ形ぐらいしかわからないんだ」

「今回は比較対象もないから驚きようがないわ~」

「だろ??」


 大激浪(だいげきろう)では大きな魔獣のおかげでエノールムの大きさはわかりやすかったから、プックもシモンたちが驚きもしないことにちょっとは納得。

 それでも「まずはちょっとは騒げ」と説教していたら、プックとユーチェの顔が歪んだ。


「うわっ……なんでんのんアレ……」

「顔がふたつもある……それに傷だらけや……」

「アレはキメラというらしい。邪神の使いってヤツが、いろんな死体を繋ぎ合わせて作ったのではないかと言われてるそうだ」

「「かわいそう……」」


 キメラの容姿は、狼らしき顔が普通の位置。鷹のような顔が左前脚の肩辺りから生えている。どんどん近付くに連れて尻尾が蛇であることにも気付いた。


「アレってゾンビちゃいますのん?」

「いや、心臓は動いてるらしいぞ。過去に勇者パーティが倒したキメラを解体したら、心臓が5個もあって、ひとつ動いてたとか王様が言ってた」

「命を(もてあそ)ぶなんて酷いどす~」

「……だな」


 ユーチェの一言に、シモンは少し顔が曇った。レオポルト王から墓荒らしが横行していることを聞いていたから、キメラの素材に使われたのではないかと今ごろ気付いたのだ。

 しかし、そんなことを言うと2人が戦えなくなるかもしれない。知らないほうがいいと判断した。


「さて……そろそろやろうか」

「はいっ!」

「プック?」


 キメラとの距離はもう間もなく1キロを切る。シモンはユーチェとプックに開始を告げた。


「へ~へ~。王様に報告やな。ネズミさん、ひとっ走りよろしくな~」

「チュー!」


 プックが伝令ではないみたい。たぶんシモンはプックにも声を掛けないといけないと思って出番をあげたのだろう。

 ネズミ兵士が本陣に走り、レオポルト王がテントから出て来たら雄叫びをあげる。


「うおおぉぉ~~~!!」

「「「「「わおおぉぉ~~ん!!」」」」」

「「「「「ほおおぉぉ~~~!!」」」」」

「「「「「きええぇぇ~~~!!」」」」」


 その大声に、高台の下で陣を敷いている獣人兵は雄叫び返しだ。


「コレってもう撃っても大丈夫ってことだよな?」

「たぶん……声、バラッバラ」

「なんかチュンチュン聞こえますよ?」


 でも、シモンたちには何をしているかわからない。


「まぁ1キロ切ったらと言っておいたし、撃っちゃうか。ユーチェ」

「はい。7の8で……」

「もうちょっと気合い入れてから始めへん?」

「2、1、撃て」


 気合いは獣人軍任せ。プックのツッコミは(むな)しく、シモンはスナイパーライフルの引き金を引いたのであった。


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