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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
四章 二度あることは何度でもある

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109/113

109 作戦通り


 何十発もの弾丸に(さら)された勇者パーティはその場に(うずくま)る。


「いってぇ……全員生きてるか!?」

「なんとか……ぐぅ」

「俺も……」


 勇者ユウキが生存確認をすると、全員から声が返って来る。被害状況は、少ない者で2ヶ所の怪我。多い者で6ヶ所に穴が開いている。


「動けるなら室内に戻るぞ!」

「ちょっとまだ……」

「トモヤ、運んでやれ! 俺はリクトを引き摺る!!」


 こんな開けた場所にいてはいつまた銃弾の雨に晒されるかわからない。勇者パーティは動ける者を中心に協力して全員で冒険者ギルドの中に戻った。


「クソッ! クソクソクソ~~~!!」


 全員の治療が終わったところでユウキはブチギレ。壁に当たり散らして破壊している。


「さっきの攻撃なんだが……」


 すると、拳聖トモノブが暗い声を出した。


「ああん?」

「俺に当たるな。それよりいまの対策だろ」

「なんだっつんだ。早く言え」

「ドワーフ側、1人じゃないぞ」

「はあ??」


 トモノブは偶然、左側からキラリと光る何かを複数見たとのこと。さらには後方から着弾した角度にも違和感があったのだ。


「たぶん、3人ではやれないと思う。倍はいると思ったほうがいい」

「アイツら、いつの間に仲間を増やしたんだ……トモヤ! 周辺の探知だ」

「もうやってはいるが……」


 トモヤは言われるまでもなく探知魔法を使っていたが、顔色はよくない。


「なんだお前? まだビビッているのか??」

「ビビリもするぞ? ギルドが100人以上に取り囲まれていたら」

「「「「100人!?」」」」


 まさかの数に、勇者パーティは驚愕の表情を浮かべた。


「全員、同じ間隔。だいたい200メートルの位置に配置されている」

「なっ……シモンのヤツ、ダークエルフに銃を流したってことか??」

「おそらく……」

「なんてことしやがる!? 戦争で使われても知らねぇぞ!!」


 近代戦争を知っているユウキは、シモンのことが極悪非道な死の商人に見えたみたい。仲間から「お前が言うな」と総ツッコミされて頭をポリポリ掻いてるよ。


「そもそもだ。この辺一帯に人っ子1人いない。俺たちはハメられたんだ」

「なんだと……シモンのヤサは??」

「嘘だろうな」

「クソ~~~!!」


 今ごろ策に嵌まっていたと知った勇者パーティは、トモヤ以外荒れ荒れ。物や壁に当たり散らしていたら、いい加減にしないと建物が崩壊するとトモヤに止められた。


「撤退だ」

「それしかないとはわかるが……」

「俺も気持ちはわかる。しかし、シモンが各国に武器を流しているなら話が変わる。アイツは国に守られているんだ」

「じゃあ、俺たちは手を出せないと言いたいのか?」

「それは違う。さっさと邪神を倒して、シモンを要求したらいいんだ。世界が平和になったなら、それぐらいの報酬は安い物だろ」


 トモヤの策は理に適っているが、ユウキは即決できずに頭を掻き毟って右に左と歩き回る。


「わあった。楽しみは邪神を倒したあとだ。必ず(むご)たらしく殺してやる……」

「ああ。俺たちの浴びた弾丸を百倍にして体に埋め込んでやる……」


 撤退は決定。勇者パーティは怒りの表情で、裏口から出て行くのであった……



「出て来たぞ。指示は?」

「ちょっと待ってください」


 ところ変わって冒険者ギルドの裏手から右方面、200メートル離れた屋根の上。そこに望遠鏡を覗いているメインデルト王とアサルトライフルを構えたシモンの姿があった。


「降参ってところですかね? 顔はすっごい怒ってますけど。ククク」


 勇者パーティは全員両手を上げてゆっくりと姿を現したので、シモンの予想は当たり。


「消えた!?」


 次の瞬間には勇者パーティは痕跡もなく消えたのだから、メインデルト王はキョロキョロと探していた。


「大丈夫です。テレポートって魔法で逃げただけです」

「あの伝説の……というこたぁ?」

「はい。俺たちの勝利です!」

「よっし!!」


 メインデルト王は拳を握り込んですぐに、以心伝心を使った。すると冒険者ギルドを囲んでいたダークエルフが「わっ」と歓声をあげていた。


「しっかし思ったより早かったな」

「はい。もっと粘ると思っていたのに……準備し過ぎましたね」


 今回の作戦は、冒険者ギルドに来た勇者パーティを狙撃すること。表から裏口に誘導するのも作戦通りだ。

 勇者パーティは勘違いしていたが、裏口の正面にはプックではなくマシンガンを持ったダークエルフ。練習する時間がなかったから、狙ったとしても当たらないのも想定内だ。


 ダークエルフが時間を稼いでいる内に、正面入口の左手から狙撃していたユーチェと、正面から狙撃していたシモンは裏口が狙える位置に移動する。

 後衛ばかりを狙っていたのも計算。回復役を減らし、一番大きな攻撃をしそうな賢者を牽制し続けていたのだ。


 予想通り賢者が大魔法を使おうとしたから、隙だらけの横と後ろから一斉射撃。このためにパラベラム弾を使っている銃は全てダークエルフに貸し与えていたのだ。

 撃つ標的は全員足を狙うことにしていたけど、遠いし初心者が多いからまちまちの結果。数撃ちゃ当たれ。殺傷力は低い弾を使ったから、死なないだろうという計算が功を奏した。


 これで勇者パーティはさらに怒って突っ込んで来ると思って、100人以上のダークエルフを用意していた。

 そのダークエルフは、ライフルっぽい見た目の物を持たせて逃げ回る係。シモンとユーチェがあまり動き回らなくていいようにデコイとして使おうとしていたのだ。


 ただ、これは予想外。勇者パーティは近代戦争や漫画の知識があるから、最悪を想定し過ぎてすぐに引いてしまったのだ。



 メインデルト王は各地に勇者パーティがいないか以心伝心で指示を出したら、シモンとの会話に戻る。


「シモンの腕も惚れ惚れするが、その武器も素晴らしい。何個か譲ってくれんか?」

「……エルフの女王様も欲しがっていましたが、断りました」


 シモンは狙撃手というジョブと弾丸補充スキルを説明してから、目をしっかりと見て喋る。


「もうひとつの理由は、今日、見ての通りです。これが何千、何万とあったら戦争が変わります。世界が平和になったら確実に使われるでしょうね」

「うむ……遠距離から一方的に戦えるなら、わしも使うじゃろうな。わかった。今日のこたぁ見んかったことにする」

「ありがとうございます!!」


 未来の戦争の形が見えてしまったメインデルト王は折れる。その決断の早さに感動したシモンは、深く頭を下げるのであった……



「お疲れさ~ん!!」


 ダークエルフから武器を回収したシモンとユーチェが屋敷に戻ると、玄関のドアを開けた瞬間にプックが出迎えてくれた。


「作戦は上手く行ったんか?」

「ああ! と、言いたいところだけど、ユーチェが腹に当てるから焦った~」

「ウチも焦ったどす~。もう、血がドバドバ~って」

「世界の希望を殺すところやったんや……」


 計画は全て上手く行ったが、ミスはあったのだから反省は必要。一歩間違えたら世界の希望を失っていたので、プックは喜びが吹っ飛ぶのであったとさ。


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