105 プーシー9号の改造
シモンの新スキル発表会は、大失敗。連射できる銃があるのに5連射なんて必要ない。どちらかと言えば退化してるもん。
いちおう的に使った大きな岩を確認してみたら、1ミリもズレずに穴が開いていた。でも、シモンが隣に5発撃ったら同じ結果になったので、ますますいらないんじゃないかと落ち込んでいた。
屋敷に戻ったら、プックにも報告。腹を抱えて笑ってるよ。
「おお~い。そんなに笑うことないだろ~」
「あははは。あ~おかし。シモンはんはとことん職業に恵まれておりまへんな~」
「んなの、昔からわかってるっちゅうの」
レア職業なのに謎が多すぎて不遇な扱いを受けて来たのだから、シモンも不機嫌だ。
「でも、よかったこともあるやん」
「どこがだよ」
「プーシー9号の連射版や。作る必要なくなったやろ?」
「ああ~……でも、9号痛いんだよな~。毎回HPを減らすってのはな~」
「反動でっか……マジックアイテムでええのんないか探してみよか?」
「それだ! なんで今まで気付かなかったんだ!!」
解決策、割と簡単。シモンは閃いたと立ち上がった。
「いや、プックなら気付いていてもおかしくないか?」
でも、疑問が浮かんだからすぐに着席。
「あーしが? ……そういや、あーしはまったく痛くなかったわ」
「それだ!」
「それどす!」
理由はプックが頑丈なドワーフの上に、無駄にレベルが高いから。非力な人のためを思って作られていなかったから、シモンとユーチェは同時に大声を出すのであったとさ。
新アイテムを探すには、プックがいたほうがいいだろうが製造作業があるので、お使いはシモンとユーチェ。メイドさんにマジックアイテム屋に連れて来てもらった。
そこで用途を説明したら、盾職用のショック吸収マジックアイテムがあるらしいので、それを試し使い。
「え……その人が殴るの??」
でも、ダークエルフなのに身長2メートル超えのゴリラみたいな男が棍棒をブンブン振り回しているから、シモンは受けたくない。
「はい。最高級の品ですので、まったく衝撃は伝わりませんよ~」
「ちょちょちょ、ユーチェやってみない?」
「ウチもその人、怖いどす~」
女性店員の説明では信じられないからにはユーチェに盾を渡そうとしたけど、受け取ってくれない。そんなことをするから、全員に冷たい目をされたシモン。男のすることじゃないもん。
覚悟を決めたシモンは盾を力いっぱい構えたが、ゴリラ男の棍棒は盾に当たっても僅かな衝撃しかなかったから、今度は疑い出した。
「では、オフにしてみましょう」
「ちょっと! あの人、さっきよりスイングが鋭いって!!」
女性店員を怒らせたシモンが悪い。ゴリラ男のフルスイングで、シモンは数メートル吹っ飛ばされたのであったとさ。
衝撃吸収アイテムは本物だったが、ここまで強い物は必要ない。少しケチって、中級辺りを数個買うことに決めた。
高級品は受けられる回数も少ないし、補充に掛かる魔石代も馬鹿にならないからだ。しかし、高級品も1個購入。女性店員にケチって目を向けられたからではない。と、思われる。
支払いは手持ちがないので、後で取りに来ると告げたのに、ニコニコメイド払い。どうやらメインデルト王から入り用なら領収書を全て城に回せと言われていたそうだ。
したがって、女性店員とゴリラ男は土下座。英雄のシモンと王家を敵に回したようなモノだもん。シモンも許してやってくれとメイドさんに頭を下げていたよ。
必要なマジックアイテムは手に入ったので、真っ直ぐ帰宅。プックの鍛冶場に顔を出し、ちょっと愚痴ったらまた笑われてました。
「あははは。そりゃシモンはんが悪いわ~」
「いや、ゴリラみたいだったんだぞ? それがちょっとしか衝撃なかったら、手加減されてると思うって」
「そこ、高級店ちゃいまんのん? だったらそれ相応の護衛がいますわ。んで、偽もん売り付けるワケありゃしまへん」
「え? 高級店だったの??」
メイドさんに確認を取ったら深く頷いたのでシモンはガックシ。中級のマジックアイテムでも、かなりお高いからだ。奢ってもらったクセに……
「それにしても、いっちゃん高いマジックアイテムまで買うなんて、ケチなシモンはんにしては思い切りましたな」
「まぁな~。グリフォンと戦った時、ちょっと危なかったから必要な経費だと思って」
「あ、シールド用かいな。そりゃ助かるわ~。どっかの2人は役に立たんし」
「「すんまへん」」
グリフォンキングの体当たりを耐えられたのは、プックの力が大きいので2人は平謝り。1人でシモン5人分のパワーがあるからだ。
「んじゃ、プーシー9号にマジックアイテム付けたるわ。ちょっと待っててな~」
これさえあれば、鬼に金棒。試射で5連射を使ってもダメージを受けないので、シモンは大絶賛するのであった。
「うぅ~……狙いが定まりませ~ん」
「ショックは吸収されてるけど、反動はそのままやからな~」
「ユーチェにはまだ早いな」
「そんな~~~」
プーシー9号は扱いが難しい銃。ユーチェは新しい銃を作ってもらえるかと期待していたので、嘆き声が響くのであったとさ。




