関西人、異世界転移されられる。
初めての投稿になります。
最初の作品なので異世界系にしてみました。
普段は物を書くことはしないので色々と至らない部分があると思いますが何卒よろしくお願いします。
何かおかしな箇所がありましたら教えてください。
「えっと……こんにちは……」
我ながら関西なまりきつめの挨拶やなぁと考えながら今目の前に女神かと思わせられるほどの美人がいる。
「今から貴方は異世界に召喚されます。」
はいはい、異世界召喚ですか。答えは決まってます。
「いやや。」
***
「おーい。」
聞き覚えのある声やけど誰かが呼ばれとる。
「だから、おーいって。」
肩を誰かに掴まれた。振り返ると幼馴染の綾だった。綾は関西人であるのに関わらず標準語を喋る、美少女である。はっきり言ってモテる。
「急になんやねん、びっくりしたわ。」
「やぁ、こんにちは、君と話したいと思って綾さんにお願いしたんだ。」
「うわぁ!誰や!?」
変な声が出てもうた。恥ずい。
こいつはこの学校の生徒会長である伊藤裕貴。ゆうきからゆきを取って雪の王子とか呼ばれとる。女の子みたいな綺麗な顔立ちにスラッとした身体、確かに王子って言っても遜色ないくらいなイケメンでこいつも標準語を話しよる。物語の主人公になりそうな奴ナンバーワンはこいつや。
よし逃げよう。
「ちょっと、待ちなさい。」
綾め、先回りしよって。
「どけ、昔から説明してるシステムが発動したらどうすんねん!」
「だから、そんなのないって。」
「じゃぁ、なんでお前は標準語喋ってんねん。昔は関西弁喋ってたやんけ。絶対影響されてるやろ。」
「だって……」
「システム?」
生徒会長が首を傾げて聞いてきた。
「こいつが昔から言ってる変なシステムのことで…」
綾が説明をし始めた。この隙にっと。そう思った瞬間綾にヘッドロックされた。
「何を考えているかはお見通し。」
そう言ってより腕に力を入れてくる。
「痛い痛い痛い、分かったから離せって。」
このクソゴリラめ。昔から力は強いんやこいつ。
「それでこいつ曰く『関西人は不遇や』って言うんです。『関西人キャラは大抵どんな物語でもボロ雑巾のように使われる。これを俺は関西人不遇システムって呼んでる。ほんで俺はそうならん為に標準語を話しよるキラキラした主人公から隠れるんや』って小さい頃から。」
「なんだいそれ。だから逃げようと。」
生徒会長がめっちゃ笑ってる。
「綾さんから聞いてた通りやっぱり面白い人だね。友達になってよ。」
「嫌です。」
もちろん即答した。
「失礼でしょ!」
綾がまたヘッドロックをまたかましてきた。
「痛い痛い痛い、分かった分かった分かった。首がもげる。」
このクソゴリラめ。
「なんか失礼なこと考えた?」
腕回しながらこっち向いてきた。やっぱゴリラや。
「気のせいです。」
ほんまに首がもげるとこやった。
「うん、これから宜しくね。」
生徒会長が握手を求めてきた。こいつらお友達なろうぜヤクザかよ。取り敢えず握手しとこ。
「うんうん、宜しく頼むよ。ん?あれなんか地面光ってない?」
「ほんとだ、地面光ってる!?ドッキリ?身体薄くなってきてる、何これやばいよ。逃げなきゃ。」
逃げる?逃げたいんはこっちや。って、ほんまに地面光ってるやんけ。体も薄なってきとるし。
まあええ、キラキラ主人公と美少女ヒロインが揃ってるこの状況、そこに関西弁の俺何も起こらないわけがなく……
***
「いやや。」
「yeah?どうして急に英語?それでね、異世界召喚するんだけどね。」
「いややって言ってんねん。」
「嫌や?」
「yeah!」
「ん?今のどっち?え、なんですって嫌!?嫌って!?初めてそんなこと言われたんですけど、普通は『異世界だ!やったぁ』とか『女神様がおっしゃるのであれば!』って感じなのに。実際さっきの子達も実際そうだったし。」
「さっきの子?綾も異世界召喚?」
「ええ、伊藤って子も綾って子も貴方と一緒に召喚されるわよ。」
綾も異世界召喚かぁ、あいつ割と鈍臭いから心配やなぁ。
「大丈夫、大丈夫、2人とも強いスキルと職業を与えたから大丈夫よ。もちろん君にも強いスキルと職業を与えるから安心して。それとあの子達のサポートもお願いするわね。」
関西人やからボロ雑巾のように使う気やな。
「いやや。」
「うん、お願いね。」
「yeah!ちゃうねん。」
「え?心配じゃないの?」
「そりゃあ心配やけど……生徒会長おるから大丈夫やろうし。」
「確かにあの2人だけでもなんとかやっていけると思うわ。でもね、これまで何回も異世界召喚させてその過程を見て来たけどみんな張り切って同じことするのよ。見てて、面白くないの。」
ん……?
「見てておもろないって、本音出たな。おい。」
「女神である私はテレビをを見てて気づいたの。美味しい料理には『さしすせそ』が必須であるように面白いことには『関西人』が必須だってね。だから貴方を呼んだの。」
「なんやねんその謎理論。関西人がみんなおもろい思ったら大間違いやで。ってかテレビ観れてるならそれでええやん。」
「それがね、そうでもないの、異世界召喚は仕事なの。異世界召喚させたら嫌でもちゃんと見守らないといけなくて……ずっと何回も同じようなこと見せられるの苦痛じゃない?」
なんやこのキュるん顔。無駄に可愛いな。って仕事なんかよ。
「苦痛じゃない?キュるん。ちゃうねん。仕事に私情を挟んでええんかい。人間の中でもダメ人間しかせんのに。」
「ちゃんと仕事はしてるじゃないの!」
「はぁ?逆ギレですか?はぁ?私情が挟まれた結果、異世界召喚に巻き込まれているんやけど?俺のQOLは?女神様がそんなことしてええんですか?脳みそ少なめなんですか?」
「え、ひどい。そこまで言う?」
「yeah!」
ふぅ。これまでの人生で1番いい返事や。
「うーん……これは確実に『yeah』ね。初めて分かったわ。」
「うんうん。良かったねー。じゃ、さいなら。」
そう言って俺は女神に背を向けて歩いていく。
歩き始めてから5分くらい経ったんやろうか。気づいたら女神の背中が目の前にあった。
「帰れないわよ、私が許可しない限りね。」
そう言うとこちらを向きながら女神は高笑いし始めた。
女神やなくてこいつは悪魔や。俺はそう思った。
「誘拐と監禁やないんかこれ?神様でもしたらあかんことあるやろ。」
「ないわよ。」
「おい、倫理観どこ飛んでった。それでも神なんか。」
「神ですけど何か?」
そう言ってメガネをクイっとしてみせる女神。
「すご、どっからメガネ出てきたん!?」
「ハンドパワーです。」
「そこは『ゴットパワーです』ちゃうんかい。」
「正解!」
「『正解!』ちゃうねん。」
女神の頭をぶっ叩いた。
「女神の頭叩くなんていい度胸してるわね。これは異世界行き決定!」
「いやや。」
「yeah?」
「もう流石に飽きたやろそのボケ。」
「うん。」
「うんちゃうねん。もうええって。」
「もういいの?バイバイー。」
「は?また身体薄なってきとるって。さっきまでずっとボケツッコミやったのに召喚までのスピード感えぐいてー。」
***
「いらっしゃいませ。勇者様。」
次もよろしくお願いします。
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