第二十五話 文化祭準備⑤
第二十四話 文化祭準備④にミスがありましたので、修正しました。
【文化祭ウィークまで残り2日】ではなく、【文化祭ウィークまで残り3日】の間違いです。
冬真は土日、中宮と河上のグループAOMでやり取りをしながら、文芸部の文化祭準備を進めた。冬真と中宮で作っている短編は完成し、そのタイミングで河上から何枚か表紙の案が送られてきた。
(いや、絵のタッチが上手すぎる...どれにしようか...とりあえず、返信しないとな。)
綾人:ありがとう!
(って...この絵、デジタル!?)
綾人:これってデジタル?
河上:小説の表紙絵はアナログだと
粗くなっちゃうと思って(^^;)
(そこまで考えてくれてるとは...)
「ありがとうございます!!」
冬真はスマホに向かって頭を何度も下げた。すると、今度は三奈方先輩からAOMの通知がきた。
真雪:美夏ちゃんと共同で短編つくってるって、ま?
(一応、三奈方先輩には確認したんだけどなぁ...)
綾人:マジですよ。
真雪:僕、なんかハブられた感じじゃん!
綾人:先輩は部長として、文芸部の代表作的な感じですよ
真雪:あーね
「え、ちょろ。」
思わず、冬真は口に出してしまった。しかし、しっかりと話を聞いていなかった三奈方先輩が悪い。冬真は中宮と個人AOMでやり取りしながら、河上が描いてくれた表紙を選んだ。
「前はごめんね〜!今日から1週間、文化祭ウィークなので、精一杯頑張りましょう!!」
水瀬先生は前回、風邪で休んでいたそうでマスクをしている。風邪をうつしちゃうから〜とか言って、教室を出ていった。
(いや、絶対手伝いたくないだけだろ...)
そう冬真が思っていると、学級委員長の赤坂大翔が黒板の前に立った。
「えーと、前回で役割とか決めたし、お化け屋敷の構図っていうのかな?決めたいんだけど...」
「迷路みたいにしようぜ!」
「ゴール付近を怖くしたいよねー!」
「それなー!」
赤坂は上手くクラスみんなの意見が飛び交う中、黒板に色々と書いていく。赤坂がいなければこのクラスは終わりだと冬真は心の中で思った。
冬真は小沢と一緒にダンボールを取りに行くことになった。普通なら、力ある男子が取りに行くべきだと思うが、なぜ、小沢が選ばれたのかわからない。ダンボールを取りに行く最中、他のクラスでは協力しながら楽しそうに取り組んでいた。
(あ〜...無言気まずい...)
「冬真君ってどうやってみーちゃんと出会ったの?」
先に無言の空気を破ったのは、小沢だった。
「えーと、文芸部だよ。」
「そうなんだ。」
「小沢さんは美夏ちゃんとどういう仲なの?」
トランプゲームを始める前、中宮のことについて聞いてきた。心配そうにしていたから、相当仲深いのだろう。
「中学からの仲だよ。みーちゃん、剣道やっててね。」
「あー、県1位ってすごいよね。」
「え?知ってるの!?」
手を口の前に持ってきて驚く。
「ま、まぁーね...」
(流石にあの時の状況は言えないけど...)
「みーちゃん、あまり自分のことについて言わないんだけどなぁ〜」
腕を組みながら考え込む。そんなことを話しているうちに、ダンボールが保管されている部屋まで着いていた。扉を開けようとするも、錆びているのか、立て付けが悪いのか扉が開きにくい。
「かった...この扉...」
なんとか冬真は扉を開けて、小沢と一緒に部屋に入る。中は非常に暗く、電気も付いていない。学校の物置として利用されているのが一目でわかり、ダンボールは部屋の奥に山積みにされていた。
「え?なんか暗くない?」
「暗すぎるな...」
冬真と小沢は扉から差し込む光を頼りにして、部屋の奥に行く。
「冬真君、反対側持ってくれる?」
「うん。」
一つ一つ丁寧にダンボールを上から下ろしていくことを繰り返していると、扉の方から"ガタガタギー"と嫌な音が聞こえてくる。冬真たちがいる所では死角で見えないため、何が起こっているのかがわからないが、少しずつ部屋が暗くなっていくのがわかる。
「な、なんの音?て、てかなんか暗く...」
(ま、まさか...!)
小沢が何かを言い終える前に冬真は扉の方へ向かう。
「ちょっt...」
《ガチャ》
扉を閉められたことがわかった。中からは扉の取手がないため、開けることすら不可能。部屋の中は真っ暗になったが、棚の方から少し光が漏れているため、おそらく棚の奥は窓だと冬真は気づく。
(なんで、窓のところに棚置くんだよ...)
その微かな光を頼りに小沢の方へ戻ろうとした時、
「と、冬真君...いる?」
とても弱々しい声で尋ねる。
「俺はいるぞ。大丈夫か?」
小沢の近くに行くと、なぜか座り込んでいた。
「体調でも悪いのか?」
同じように小沢の近くにしゃがみ込むと、小沢は冬真に抱きつく。
「ちょっ!?」
「ごめん...暗いの...本当に苦手で...」
(なんかよくあるラブコメ定番のヤツに遭遇しちゃったんだけど!!こっから良い雰囲気になって......しちゃったりとかするヤツじゃん!!)
「だ、大丈夫だって!ほら!棚の前は少し明るいし...」
小沢はゆっくりと顔を上げて辺りを見回すが、再度冬真に抱きつく。
「暗い...じゃん...ばか...」
「そ、そうか...多分、ダンボール取りに来る人まだいると思うし、待ってよう...」
小さな声で小沢は返事した。暗い部屋で男女2人がくっつき合うこの状況は普通の男子高校生は嬉しいことだが、冬真にとって、一刻も早く部屋から出たいの方が強かった。
《ガタッ》
突然、部屋の中から物音がする。
「キャッ!」
小沢は驚いて、手を冬真の背中に回して強く抱きしめる。
(ちょっ!!む、胸が当たってる!!)
「大丈夫だから!!」
すると、扉の方から話し声が聞こえる。聞き覚えのある音ともに、部屋が徐々に明るくなっていく。
「やよいちゃーん?冬真くーん?」
同じクラスの女子2人が部屋の中に入ってくる。
(こんなところ見られたら、まずい!!)
冬真は必死に小沢から離れようとするも、一向に離れない。影が少しずつ近づいてくる。
「え?」
「ま?」
入ってきた女子2人に見られてしまった。
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