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第十九話 眠っちゃったね

テストは4日間かけて行われた。特に可もなく不可もなくテストはできたが、問題は残っていた。


(中宮の発言は一体、なんだったんだろうか?)


4日目のテストが終わると、部活動が再開する。こういう時、部活動に入っていない帰宅部はとても羨ましい。冬真はテスト期間、焦りに焦りまくって睡眠時間がたったの4時間しか取れていない。4日目の最後のテスト、数学なんてほぼ半分寝てたと言っても過言でない。


(今から部活...サボろうかな...)


サボりたい気持ちは大いにあるが、いつの間にか無意識に部室の前まで来ていた。扉を開けると、当たり前のように三奈方先輩と中宮が座って雑談していた。


「あっ、おつかレンコン〜」


「...おもんな。」


「一応、僕先輩なんだけど!」


なぜ、三奈方先輩はこんなに元気なのか 冬真に理解できなかった。中宮はテスト前の雰囲気とは違って大人しくなっており、違和感が少しある。


「おつかれ、冬真君。」


「おつかれー。」


それも三奈方先輩の前では冬真と苗字で呼ぶが、冬真と一対一の時は下の名前で呼ぶようになった。あのテスト2週間前の日から。気になりすぎてネット検索したが、どれもタメにはならなそうだった。


(脈アリだとか、ナシとか俺には訳わからねーよ。)


冬真はゆっくりといつもの定位置、中宮の隣に座った。睡眠時間、4時間のせいか眠気が一気に襲われ、机にうつ伏せになって眠ってしまった。




「おーい、冬真君〜。」


三奈方先輩はうつ伏せになった冬真に話しかけるも、冬真からの返答はない。


「眠っちゃったね。てか、これチャンスじゃない?」


「な、なにがチャンスなんですか!」


中宮は頬を少し赤らめながら三奈方先輩の目を見て言った。


「いや〜、美夏ちゃんが冬真君に想いを寄せてるとはね〜。」


「い、いつそんなこと言いました?」


「やっぱり、女の勘ってやつよ!」


「男装姿でそんなこと言われても説得力ないですよ。」


「なんか、冬真君みたいなツッコみ方するね。お似合いだよ。」


「っんえ!」


(わ、私があ、綾人君と...)


三奈方先輩の発言に少しずつ顔が熱くなっていくのがわかる。


「そういえば、テスト終わったら文化祭だ...」


カエルのように目をぱちくりさせて、三奈方先輩は言った。


「そうなんですか?」


「文化祭だぁぁぁぁぁぁぁ!!」


冬真が寝ているのにも関わらず、椅子から立ち上がり子供のようにはしゃぐ。


「三奈方先輩!シーー!」


冬真の方をチラチラと気にしながら小さな声で伝えると、三奈方先輩はやってしまった というような顔をしながら、手で口を押さえる。大声で叫んだにも関わらず、冬真はびくともしなかった。


「え?死んでる?」


「不謹慎なこと言わないでくださいよ。」


「でも、あれで起きないとか相当やばいよ...」


「たしかに...です。」


二人の間に沈黙の空気が流れる。気まずいというよりかは、心配する方である。


「美夏ちゃん。」


三奈方先輩は中宮の耳元でボソボソ呟いた。その時、中宮は頬を真っ赤にした。


「そんなのできませよ!てか、何で私なんですか!」


声を抑えながら必死に訴えかける。


「練習だと思って!」


「それでも無理ですよ!」


「じゃー...」




「それ本当ですか?」


食い気味に三奈方先輩に詰め寄る中宮はまるで猫がネズミを狩るような感じだった。


「ほ、ほんとうだよー...」


「約束ですよ!」


中宮は三奈方先輩に釘を刺した後、寝ている冬真の近くに行き、耳元で囁いた。


「す、すきだよ...」


言い終えた後、顔が熱くなるのを感じる。だが、この熱さは中宮にとって、嫌な熱さじゃなかった。


「うん?」


冬真はゆっくりと起き上がり、背伸びをする。その時、中宮の鼓動が一気に早くなる。


「トイレ行ってきます...ねむ...」


そう言って、眠そうにフラフラしながらトイレに向かう冬真を中宮と三奈方先輩は見送った。


「まさか...」


「え、え、ま、まさか聞かれてました?」


まさか と呟く三奈方先輩に反応して、顔を青ざめる中宮。


「いやいや、冬真君なら飛び跳ねて驚くでしょ。」


「そうです...ね?」


中宮は納得したようなしていないような反応を見せ、二人は冬真がトイレから帰ってくるのを待った。




(ま、まじかぁぁぁぁぁぁぁ!!聞いてしまったぁぁぁぁぁぁぁ!!)


冬真は男子トイレに入った後、鏡の前で自分の顔を見ると、見たことのないぐらいに耳まで真っ赤になっていた。


(え?え?いや、いや、ま、まさか...いや、俺が...ない、ない...ないよな?)


その場で頭を抱えてながら数分、動けなかった。一方その頃、


「冬真君。遅いねー。う◯こかな?」


「三奈方先輩!」


「ごめん。ごめん。」


汚い話をしていた。




数分して、冬真はやっと動けるようになり、顔を赤さもだいぶ引いた。部室に戻ろうとすると、中宮のことを思い出してしまい、顔が熱くなる。そのせいで、なかなか戻れなかったが、意を決して戻った。


「遅いじゃーん。」


三奈方先輩は机に肘をついて顔を支えながら言った。


「す、すみません...」


(平常心...平常心...)


「そういえばさぁ、テスト終わったら文化祭だよ!」


(それで起こされたんだよ...)


「文芸部って何かするんですか?」


冬真が三奈方先輩に尋ねると、よくぞ聞いてくれました! みたいな感じで椅子から立ち上がり、


「わからない!」


『へ?』


冬真と中宮は同じ反応をする。聞かれて嬉しそうにしていたのにも関わらず、堂々と言えるのに理解が追いつかなかった。


「ど、どういうことですか?」


「美夏ちゃん...僕、去年は孤独だったんだよ?」


『あっ』


二人は察する。


() () ()!」


三奈方先輩は大きく息を吸う。


「文化祭 文芸部エンジョイしようの会 を立ち上げます!」

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