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第十五話 裁判

その場にいる冬真、中宮、春崎先輩は手を止めた。冷たい空気が流れているのにも関わらずにルール説明しようとしている三奈方先輩。


「両サイドから徐々にっ」


まゆちゃん(三奈方真雪)!?な、何言ってるの?」


ルール説明に割り込んで止めようとしたのは春崎先輩が一番早かった。冬真と中宮は目が点になっている。


「え?やらないの?」


「あ、綾人君がいるんだよ!?」


「え?冬真君、そんなの気に...」


「しますよ!!」


思いっきりツっこんだ。中宮は三奈方先輩の発言に驚きのあまりか、まだ目を点にして硬直している。


「つまんないな〜」


持っていた細長いチョコのお菓子をハムスターのように三奈方先輩は食べた。しかし、三奈方先輩のように何かアクションがなければ、ただ単に冬真の家でお菓子を食べているだけになってしまう。


(確か俺の部屋にアオッチ(ゲーム機)あったよな...)


「ちょっと待っててください。」そう言って冬真自分の部屋に行き、アオッチ(ゲーム機)を探した。


(この辺にあるはずなんだけどな...)


「ここが冬真君の部屋かぁ...」


いつの間にか三奈方先輩は冬真の部屋に入ってきていた。それにびっくりして、机に頭をぶつけた。


「いってぇ...な、なんで入ってきてるんですか!?」


「男子高校生の部屋は玉手箱だからね。」


三奈方先輩は冬真の部屋を散策し始めた。


「男子高校生なら...ベットだよね〜」


「ちょっ!勝手に散策しないでください!」


「何か隠してるの?」


ニヤニヤしながらベットの下やベット脇をジロジロと見る。それに対して冬真は止めに入った。


「や、やめてくださいよ!」


三奈方先輩の腕を優しく掴んで引っ張ろうとした時、三奈方先輩と冬真の足が絡まってバランスを崩しベットに押し倒してしまった。


「あっ、」


そのタイミングで春崎先輩が心配して、入ってきた。


「なんか声も大きいし...だいじょ...ぶ...?」


見てはいけないものを見てしまったかのように、手で口を抑えた。


「こ、これは!ちっ、違うんです!!」


中宮も心配なったのか、顔だけをこちらに出した。


「えっ...キモ。最低。死刑。」


目に光がなく、真顔&ガチトーンで言われた。


「美夏ちゃん!?」


俺は慌てて弁明しようと、とりあえず三奈方先輩から離れた。


「冬真君に襲われた...」


(このクソア◯!!!!!!なぁぁぁぁぁに言ってんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)


「あ、綾人君...本当なの?」


「んなわけ、無いじゃないですか!!」


「そ、そうだよね。こんな陰キャの童貞くさい男が襲える度胸ないもんね。」


「なんか、すっげぇ悪口言ってません!?」




「これから裁判を始めます。裁判官はこの春崎楓が務めさせていただきます。」


(おいおい、なんか勝手に裁判始まったんだけど...)


「検察官はこの中宮美夏が致します。」


「では、被害者の三奈方真雪さんは前へ。」


ソファーに座って裁判官をしている春崎先輩は三奈方先輩に指示を出す。


「では、何があったのかを教えてください。」


「はい。グスッ。」


(嘘泣き下手くそか!)


「冬真さんが1人でどこか行かれるようでしたので、その後をこっそりつけていくと冬真さんの部屋でした。」


そこで、春崎先輩が尋ねる。


「なぜ、こっそりつけていったのですか?」


「気になったからです。グスッ」


(理由になってねぇー)


「なるほど。続きをどうぞ。」


(はぁぁぁぁぁぁぁ!?納得できねぇぇぇえだろうが!!)


「それでベット横に行くと、いきなり腕を掴まれてベットに押し倒されたんです。そこで言われたのが、「騒いだら乱暴にするぞ。」って」


「言ってないって!!!!」


春崎先輩は手を叩き、「静粛に。」と冷静に言った。


「よって、冬真綾人容疑者には死刑を要求します!!」


「美夏ちゃん!?」


腕を組んで、冬真の方を一向に見ない。ただ、怒っているのだけわかる。


(なんで怒ってるんだよ...)


「では、容疑者の冬真綾人さん。三奈方真雪さんが言ったことは本当ですか?」


「いいえ!全然違います!そもそも、俺はアオッチ(ゲーム機)を探していただけで...」


必死に弁明する冬真に対して、哀れな目を向ける三奈方先輩と中宮。


「では、ベットに押し倒したのは?」


「あれは事故です!三奈方先輩の足と絡まっただけなんです。」


「ここは、厳しい処罰を!」


中宮が大きな声で言う。その隣でまた嘘泣きを演じている。


(美夏ちゃんってそんなキャラだっけ...てか、いつまで嘘泣きしてんだよ!!)


「うーん。とりあえず、冬真綾人容疑者の部屋を捜索しますか。」


春崎先輩がそう言うと、三奈方先輩は主人が帰ってきた時の犬のようにいち早く向かい出した。


「えっ!ちょっ!」


3人が小走りで冬真の部屋に行くため、冬真もそれを止めようとついていく。部屋に着くと、三奈方先輩がすでにベットの周りを散策していた。しかし、冬真は別に見られてマズいものは何もない。


「あ!」


ベットの下に手を突っ込んでいる三奈方先輩が何か見つけたような反応をする。その反応に対して、冬真はドキッとした。


「これは...ほ、本です!!」


三奈方先輩がそう言うと、春崎先輩は


「ベットの下に本...ま、まさか!」


その本がわかったような反応をする。三奈方先輩は冬真の方を見てニヤニヤする。


「チェックメイトだぁぁぁ!!」


三奈方先輩がそう言いながらベットの下から出てきたのは、謎の恋愛人 という方が書いた恋愛小説だった。


「あ!そこにあったんだ。探してたんですよ。」


冬真は嬉しそうに三奈方先輩が取り出した本にかぶっている埃を払って机の上に置いた。三奈方先輩や春崎先輩、中宮は思っていた本とは違ったらしく、目を点にしている。


「いや〜、見つかって良かった〜。」


本を見つけてくれた三奈方先輩は小声でボソッと、


「おもんな。」


と言い、春崎先輩は手を叩いて、


「閉廷、へいてーい。」


中宮は冬真にニコッと笑顔を見せて、


「死刑」


と言って3人ともリビングに戻った。


(え...なんで俺が悪いんだよ...)




この後、冬真たちは仲良くアオッチ(ゲーム機)で遊んだ。

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