第十四話 冬真君の家
文芸部ゴールデンウィーク遊ぼうの会 は無事に終わった。冬真は終わったと同時に、残りのゴールデンウィークをどう過ごすのかで頭を悩ませていた。去年のゴールデンウィークは受験生ということで、受験勉強に取り組んでいた。周りはまだ受験生という自覚があまりなく、勉強している方が少数派だった。
(あ〜あ...中学の時俺どうやって過ごしてたっけ...)
ベットに寝転がりながら思い返していると、『ピコン』とスマホが鳴った。見てみると、三奈方先輩が文芸部のグループAOMに何かの写真を送信したようだ。
(こういうのってすぐに既読つけた方がいいのか...でも、すぐ既読つけるとキモいって思う人もいるそうだし...)
そう考えていると、中宮も何かの写真を送信したことが通知で来た。何の写真を送信しているのかが気になり、グループAOMを開けた。三奈方先輩と中宮が送っていたのは、昨日遊んだ時の写真だった。
(俺も少し撮ったのあるし、送っとくか...)
冬真はいくつかの写真を送信した。すると、
真雪:ゴールデンウィーク中、もう一回集まって遊ぼうよー!
とメッセージが送られていきた。それに対して中宮はグットのスタンプで返信した。
(確かに遊びたいという気持ちはあるけど...俺金欠なんだよな...)
冬真は親が毎月お金を送ってもらえているが、そのお金を全て使い切る訳にはいかない。何かあった時のためにも貯金しなければならない。
真雪:じゃー、冬真君の家で遊ぼうか。
「は!?」
声に出して驚いた。
綾人:なんでですか!る
真雪:半分冗談だよ。それに誤字ってるよ笑
(半分冗談?てことは、半分ガチで言ってるのかよ!)
綾人:半分冗談ってなんか怖いんですけど、、、
真雪:いや、誰かの家で集まって遊びたいなーって
美夏:私の家は厳しいかもです(>_<)
真雪:僕もなんだよねー
(なんか俺に矛先が向きそうな予感が...)
真雪:ってことで冬真君の家はだめかな?
(あーあ、やっぱり...でもな〜)
これもこれで、普通の男子高校生なら大喜びだろう。女子2人に対して男子1人。いやらしい展開になることを想像するはずだ。
綾人:だめではないですけど、、、
真雪:ありがとう!
こうして、2日後に冬真の家で集まって遊ぶことになった。勿論、女子2人に対して男子1である。2日後に遊びに来るということは家を掃除しなければならない。といっても、常日頃から掃除や片付けているお陰でそこまで時間はかからなかった。
(後は、ジュースなりお菓子かぁ...結局はお金使っちゃうよね〜...)
こういう機会で自分は案外ケチであることに気がついた。いい意味で言えば、倹約家なのかもしれない。スーパーに着くと、カゴを持ってお菓子なりの買い出しをした。冬真は全くお菓子など食べないため、どれがいいのかわからない。
(お菓子...うーん...先にジュース決めるか...)
お菓子はあまり食べない冬真でも、ジュースはたまに飲む。カゴにコーラやオレンジジュースなどの炭酸飲料計3本と炭酸飲料以外のジュースも計3本入れた。カゴは重く、こんなに買う必要ないんじゃないかと思ったが、残れば飲めばいいだけの話だ。
(いや〜...本当にお菓子どうしよう...残ったらあげたらいいか...)
お菓子コーナーに来たが、種類が多すぎてどれを買えば良いのかわからない。とりあえず、スマホで人気のお菓子を調べて、いくつかカゴに入れ、精算してスーパーから出た。帰り道、そこで冬真はふと思った。
(やっぱり、俺案外、楽しみにしているのかもな...)
耳にワイヤレスイヤホンをつけて、音楽を聴きながら家に向かった。
〜当日〜
冬真は駅まで2人を向かいに行くと、知らない女性といた。
(え?ま、まさかな...)
恐る恐る2人の元へ行くと、
「あっ、冬真君〜!」
と三奈方先輩が手を振ってくれた。三奈方先輩は男装ではなく、女性の姿だった。
「ど、どうも〜...」
軽く挨拶すると、三奈方先輩が手を合わせながら申し訳なさそうに言ってくる。
「ご、ごめん!1人追加していいかな?」
(あはは...予感的中しちゃった...)
「別に問題はないですけど...」
「それなら良かった!ありがとう!!」
「そ、そちらの方は?」
「あっ、同じクラスの春崎楓ちゃん。」
「今日は突然、お邪魔しちゃってごめんね。」
春崎は申し訳なそうに冬真に言った。
(同じクラスってことは2年生か...)
「全然、大丈夫です。1年の冬真綾人です。」
軽く挨拶した後、三奈方先輩と中宮、春崎先輩を冬真の家まで案内した。
『14階です』
エレベーターを降りた後、家の鍵を出し開けてリビングに案内した。
「わぁ〜、いいとこに住んでいるんだね〜!」
三奈方先輩は声を上げた。中宮は遠慮しながらソファー横に荷物を置いた。
「あっ、綾人君。これ。」
春崎先輩がいきなり下の名前で冬真のことを呼んでドキッとしたが、差し出された袋を受け取ると、たくさんのお菓子が色々入ってた。
「これ、みんなで買ったやつ。良かったら食べてね。」
「え〜。ありがとうございます。」
(俺お菓子買う必要なかったじゃん...)
「せっかくなんで、みんなで食べましょう。」
そう言って冬真テーブルに受け取った袋を置いた。そして、冬真があらかじめ買っておいたジュースを冷蔵庫から取り出した。そして、みんながテーブルを囲んで座り、お菓子パーティーのような感じが始まった。三奈方先輩は1人1人にジュースを注いでくれた。
「それじゃー!」
三奈方先輩の掛け声のもとに、
『乾杯ー!!』
よくわからない冬真は流れでみんなに合わせた。みんなが色んなお菓子を開けて楽しく食べている最中に、三奈方先輩はニヤニヤしながら細長いチョコのお菓子を持って言う。
「これでゲームをしようか〜」
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