第十二話 文芸部ゴールデンウィーク遊ぼうの会②
数分待つと、注文したホットドックとパフェがきた。
「わぁぁ〜」
三奈方先輩は目をハートにしながら、パフェを様々な角度から撮っている。中宮も三奈方先輩ほどではないが、写真を1、2枚撮った後、スプーンですくって頬張った。冬真は手を合わせてから、ホットドックにかぶりついた。
「え、うま!」
「でしょ〜!」
三奈方先輩はニヤニヤしながら嬉しそうに言った。
「このパフェも美味しいです!」
「よかった、よかったよ〜」
「私のパフェも食べます?」
「え!いいの!」
三奈方先輩と中宮は互いのパフェを食べ合いっこしている。そんな中、美味しすぎてもう一度来ようかと冬真は考えながら頬張った。だが、なぜか視線を感じる。
(この鋭い視線は...)
「ジーーーーーー」
「な、なんすか?三奈方先輩...」
「いや、お礼の一つや二つぐらい欲しいなーって」
「お礼ってな、何すれば...」
「美夏ちゃんはくれたんだけどなぁ〜」
三奈方先輩は中宮のパフェを見ながら言った。
「ぱ、パフェにホットドックは...」
「はぁ〜...」
「た、食べますか?」
冬真がそう言うと、ニコッとして大きく頷いた。三奈方先輩にホットドックを渡そうとすると、
「え?あーん、してくれないの?」
「し、しませんよ!!」
「愛してるって言い合った仲なのに?」
「あれはゲームです!!」
冬真は顔を真っ赤にしながら三奈方先輩の前に差し出した。三奈方先輩は俺の差し出した手を覆うように両手で掴み、ホットドッグにかぶりついた。
「あっ、」
「本当に美味しいね。」
三奈方先輩はゆっくりと俺の手を離して言った。その行為になんの意味があるのかわからないが、冬真の心臓は素早く大きく鼓動を打った。
「そ、そうですか...」
このドキドキを抑えるためにも冬真はあまり余計なことは考えないようにした。それに、三奈方先輩にだけあげるのも、中宮にも申し訳ないと思い聞いた。
「た、食べるか?」
「え?」
「いや、パフェにホットドックなんて合わないよな。あはは。」
冬真は軽く中宮に軽く謝りながら、ホットドックを食べようとした時、
「もらってもいいの?」
「え、あ、いいよ...」
すると中宮はスプーンを置いて、目を閉じながら口を開けた。三奈方先輩に助けを求めようとしたが、知らんぷりで何も気にせず、パフェを食べていた。隣に座っている中宮はずっと口を開けて待っている。
この体勢待たせるのもしんどいだろうと思い、冬真はゆっくりと中宮の口にホットドックを近づけた。ホットドックに少しかぶりついた時、
『パシャッ』
それに驚いた冬真と中宮は三奈方先輩の方に目を向ける。すると、三奈方先輩がニヤニヤしながら、スマホを構えていた。そして何事もなかったようにパフェを食べ始めた。
「え?ちょっと!消してください!」
「え?なんのこと?冬真君が美夏ちゃんにあーんしている写真なんて撮ってないよ。」
「いやいや、今撮ってましたよね!?って丁寧に説明しなくていいです!」
冬真は隣にいる中宮を見ると、頬を赤らめながらスマホをジッと見ていた。何を見ているのかと思い、チラッと中宮のスマホ画面を見た。すると、冬真が中宮にあーんしている写真だった。
「え!ちょっ!」
「あ、冬真君も欲しいよね。せっかくならグループAOMに送っとくよ。」
そう言って三奈方先輩は片手でスマホを操作した。
『ピコン』
ポケットに入れていたスマホが通知音とともに振動する。慌ててポケットからスマホを取り出し、グループAOMを開ける。
『文芸部(3)』
真雪が写真を送信しました。
画面に表示され、冬真はゆっくりとグループAOMを開けた。そこには、頬を赤らめている冬真が目を閉じながらホットドックをかじっている中宮の姿が撮られていた。
「み、三奈方先輩!」
「なんか、甘酸っぱいね〜」
遠くの方を見ながら三奈方先輩は言った。
「それは、パフェのせいです!!」
昼食を食べ終えた冬真たちは、水族館に向かうために駅まで向かった。駅に着くと、三奈方先輩は電車の時刻表見て、
「後5分ぐらいで来るよ。ナイスタイミングだね!」
気分良くはしゃいでいる。それに対して中宮が同感している。冬真はショッピングモールから駅まで結構な距離があり喉が渇いたため、駅のホームで水を買った。
「あ!そういえばさ〜」
三奈方先輩は電車待ちしている時に、何かを思い出したかのように喋り出した。
「間接キスしたよね。」
「ブフォォォ!!」
冬真は飲んでいた水を吹き出した。昼食であった出来事を忘れようとしていたが、鮮明に蘇ってくる。
「な、何を言ってるんですか!」
「いや〜、冬真君が普通にホットドック食べてたし。」
言われるまで気づかなかった。おそらく、写真を撮られたということの方に意識がいき過ぎていたせいでそんなことを考えられなかったのだろう。
「あっ、電車来ましたよ。」
中宮は聞こえていなかったのか、気にしていないのか。はたまた、聞こえないフリをしているのかわからないが、昼食のことは何事もなかったように振る舞っている。冬真たちは電車に乗り、水族館の最寄り駅まで乗った。
最寄り駅に着いてそこから20分程度歩くと、大きな水族館が見えてきた。水族館に着くと、三奈方先輩は自らチケットを買いに行ってくれた。もちろん、チケット代をしっかりと受け取った後で。
「このチケットどうする?」
買い終えた三奈方先輩が冬真と中宮に尋ねてきた。チケットをよくみると、同じチケットであってもチケットに描かれている生き物が違った。冬真にとってはどれでもいいが、女子にとっては重要なのかもしれない。
「三奈方先輩はどれが欲しいですか?」
中宮が三奈方先輩に聞いた。
「う〜ん、イルカかな。」
「じゃー、私はペンギン貰ってもいいですか?」
中宮は三奈方先輩と冬真に尋ねた。どれでも良い冬真は頷いた。
「いいよ。じゃー、イルカ貰うけどいい?」
「いいですよ。俺はこのチンアナゴ貰いますね。」
そう言って、三奈方先輩からチンアナゴが描かれているチケットを受け取った。チケットを受け取った後、チケットの裏にあるQRコードをゲートにかざして入場した。
冬真はかざした後、水族館のチケットを丁寧に財布の中にしまった。
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