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第十一話 文芸部ゴールデンウィーク遊ぼうの会①

いつも男装している三奈方先輩は今日は女性の格好をしていた。前からなぜ男装しているかは疑問であり、女性の姿が嫌いだからと思っていていた。それにデリケートな部分でもあるから、余計に尋ねにくい。


「き、綺麗です...」


中宮は三奈方先輩に見惚れている。確かに、男装の時では気づけなかったところが露出している。メイクも男装の時とは違う。"大人の女"っていうのがしっくりとくるスタイルである。


「もう揃ったし、行こうよ!」


三奈方先輩は褒められて嬉しいのか、テンションが高い。早く行くことに悪いことはないため、電車に乗ってショッピングモールへと向かった。しかし、冬真は電車に乗っている最中、あることに気がつく。


(今の状況...女2男1...え、気まずっ!え、はっず!!)


電車で移動している最中、そのことがずっと頭の中をよぎり意識してしまう。本来、一般の高校生なら喜ばしい場面であるが、陰キャの冬真には喜ばしくも嬉しくもない。なんなら、息が詰まる。


(なんで俺、気づかなかったんだ...)


この先、純粋に楽しめるかどうか不安があった。




「とーちゃくっ!!」


ピョンピョンと跳ねながら、三奈方先輩はショッピングモールの入り口に向かう。それを追いかけるように冬真と中宮は着いて行った。最初に映画の席を取るため、エスカレーターで映画館がある階まで行った。久しぶりにショッピングモールに来た冬真は、色々と店舗が変わっていて驚いた。


「席どうする〜?」


「真ん中より少し後ろ辺りの方がいいです。」


「だとしたら、F辺りかな...冬真君は?」


「別にどこの席でも...」


三奈方先輩と中宮は真顔で冬真を見る。何か変なことを言ってしまったのかと焦った。


「冬真君..."どこでも"が一番困るんだけど。」


「えぇ...」


三奈方先輩の意見に中宮は大きく頷いた。映画館に来た回数は片手で収まる程度であり、昔のことでもあるため何も覚えていない。どの辺りでベストに見られるのかもわからない。


「自分もF辺りで良いと思いますよ...」


「う〜ん...じゃー、ここ横3つ取るね。」


三奈方先輩はあまり納得していない表情でタッチパネルを操作した。冬真と中宮は三奈方先輩に映画代を渡し、映画の席を取り終えた。


「まだ、上映時間まで余裕あるし...他の店見よっか!」


そう言って、映画館の周りの店を見回った。ガチャガチャの専門店や雑貨屋などがあり、三奈方先輩と中宮は楽しんでいる。冬真は2人のテンションが高いすぎて、それについていけずにいた。


「あっ!この服可愛い...」


三奈方先輩が女性物の服を持っているのが少しばかり違和感であったが、おそらくは男装した姿の三奈方先輩の方をずっと見てきた影響だろう。


「冬真君。この服可愛いよね?」


急に三奈方先輩は冬真に話しかける。


「え?まぁ可愛いと思いますよ。」


「適当だな〜。モテないぞー。」


細目で冬真を見る。


「てか、冬真君の服装って...シンプルだね。」


「なんか地味にディスってません?」


「そんじゃー、冬真君の服選びしよっか!」


「えぇ...別に...しなくても、それぐらい自分で...」


冬真の意見に聞く耳を持たずに、三奈方先輩と中宮はメンズエリアへ足を運ぶ。


「これどう?」


「少し派手すぎると思います。」


「こっちは?」


「な、なんか渋いですね。」


また、三奈方先輩と中宮2人だけで盛り上がっている。冬真はその場を温かい目で見守った。


「これ着てみて!」


三奈方先輩から上下セットで渡される。ファッションには疎い冬真にとって、これはこれで良い機会であった。渡されたセットを試着室で着替える。


『うーん...』


また、上下セットで渡されて着替える。


『おおー!』


さらにもうワンセット。


『あーあ。』


どれもこれも、三奈方先輩と中宮は同じ反応をする。リアクションしかしてくれないため、どれが良くて悪いのかがイマイチわからない。


「結局どうなんですか?」


「いや、やっぱそのままの方がいいよ。」


「え?」


「だから、シンプル イズ ザ ベスト ダヨ。」


「無理に言ってる感すごいんですけど...」


「シンプル イズ ザ ベスト ダヨ!」


「2回も同じこと言わなくていいです。泣きますよ?」


結局、試着しただけで何も買わなかった。ただ冬真は着せ替え人形みたいに遊ばれただけだったように思えたが、これはこれで良い経験ができたと思っている。そうしているうちに、映画が始まる時間まで後15分をきっていた。映画館の方に向かい、三奈方先輩が店員さんにまとめてチケットを渡す。


「5番シアターで入場特典でーす。」


やる気のない店員は3つまとめて入場特典を三奈方先輩に渡した。5番シアターに向かう途中、三奈方先輩が冬真と中宮に入場特典を渡してくれた。入場特典は全員一緒の栞が貰えた。単語帳カードの紙を栞の代わりにしていた冬真にとって、実用的で嬉しかった。


5番シアターに入ると、ちょくちょく人がいる程度だった。最近公開されたばかりの映画だから、もっと人がいると思っていたが、そんなことはないようだ。

3つ取った席は左側が冬真、真ん中 三奈方先輩、右側が中宮という順に座った。冬真はスマホの電源を切り、ポケットにしまう。やがて、電気が消えて映画が始まった。




「あ〜!面白かった!」


背筋を伸ばしながら言う三奈方先輩。


「最後良かったですよね!」


「だよね〜!」


「特に、あそこでヒロインが登場するのも激アツでしたね!」


「そうそう!めっちゃわかる!」


三奈方先輩と中宮は映画の感想で盛り上がっていて、5番シアターから出て行った。


(あれ?俺の存在...忘れてない?)


冬真はその二人の後ろ姿を眺めながら思った。映画を見終わった後、次は1階にある喫茶店に向かった。三奈方先輩曰く、今から行く喫茶店は雰囲気が良くて評判の良い店だそうだ。そこの喫茶店に入り、冬真はホットドックを頼み、三奈方先輩と中宮はパフェを頼んだ。


(昼ごはんパフェって...女子ってすげーな...)

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