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第3話

 それから数分後。

 落ち着いて駆けつけた私達は池の近くに集まってカエデちゃんから話を聞いていた。


「えっと……つまり、ツチノコが現れて追いかけていたら転んだ……そういう事ですか?」

「う、うん。大きい声を上げてごめんなさい……」


 申し訳なさそうに言うカエデちゃん。


「大丈夫ですよ。怪我とかはありませんか?」

「はい、それは平気です」

「それならよかった」


 ほっと息をつく。もし彼女が大怪我でもしていたら大変だった。


「それでツチノコはどこに行ったんですか?」

「それが……」


 そう言った途端、彼女は顔を青ざめさせた。


「分からないんです。あの子ったら突然走り出して……そのままどこかに行っちゃって……」

「えぇ……」


 思わず困り果ててしまう。そんなのアリ?


「でも、どうしてツチノコは急に逃げ出したんですか?」


 ミハルちゃんが尋ねる。確かに気になるところだ。


「それは……」


 口籠もるカエデちゃん。だが、代わりに答えたのは彼女と一緒にいた男の子――マサト君だった。


「きっと怖くなったんじゃないかな?」

「えっ、どういうこと?」

「ほら、ツチノコって臆病な性格をしているって言われているだろう? だからカエデの気配を察知して驚いて逃げたんだと思う」

「なるほどぉ」


 納得したようにミハルちゃんが呟いた。


(えぇ……それって本当にありえるの?)


 正直、信じられない。カエデちゃんみたいなほわほわした子を怖がって逃げるだなんて。


「ねぇ、マサト君。一つ聞いていいかな?」

「ん? なんだい?」

「ツチノコって……本当に臆病だと思う?」

「えっ?」


 キョトンとする少年。すぐに物知りなダイスケ君も気づいたようだ。


「ツチノコは臆病じゃないよ。目撃情報は多くて有名なくらいだし……でも、誰も捕らえた事はない。これってどういうことなんだろうね?」

「そ、そうだね。不思議だね」

「ふぅ~む」


 私は腕を組みながら考え込む。すると、隣にいたミハルちゃんが何かに気づいたようだ。


「もしかして……ツチノコはカエデちゃんをどこかに誘導しようとしたんじゃない?」

「カエデちゃんを?」

「うん。ツチノコはとても賢い生き物だって言われているでしょ?」

「なら、どこに?」


 みんなはカエデちゃんの向かっていた方角を見る。そこには静かな池が広がっていた。


「もしかしたら、池の中に何かがあるのかも」

「池の中!?」


 みんなが驚く。


「そっか! ツチノコなら泳げそうだもんね!」

「でも、ツチノコが泳ぐなんて聞いたことがないよ。ネッシーならともかく」

「そうだよね……やっぱり見間違いだったのかなぁ」


 残念そうな表情を浮かべるカエデちゃん。


「まあ、どちらにせよ池を探してみようよ。僕は向こうから探すからみんなはこの辺りをお願い」

「うん! わかった!」

「わかりました」

「おう!」


 みんなが返事をする。そして、それぞれ行動を始めた。


「じゃあ、ユイちゃん。僕たちも行こう」

「はい」


 私もせっかく誘われたのでダイスケ君についていく。何か宝さがしみたいでワクワクしてきた。


「ところでユイちゃん。さっきの話だけど……」

「はい。カエデちゃんが転んで悲鳴を上げた時、ダイスケ君は冷静に対処して偉かったですね」

「いや、そうじゃなくて……」

「ん? 他に何かありましたか?」


 首を傾げる。すると、彼は呆れたような視線を送ってきた。


「いや、なんでもないよ……」

「そうですか? それよりダイスケ君の冷静な指示のお陰で助かりました。ありがとうございます」


 ぺこりと頭を下げる。すると、ダイスケ君が慌てて手を振る。


「い、いいよ。別に大したことはしていないんだしさ。それより何で敬語なの? 同級生なのに……」

「それは……」


 少し言葉に詰まる。でも、すぐに笑顔を作った。


「何でかなー? 何となくかしら? 気にしないでちょうだい」

「そ、そう?」


 どうもよく知らない男子と会話するのは苦手だ。誰とでもすぐ打ち解けるミハルちゃんがうらやましい。


「はい。それにダイスケ君は大人っぽいですから。年上なのかなって思ったんです」

「あー、それはよく言われるかも」


 苦笑いするダイスケ君。


「それよりも早くツチノコ。ツチノコを探そうよ!」

「そうだね」

「しゅっぱ~つ!」


 それから私達は池の周りを探し続けた。

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