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君に送る物語  作者: コヒアコ(ネクタイ✕朝寝雲)
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第5章 それはそうとして。

「で、来たようね。」


放課後、アカデミーの校門前に呼び出された彼は不思議そうな顔をした。そして一人考え込む。それから、ぽんっ!と手を叩いて納得したように頷いた。

「デエトですね!」

「阿呆かあーーーー!!!」

持っていた風呂敷を思いっきり顔面に叩き付ける。へぶっ、と情けない声を出して彼は顔面キャッチをした。

「いてて。年頃の二人、学業終わりに帝都に繰り出す。デエトでは?」

「なんであんたとデエトなんかしなきゃいけないのよ!」

「好き合ってるから?」

「私はあんたが嫌いよ!」

「・・・そう、ですか。」

少し落胆したような表情に、気まずくなり、慌てて取り繕おうとする。

「あのっ、ちょっと今のは、言い過ぎたっていうか、言葉のあやっていうか・・・。」

「照れて嫌いと言うくらいには僕のこと好きってことですね。」

「なんでそうなるのよ!!」

落胆したような表情はただ考え込んでいたらしい。はぁはぁと息切れをしながらおとぼけを繰り返す彼に指摘を続けていると、案の定他の学生に笑って通り過ぎられた。

「あーもう!移動するわよ!」

「あっ、おすすめのお店あるんですけどご案内しますよ。」

「変な店じゃないでしょうね。」

「至って普通のカフェーですよ。」

「あっそ。」

スタスタと歩き始める。それから気づいて、ふと自分の両手を見る。

さっき手放した荷物がない。

くるりと振り向いて彼の方を見る。

「行きましょうか。」

なんともない顔をして荷物を代わりに持ってくれている。取り返すのもなんだか悔しくて、つい、ツンとした態度を取ろうとして。

「大事な荷物でしょ?ちゃんと持ちますよ。」

それを知ってか知らずか彼が微笑んだ。動揺してキョトンとしてしまう。

「行きましょうか。」

2度目のお誘い。それに私は頷いた。



「どこが普通のカフェーなのよ。」

「良いところでしょ?」

「良すぎて困るわよ!!」

小声で彼に文句を言う。

彼は悪びれる素振りも見せず、慣れた手つきでホット珈琲とアイスクリームを注文した。

「ここのなんて高すぎて払えないわよ!」

「何言ってんですか、僕が出しますよ。」

「はぁ!?」

超高級カフェーにつれて来られ、どぎまぎする私と涼しい顔をする彼。彼のペースに飲み込まれていた。くそっ。早く話して帰ろう。

「で、話ってなんですか?」

執筆:ネクタイ

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