第26章 どん底から
「え?」
「え?じゃないよ、君は本当に飲み込みが悪いね。大体うちはフミハルだよ?そんな綺麗事、他所でやってくれる?」
「だって、ここは・・・。」
「だから、ほんと君は詩人なの?頭悪いの?」
テーブルを苛ついたようにコンコンと叩いて、担当は露骨に顔色を変えた。
状況を飲み込めない僕に、はぁ、とため息を吐く。
「ちょっとまってて。」
しばらくして担当は、数冊のノートを持ってきた。
最初にそのうちの3冊ほどを差し出してくる。
「これ、フミハルで出た君に関する記事。個人的に集めてたんだ。」
「こんな、たくさん・・・。」
「で、こっちが。」
と言って、更に1冊。
それは少しくたびれていた。
「君の彼女を脅してる男の資料。」
「なっ!!」
担当は何も知らないと言っていたのに、いきなり確信を突いてきた。驚いた僕の視線はノートと担当を行ったり来たりして、しばらくきょどきょどとしていた。
「そんな驚くことはないだろう?僕もフミハルの人間なんだ、カマくらいかけるよ。君は素直に引っかかったけどね。」
「カマって・・・。」
「こっちの資料はもう元のデータが消されたあとなんだ。だからこのノートにしか残ってない。」
ノートの中には新聞の切り抜きと、担当のものと思われる書き込み。経歴に帝都✕✕大学教授。間違いない、彼女を脅した男のものだ。
「こんな資料、一体どうやって・・・。」
「趣味だよ、趣味。それは今はいい。問題はこいつを使って、の話さ。」
「使う?」
「そう、今こっちの君の記事を見てもらえばわかるように、君の評判は下降気味だ。」
差し出されたノートを見る。関係者、一般人、風評。どれをとっても僕の評価はよろしくない。こんだけ好き勝手やってたんだなあと思うと、なんだか泣けてくる。
そんな僕を見て、担当はまたにやりと笑った。
「それだよ、だけどまだ早い。」
「ん?」
すると、担当は控えていたもう1冊のノートを差し出してきた。
執筆:ネクタイ




