表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に送る物語  作者: コヒアコ(ネクタイ✕朝寝雲)
19/33

第19章 君のことが

「最後は、僕ですね。」


告白を終えた男たちに並んでいた僕は、1歩前に出る。

視線が集まる。彼女は微笑んだまま動かない。




「僕は、君との関係に飽きました。」



途端にざわつく会場。

彼女は。



「その続き言えるもんなら言ってみろよ。」



さっきまでの優しい聖母のような微笑みを崩し、眉間にシワを寄せている。




「それだけです。」




僕はそれだけ言うとマイクを置く素振りをして。





素早く彼女をあの日、出会った入学式の時のように横抱きにした。



「は、はぁ!?あなたまた何考えて!!」

「どうやら僕は優秀な君と違って頭が悪いみたいです!!」

「馬鹿だよ!ほんと、馬鹿だよ!!」

「これしか思いつかなかったから!!」




「今から君をさらいます!!」




それだけ言い捨てるとマイクをそこら辺に置いて、ドレス姿のままのお姫様を体育館から連れ出した。






体育館からは歓声が響いている。

それが少し小さく聞こえる空き教室。


彼女を下ろすと、振り向きざまに彼女は手を伸ばして。


僕に抱きついた。


「あんなにたくさんの殿方に言い寄られるとは思わなかった。自分がそんな風に見られてるとは思わなかった。怖かった。でもあなたが連れ出してくれたとき、安心したんだ。」

「僕も君があんなに人気だと思ってませんでした。前から美人だとは思っていたけど。」

「馬鹿じゃないの。」


少し離れた窓際に彼女が手を離して移動をする。


「今の関係に飽きたってどういうこと?友達だと勝手に思っていたわ。」

「そうですね。」

どう説明しようか、さっきまで格好つけていたのにいざとなると格好がつかない。不思議そうな彼女の視線に困っていると、彼女のほうがふふっと笑いだした。

「いつも大事なところで困るのはあなたらしいわね。『そういうところ大好きだわ。』」

「えっ。」

彼女のほうを振り向く。一瞬彼女が2人いるように見えた。年老いても美しい彼女。・・・だったような気がする。瞬きするとその幻影はまたたく間に消えた。

「何よそんなに驚いて。好きだって思ってるのあなただけじゃ・・・。」

「僕もです。君のことが好きなんです。」

「私達いつからか想い合っていたのね。」

落ち着いたいつもどおりのトーン。

僕は彼女の方に歩み寄ると、そのまま口づけを落とした。

彼女はそれを拒まない。何度も何度も重ねていくうちに、理性のほうが崩壊しそうなので彼女から離れる。

「ちゃんと言葉にしなきゃな。」

「何を?」


「君が好きです。僕とお付き合いしてください。」


二人きりの教室。

彼女はその返事を、そっと、僕の耳に密かに教えてくれた。

執筆:ネクタイ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ