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君に送る物語  作者: コヒアコ(ネクタイ✕朝寝雲)
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第18章 真打登場

 発した声に彼女をはじめとした、舞台上の面々が振り向く。

 僕が座っていた席の周囲の人々も、何事かと僕を見上げている。

 僕は口の中だけでつぶやく。

 「やるしかない。僕は彼女に想いをつたえなくては。それには今しかない。いや、今までだって機会はいくらでもあった。それを逃して、逃して、ここまできてしまった。

 これが最後だ。

 彼女を失いたくないなら、これが最後だ。」

 そして、大きな声で舞台と聴衆に向かい一声

「その告白、僕もまぜてもらおうか!!」


 僕は彼女の唖然とした表情を見、少し離れていた場所に級友たちと座っていた美姫が、やっとか? とニヤッと笑ったのを見る。

 たたたっと、舞台に駆け上がる。

 彼女は何が起きたかわからないといった表情で、僕の事を見ている。


「真打登場・・・ですよ!」

 彼女に片目をつぶってみせる。

 少しキザすぎるだろうか? いや。今日は夢舞台。最高の思い出にしよう。先ほどまで考えていたのとは大きく違うものになりそうだが。


 司会者が我に返ったように、

「さ、さあこれで出場者は以上かーー?

 この女神の心を射止める告白をするのはいったい誰なんだーー!!」


 彼女への男子生徒たちの告白がはじまる。


 舞台上と聴衆の興奮とは裏腹に、僕の心は静まり返っていた。

 今までの彼女との記憶が脳裏に浮かんでは消え、また浮かんでは消えしていた。

 どれもかけがえのない宝物だった。

 そして、これだけのものを得たのだから、僕はもう満足だ・・・

 そう思っていたのだ。

 ついさっきまでは。

 彼女の姿を見るまでは。


 彼女はきれいだった。

 そしてその姿は僕にこう思わせた。

 ここでは終われない。終わりたくない。

 ・・・揺れていた心、それがピタリと止まる。


 彼女は次々と男子生徒たちの熱い告白を受ける。

 そのたび、聴衆からどよめきや、歓声、そして時に失笑がもれたりして、盛り上がりに盛り上がっていた。


 それらを僕は、静かな心で見つめていた。

 僕の順番がやってくる。


 彼女の正面に立つ。

 ドレスを身に着けて、普段はしないような化粧や髪型の彼女は、近くで見ると驚くほど美しい。

 だがその表情は困った様な、うれしいような、複雑なもの。

 そんな彼女を落ち着かせるような、笑顔を僕は浮かべる。

 それを見て、彼女も何か感じるものがあったのか、表情がやわらかくなる。


 そして、アカデミーの伝説と呼ばれる、僕の告白が始まる。

執筆:朝寝雲

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