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特別な人 悪魔

作者: リィズ・ブランディシュカ



 俺にはかつて愛した女性がいた。


 何年もつきあっているから、そろそろ結婚しようかと言いあっていた、それくらいの間柄だった。


 けれど、女性は死んだ。


 そして、悪魔になってしまったのだった。






 この世界には悪魔という存在がいる。


 悪魔は死んだ人間にとりついて、悪さをする輩だ。


 そんな悪魔は普通の人間には倒せない。


 聖なる魔力を持った人間にしか倒せないから、やっかいな存在だ。


 だから俺は、普通なら誰かに悪魔になってしまった彼女の討伐を、頼まなければならなかった。


 ただの人間でしかない俺では、悪魔とかした彼女を、この手で楽にさせる事はできないから。


 しかし、幸運にも俺には才能があったらしい。


 悪魔に襲われた俺は、その才能を開花させた。


 戦うための力があったのだ。


 悪魔と化した彼女は、最後の理性で俺を襲わずにどこかへ行ってしまった。


 だから、その時まで気がつかなかったのだ。秘められた力の存在に。


 そのことを考えた俺は、優しい彼女を自分の手で葬る決意を固めた。


 俺は悪魔狩りになるための修行をこなし、彼女の前に立ちふさがった。


「今、君を楽にしてあげる」


 向かい合った悪魔。


 彼女の姿を借りたそれは、狂暴な顔つきで髪をふりみだしながら、おそいかかってくる。


 特別な人。


 世界で一番愛しい人。


 ためらいはあった。


 しかし決意でその感情を上書きする。


 特別だからこそ、恋人であったこの俺が倒さねばならない。


 俺は聖なる魔法を使って、悪魔を浄化した。


「せめて安らかに眠ってくれ」


 悪魔は苦悶の表情になり、絶叫を上げながら砂と化してしまった。


 これで、彼女は喜んでくれただろうか。


 そうだったら、良いと思う。


 悪魔狩りを終えた俺は、次の地へと赴く。


 きっかけは恋人を楽にするという目的があったにしても、せっかく悪魔狩りになったのだから、不幸な目に遭っている人達を救おうと思ったのだ。



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