運試しゲーム <2009>
暗闇の部屋。 隣にあるのはドアだけ。 やっと夜目が効いてきた。 小さな小部屋。
俺を合わせて3人。 女が1人。 男が2人。 部屋の真ん中には………………リボルバー。
なんで俺こんなところにいるんだっけ?左腕にしている時計を見る……午前5時30分……。
あぁ 思い出した たしか あのとき。
〜10時間前 午後7時30分〜
俺の部屋に現れた ダブルのブラックスーツを着こなした1匹の小鬼。
「なぁ お前……退屈な人生だろ おいらとの賭けにのらないかい?」
特に断る理由もなかった。 退屈な毎日だったんだ。 たった一回の人生だ。 おもしろいことしたいだろ?だから言っただけ。
「その賭け………………のってやるよ。 つまんねぇことだったら覚えとけよ」
「安心しな………最っ高に面白いことさ。 この世界でな。」
ニヤァッと笑ったあの鬼。 思い出せるのはここまで。 そこからは記憶はない。
〜現在〜
『やっと役者がそろったようだな。じゃあ はじめるぜ。』
天井からスピーカーで声が聞こえる。あの小鬼の声。
『……………………………運試しゲーム……………………………START』
「運試しゲームだぁ? 俺たち3人で何しろって言うんだよ。」
ドアの正面にいる 俺と同い年ほどの男が叫ぶ。
『そう 焦るな……ルールは単純だ。そこにいる3人での……………殺し合いだ』
『やり方は簡単だ。部屋の真ん中にあるリボルバーを使う。装弾数は6発 中には1発だけ。』
『それでロシアンルーレットをしてもらう。ルールは分かるか?』
俺の正面にいる子が首を横に振る。
『そうか なら ルールを教えよう。 自分の頭に銃を突きつけ一回。 引き金を引く。』
『弾が当たったらゲームオーバー。 はずれなら 次の人間に銃を渡す。だれかが死ぬまでそれを繰り返す。』
『簡単だろ?それだけだ。 1人が死ぬとドアが開く。脱出するためには進まなければならない。』
『それじゃぁ お前たちで頑張んな。』
声が途切れる。もう 声は聞こえない。このゲームをするしかない。
「じゃあ 俺から撃つぜ。文句はねぇよな?」
返事も聞かずにあの男が引き金を引く。
カチン。
「ふぅ〜 外れか ほら 次だぜ。」
リボルバーを女の子に投げる。リボルバーを受け取り さっきの男のように構える。
カチン。
さっきと同じ音。また…………外れ。そして俺の番。
あの子が銃を渡しに来る。受け取り 銃を構え 撃つ。
カチン。
また外れ なかなか当たらないもんだ。あの男に銃を投げる。
受け取り。構える。
「これで外れたら 俺の実力ってやつだな。」
喋りながら銃を撃つ。
パーン。
火薬の匂い。 乾いた音。 初めて聞くのに。 ずっと聞いていたような感じ。
銃を撃った男は頭から血を流し。 力なく倒れる。 銃を握った状態で。
女の子が小さく悲鳴を上げる。
そして その直後 スピーカーからの声。
『生き残ったのは決まったみたいだな。馬鹿な男だ。実力なんてない。あるのは……………』
『運だ……………絶対的な強運……………運がなかったから あいつは死んだ。 それだけだ。』
小鬼が喋り終わるとドアの開く音がする。
2人で部屋を出る。 出た先は真っ暗。あの小鬼の闇の世界への入り口のように。
闇?
闇とはなんだ 光と影 昼と夜 正と邪 善と悪 秩序と混沌 条理と不条理 真実と嘘。
小鬼はどっちなんだ?
まぁ そんなことはどうでもいい 小鬼は小鬼 このゲームの支配人にしてゲームマスター。
真っ直ぐ歩いていく この真っ暗な道を…………。
しばらくすると明かりが見えてきた。 そしてその明かりの下に扉が2つ。
ドアに文字が書いてある。
右の扉【闇の扉】 左の扉【光の扉】
どちらかに入れということだろう。
「あんた どっちがいい?」
いちよう聞いてみる。答えてくれるかは別だが。
「じゃあ 左で。」
そう答えるなり左の扉の中に消えていく。
「俺も行くか………。」
俺も右の扉に入る。そして ドアを閉めると 横の部屋からの爆発音。そしてさっきの女の子の悲鳴も。
俺は運がいいのか?それとも仕組まれているだけ? どちらにしろ 今のほうが楽しい。
この緊張感。目の前のドアが開く。また脱出への道か?
結構つまらないゲームだったな。
目の前にまた扉。 ガチャガチャ…………。鍵が閉まっている?なぜ?俺の運もここで終わりか?
扉を蹴ると 中から声が聞こえる。そして カチャン………。と扉の開く音 中からは、
小鬼。部屋へと促す。足を踏み入れ、中へと進む。…………壁もドアも天井もすべて赤色のレッドルーム。
「よぉ お前が生き残ったのか?」
「どうやろ そうみたいだな。結構 簡単なゲームだったぞ 小鬼。」
「そうか つまり それは………お前の運が良かった それだけだ。」
目の前に来て 俺の顔を指差しながら喋る。
「あぁ そうだな これで終わりか。じゃぁな 小鬼。」
「なんで この部屋が赤いか知ってるかい?」
前へと一歩ずつ歩いて小鬼から離れていく。
「知らねぇな…………なぜだ……?」
「それはな…………………………………………………」
「このゲームの生き残ったやつを斬っても……………血が目立たないからさ。」
後ろを振り向くと同時に真っ赤な刀を持った小鬼が後ろに。
そして それと同時に体に走る激痛。赤く染まっていく俺。
死にたくない
そう思った だけど 同時にこうも思った。
これで俺の運も終わり。 一番の強運は小鬼だった。 だから 俺の命もおしまいだと。
「小鬼………………お前………運よすぎるんだよ。」
「すまねぇな 今日の俺は最高にCOOLなんだ。」
刀を振りかぶり 振り下ろす。ここで 俺のゲームも終わりだ。記憶が途切れる。
2009年 運試しゲーム GAME OVER
久しぶりに作った作品です これが2009年バージョンで2010年 11年と毎年 一回 このシリーズを作ろうと思ってます